諸君! 第9巻第6号(昭和52年6月)
総特集・戦後史を見直そう
安保後の知識人 六〇年安保を機に知識人は分裂に直面し、高度成長期以後はなすところなく当惑している(清水幾太郎)
私感・戦後史 事件と報道操作 下山、松川など戦後の重大事件はいかに報道されたか。新聞の犯した誤りを鋭くえぐる!(松本清張)
高度成長期は日本人を変えたか 「消費は美徳」のカケ声の蔭で、専門家が誰も本気にしなかった経済成長を支えたのは堅気で律義で堅実なマジメ人間たちの貯蓄だった(京極純一/中村隆英)
土俵としての日本国憲法 戦後の不幸は、保守派も進歩派も現状を認めないことであった。この現状否認から生れる国民的劣等感を乗りこえるために「新憲法を認知したい」という山崎正和氏の爆弾的提言(公文俊平/佐藤誠三郎/山崎正和)
〝部族〟政治とロッキード 昭電事件からロッキードまで十一の疑獄事件をフィルターに考察する戦後日本政治の特質(岡野加穂留)
『戦後史』の書かれ方研究 進歩的知識人の書く戦後史は、なぜ「戦えど戦えど正義が敗れる物語」になってしまうのか(竹内靖雄)
ベストセラーが作った「戦後」 浅薄な流行と変わりやすい風俗が、もっとも深刻な意味を持つ、逆説的な時代の顔を探る(多田道太郎/加藤秀俊)
犀になった英雄・淵田美津雄 宣教師となった真珠湾攻撃隊長―戦後のアメリカで、これ以上の見世物は他になかった(佐伯真光)
東京ローズは無罪なのか アイバ戸栗は心をとろかす魔女でもなく、犠牲羊にされた善人でもない。その実像に迫る(ホルバート)
流行歌が主食だったころ 「星の流れに」と新宿の闇市、「岡っぱる」とポマードの匂い―戦後は歌と共にあった(本田靖春)
〝第二次15年戦争〟回顧録 日本ばかりがなぜ嫌われるのか―経済進出の尖兵として味わった世界の厳しい現実を通して〝日本人〟の姿を浮きぼりにするビジネスマン座談会(司会・深田祐介/岩鬼征夫/江口勝也/大野昰/森本忠夫)
戦後60年の日本幕府 物質文明の栄華を極める日本の将来に待ち受けるのはソロモン以後「三千年の貧困」か?(ベンダサン)
問題の本(木村俊夫/松岡温彦)
■私の10行書評(池井優/田中穣/小林暉雄/坂口昭/中村哲郎/秋山博)
自由貿易国家・日本の検討 自由貿易体制は永遠ではない。貿易に依存するわが国はその維持のために何をなすべきか(高坂正堯)
木戸幸一・秘められた証言 昭和史の生き証人は逝った。生前、親交のあった筆者が明かす「天皇の側近」沈黙の意味(勝田龍夫)
日ソ資源抗争五十七年 シベリア出兵以来日ソ交渉の主役は魚と石油―この歴史的現実を抜きにした対策はない(滝沢一郎)
領土か魚か 錯誤つづきの漁業交渉 〝国論〟あって国論なし…太政官政府以来、これほどのドタバタ喜劇があっただろうか(笠間哲)
シェルダン教授への再反論 私を批判するあなた自身の筆で三一年から四五年までの歴史と天皇の役割を書いて欲しい(井上清)
漢字が苦手な中国人 文章は経国の大業にして、不朽の大義なり―中国人が文章家を異常に敬う秘密をさぐる(岡田英弘)
日本の哲学的風土 西田、三木、田辺に代表される哲学は一種の強い閉鎖性をもっていた。その原因は何か?(竹尾治一郎)
■ホモルーデンス
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洪思翊中将の処刑⑥ 日本の戦犯裁判の手引きとなった「連合軍㊙文書」とはナチスを想定したものであった!(山本七平)
最後の晩餐 食の思想⑥ コックが政治に手を出して天下国家を料理する中国。広漠たる歴史の闇を食で照らし出す(開高健)
百里と二百海里 鳥獣戯話(佐藤誠三郎)
みつぎとり 笑わぬでもなし(山本夏彦)