岩と雪 第14号-第19号(昭和44年4月~45年12月)
第14号 昭和44年4月
表紙 ヌプツェ峰(風見武秀)
目次画(岡辺一彦)
本文カット(磐広)
ヒマラヤ特集
折込附録・四色刷ヒマラヤ大地図
ヒマラヤ高峰登攀一覧
ヒマラヤン・エージふたたび(編集部)
待望のネパール・ヒマラヤ登山解禁の報に、活気づいた
日本の岳界。これからのヒマラヤ登山の行方をうらなう
ネパール登山禁止から解禁までの政治的背景(山崎安治)
緊張を続ける中印国境問題も登山禁止の一つの要素で
あるという。微妙なネパールの政治的背景をさぐってみる
ヒマラヤにおけるパイオニアワークについて(湯浅道男)
”パイオニアワーク”という言葉が立派に存在するならば、
ヒマラヤにおけるそれはどのようなものであろうか
これからのヒマラヤ・エクスペディションへの
一私見(薬師義美)
かつての大遠征登山にかわって、これからはライト・エク
スペディション-軽遠征の時代になるといわれるが
ヒマラヤ登山今後の課題(塚本珪一)
海外遠征登山とは厄介なものであり、とくにヒマラヤに
おいては、いろいろと難問題が山積されているようだ。
"鉄"の時代の技術・用具面の考え方(吉沢一郎)
"鉄の時代"の到来に際して、アルピニストは、その技術と
用具等についてどのように考えるべきであろうか。
高所登攀用具(松島利夫)
ヒマラヤの高度は困難な登攀をより困難なものにしている
ようだ。機能性にすぐれ安全度の高い登攀用具の展望
ヒマラヤ登山食糧の考察(西丸震哉)
"まず現地食に慣れろ"と筆者は提唱する。登山とは山を
知り、人を知り、その土地に親しむものだという・・・
高所医学と健康管理(徳永篤司)
異国での長いキャラバン、高々度における登攀活動で
起こしやすい傷病と実際的な健康の管理について考察する
高所登攀と生体(村井葵)
ローツェ・シャールにおいて突然意識不明になるという
不思議な体験を有する筆者が高度と生体について解明。
ヒマラヤの気象(大井正一)
テントも引き裂くようなヒマラヤの烈風。ヒマラヤの
巨峰の登頂の成否は一にかかって気象にあるといってよい
日本隊の遠征計画(編集部)
ヒマラヤ、カラコルム、ヒンズー・クシュを目指す日本隊の、
行動概要などをまとめた、69~70年遠征隊の一覧
ヒマラヤのバリエーション・ルート(小西正継)
"稜より壁へ"必然的に変わるであろう登攀形態に対応して、
これからのアタックはどこへ向けられるだろうか
ヒマラヤ、ヒンズー・クシュ=ノート(吉沢一郎)
ヒマラヤ、ヒンズー・クシュにおける各国隊の動向と話題を
最近のニュースよりさぐる。南米城塞峰初登記併録
ヒマラヤの地図と文献(神原達)
ヒマラヤに関する文献は古来すぐれたものが多い。地図と
ともにわれわれは、それらをどうとらえるべきか。
ヒマラヤ高峰登攀史(中島寛)
ヒマラヤのジャイアンツ登頂の歴史を軽遠征登山の流れを
中心に年代順に解説した若いアルピニスト向の好編。
ヒマラヤ遭難史抄(諏訪多栄蔵)
ヒマラヤ山域における過去の多くのアクシデントのうち
より山別、ケース別に幾つかを取りあげて考察してみる
ブータン覚え書(中尾佐助)
われわれにとってはまだ未知の部分であるブータンの
山々のあれこれと国内の風物、人々などのメモランダム。
フンザ回想(島澄夫)
国王の招きでフンザを訪れた筆者がつづる、シャングリラ
でのこころよい明けくれと、素朴な村人との交遊の記
<座談会>ヒマラヤ登山
