諸君! 第8巻第7号(昭和51年7月)
信ずることと知ること 科学的合理主義が万能視され、信ずることが忘れられた。しかし信ずることなくして深く知ることはできない。日本の叡知が柳田国男を引用しつつ真の知性のあり方を明快に語る(小林秀雄)
総特集・昭和史を見直す
昭和史を考えるヒント たとえば戦前と戦後は断絶しているか?むしろその連続性にこそ着目しなければ昭和史は捉えられない―いくつかの〝見直し〟のポイントを衝き、通説を鮮やかにくつがえす!(伊藤隆/佐藤誠三郎/中村隆英)
北一輝と児玉誉士夫<右翼黒幕の相似> 左右両陣営から〝過大評価〟されている北は、児玉と同様に政財界の黒幕を志向していた!(松本清張)
青年は何のために戦ったか 太平洋戦争が日本人にとって何を意味したかという重大な課題はいまなお解かれていない(吉田満)
戦争指導者の〝復権〟批判 昭和史ブームにのって続々復権するかつての指導者たち。しかしその評価に誤りはないか(西義之)
沖繩返還の決定的瞬間 沖繩返還に大反対のバーク提督、テーラー将軍の心を変えた京都会議で何が起ったのか?(猪木正道)
昭和軍人の精神構造 明治と昭和の将星たちの差はどこにあるか。あまりにも形骸化した昭和軍人の実像を抉る(高橋正衛)
昭和史の〝もしも?〟 もし満州事変が起らなかったら?もし三国同盟が締結されていなかったら?朝鮮戦争が起らなかったら?昭和生れの三人が縦横に語る歴史家のタブー〝ヒストリカル・イフ〟(高坂正堯/小松左京/秦郁彦)
『昭和史の天皇』30巻余聞 歴史の隅に秘められたエピソードの数々を、「昭和史の天皇」の筆者が哀歓をこめて綴る(辻本芳雄)
われらが戦った第二次15年戦争 昭和三十年代から今まで日本はもう一つの食うか食われるかの戦争をしたのではないか?(深田祐介)
わたしと昭和史
ハノイに見た〝わが少年時代〟(磯村尚徳)
幻の二十年後蜂起計画(井澤慶一)
知恵おくれの子(岸田今日子)
憧れの少年航空兵(富塚三夫)
教師、麦ふみ、半未亡人(大宅昌)
児玉誉士夫さんの横槍(杉森久英)
〝改元〟しそこなった私(荻昌弘)
語りあう昭和史
新聞は何をしたのか 軍部専横の被害者にあらず、むしろ時流に乗り、世論を煽りたてた新聞のあり方を問う!(漆山成美/鳥海靖)
六百万人の日本民族移動 「嫌われる日本人」―海外進出の歴史をふりかえりながら、今後あるべき方向を考察する(矢野暢/若槻泰雄)
わが〝戦後〟体験 敗戦後の〝原野〟を生きぬいてきた世代には、驚異の復興もなぜかうそ寒い感じしかしない(開高健/野坂昭如)
■情報ダイヤル
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「通常性」の研究(最終回) 日本を支配する「空気」と「通常性」に共通するのは「虚構の中に真実を求める」体制なのだ!(山本七平)
三木つぶしとロッキード隠し<デスク日記> 灰色高官の策動か?ロッキード国会の裏側で、ついに「三木追落とし劇」がはじまった!(富田繁泰)
総合商社中国と倭人の朝貢 現代史としての日本古代史 「朝貢」とはなにか―日本民族が誕生するにいたる古代中国の文化圏の本質を解明する(岡田英弘)
このあたたかい庶民生活 歴史のなかの江戸時代 ワクに捉われず虚心に江戸期庶民の生活を見れば、そこには暖い相互信頼の世界があった(宮本常一/速水融)
木口小平<笑わぬでもなし> 百科事典になぜ木口小平が載っていないのか―確かな目で現代の世相を痛烈に批評する(山本夏彦)
■ホモ・ルーデンス
■読者諸君
■編集後記