第15、16号=欠号
第17号 昭和45年5月
表紙/シャモニ針峰群(内田良平)
目次カット/(岡部一彦)
<特集>ヒマラヤ一九七〇年(吉沢一郎)
いよいよヒマラヤのシーズン開幕。エベレストに、
マカルーに、アンナプルナに、あるいはほかのいくつかの
峰に各国の登山隊が挑む。"鉄"の時代かどうかは別として、
ヒマラヤは新しい時代を迎えたようである。
ふたたびディレッティシマを考察する(湯浅道男)
ディレッティシマは、登山本質論からみた場合どのように
位置づけられるのだろうか。またその倫理性は-
カラコルムの登山禁止その後(小山貢)
数度にわたるパキスタン入りで筆者が知りえた情報を
もとに探る、閉ざされた地域カラコルム登山の可能性
海外遠征費用の募金と使途(徳永球雄)
寄付にたよる海外遠征、その使途に不明朗なものもあると
いう。日本の登山界にこの風習はいつまで残るか
海外登山記録の信頼度と利用(平野征人)
最近ジャーナリズムをにぎわせた海外登山の記録を
めぐる諸問題、とくにその信頼度について考えてみると
ネパールの日本人たち(片山全平)
"石を投げれば日本人に当る"といわれるくらいの
ネパールで、黙々と働き、生きる二人の日本人の人生観
ヒマラヤの探検時代は終わったか(福田宏年)
パイオニア・ワークの終焉-がささやかれる昨今、
ヒマラヤには、はたして探検すべきところは皆無か。
氷河と氷河技術(金坂一郎)
日本国内では見ることの出来ない氷河についての知識と、
経験することのできない氷河上の登攀テクニック
登山事故と刑事責任(伊藤堯)
山岳遭難における法的責任の追及はまれである。しかし、
これからの登山では当然考えられることであろう
登山とコマーシャリズム(阿部和行)
ブラウン管でアルピニストが商品を持ってニッコリ笑う。
登山というものは、それほど大衆化されたのか。
フィッツロイとイェルパハー(吉沢一郎)
パタゴニア・アンデスのフィッツロイとワィワッシュ山群
イェルパハーの氷壁と山稜と氷河登攀について
新しい登攀用具についての私見(村井葵)
世をあげての"新製品時代"。マスプロ、マスセールの
傾向を深めてゆく登山用具の、現在、未来を考究する
ボルネオ・キナバル峰ローズガリー登攀
(清水RCC・静岡登攀クラブ合同隊)
熱帯のジャングルにそびえるキナバルの岩峰に、本格的な
アタックをこころみたアルピニストの登攀の記録
W・ウェンストンその人について(岡村精一)
『日本アルプス-登山と探検』から『極東の遊歩場』まで、
日本の山と人をこよなく愛したウェストン師。
どこへ行く「登山」(浅野孝一)
観光地化の波よせる国内の山々、海外に目をうばわれる
前衛アルピニストたち、日本の山々はどこへ行く。
山岳雑誌の功罪(編集部)
山と渓谷が誕生以来40年を数えた。現われては消えた
山岳雑誌の数々・・・・・・それらは登山界になにを残したか
<連載創作>
高みへの序曲<1>(安川茂雄)
敗戦直後の窮乏と忍苦の時代、一途に山に打ちこみ、
そして谷川岳に逝いた一人のクライマーがいた。
彼を異常なまでに山にかりたてたのは何だったろうか。
単なる敗戦後の虚脱した心をいやすためか、あるいは
かえりこぬ青春へのやみがたき慕情であったのか-。
昭和元禄ともいわれる繁栄の今日では、想像を超えた
往時の一アルピニストの心情を、哀切をこめて書下ろした
著者得意のジャンル-
山と渓谷社創業40周年記念『岩と雪』読者論文募集
編集室
第18号=欠号
第19号 昭和45年12月
表紙/(青野恭典)
目次カット/(岡部一彦)
本文カット/(磐広)
特集 ナイロンザイル切断
(田中敏雄/小沢観一/村井葵/安田武)
今年の六月のある日。場所こそちがえまったく同じ日に
同じメーカーのザイルが切断して、それぞれ死者一名と
いう事故が発生した。アクシデントはどのように発生し、
メーカー側はそれをどのようにとらえ、そして第三者は
どう分析するか。クライマーの安全のために、あえて
この事故の周辺をさぐる-
『岩と雪』読者応募論文
〈入選〉牧野寛
〈準入選〉大森義彦
山と渓谷社創業四〇周年を記念して本誌読者より登山に
関する論文を募集。その選考結果と入選作の発表。
日本山岳会の体質を考える(原真)
日本山岳会の体質はどのようなものか、それがかかえて
いる大きな矛盾の解明を同会の会員として試みる。
登山学を提唱する(塚本珪一)
人間と自然とのはたらきあい、かかわりあいをテーマに
アルピニズムにおける新しい学問の発生を提起する
現代の自然破壊常習者を告発する(番場宏明)
もうこれ以上、日本の美しい自然が破壊されぬよう、
わえわれはいま何を考え、何をなすべきだろうか……
精神力と人間の限界について(山本英毅)
人間の可能性の限界と精神力との関連性をもとに、
山登りにおける精神力養成の具体的な方策を検討する。
山岳会の現状と運営上の課題(市川正)
登山ブーム、登山人口激増のわが国登山界の中にあって、
斜陽にかたむく山岳団体のこれからの課題は何か
八千メートル峰のタクティクス再考(越山将男)
ヒマラヤ登山は新しいタクティクスの時代に入った。
これからの八千メートル峰攻略の具体的戦術をさぐる。
ヒマラヤ”鉄”の時代と酸素問題(平林克敏)
”ヒマラヤ鉄の時代”に残された課題、「酸素問題」を
今春のエベレスト登頂で得た貴重な体験をもとに語る。
カフカズの白い壁(車義久)
カフカズにはまだ高度な氷壁ルートが数多く残っている。
今夏、新天地をもとめて立向かった男たちの記録。
モン・ブラン山群の主要登攀ルート
(A・コンタミヌ/近藤等・訳)
フランスの名ガイド、アンドレ・コンタミヌが
モン・ブラン山群でのすばらしい登攀ルートを多数
紹介する
〈地域研究〉1
黒部丸山東壁の新ルート(日本登山用具技術研究会)
黒部の秘境丸山東壁を九年間にもわたって研究しつづけ、
今回初めてその五つの人工登攀ルートを発表する
〈地域研究〉2
佐梨川源流金山沢奥壁(横須賀山岳会)
佐梨川源流の私有地立入禁止が十月一日をもって解除
され、俄然注目されはじめた大スラブルートの詳細。
ヒラリーとウィースナーのことから(吉沢一郎)
今年の夏来日した二人の著名アルピニストとの、日本
各地でのたのしい思い出と愉快なエピソードをつづる
今春のヒマラヤ登山を取材して(片山全平)
ネパール・ヒマラヤの解禁一年。今年のヒマラヤは
にぎわった。各国の遠征隊をまわって目に写ったものは
<連載創作>
高みへの序曲<3>(安川茂雄)
敗戦直後の窮乏と忍苦の時代、一途に山にうちこみ、
そして谷川岳一ノ倉沢で墜死した岩垣志光。彼を異常な
までに山にかりたてたものは何だったのだろうか-。
私と岩垣を結んだのは、私が山からの離別を決意して
書き上げた『谷川岳の岩登り』だったが、「山-それは
愛の一形式」という私の永遠のテーマを媒介として、
私と岩垣とは奇妙な脈絡をもたねばならなくなった……
編集室