文藝 第11巻第9号(昭和29年8月)
現文壇に與える(五〇枚)(中島健藏)
勘定敎育(本多顯彰)
『時間』の魔術(武田泰淳)
わが夢を語る(田村泰次郎)
遺稿 『由利旗江』を書いた頃の思出(岸田國士)
トーマス・マンの手紙(高橋義孝)
芥川龍之介(三)(中村眞一郞)
中村光夫著 『志賀直哉論』(サイデンステッカー)
《小説に現われた靑春像》 「破戒」の丑松(山本健吉)
社會時評 鈍麻と錯覺(桶谷繁雄)
作家の手紙
川端康成より橫光利一へ
梶井基次郞より廣津和郞へ
島木健作より龜井勝一郞へ
ローレンスよりマンスフィールドへ
マンスフィールドよりウルフへ
メリメよりボワニュ夫人へ
ツルゲーネフより娘へ
☆第二回全國學生小説コンクール募集要項
☆ファンレター
作家出題詰碁
作家出題詰將棋
―詩―
抗議(三好豐一郞)
逆光をうけたすばらしい一つの肖像(金子光晴)
浴船(石川道雄)
「源氏物語」(舟橋聖一/バワーズ/今日出海)
連載 自叙傳(川崎長太郞)
《創作》
山の彼方 「家」にとついだ嫁は、家族の奴隷のように働かねばならなかった。故鄕の山が涙にかすむ―牢固として絶えぬ農村の封建性をつく。(伊藤永之介)
群盲圖 キャバレー勤めの若い男と、有閑夫人の不可思議なまじわり。…屏風の唐兒が不氣味に笑ふ。(石濱恒夫)
馬 馬小屋の二階に住まわされる哀れな夫、しかも妻は馬の「五郞」とさも親しげに同居している。…その部屋もノックして入らねばならない…奇想天外な諷刺小説!!(小島信夫)
三つの顔 國を異にする三つの顔が一つの祖國のために微妙に對立する。尖鋭な神經の交錯。有名な國際スパイ事件に材を得た異色篇!(耕治人)
まぐろ 連載第一回 水産國日本の死活問題である「原爆まぐろ」にがっちりと取組んだ中堅第一人者の野心大作。―連載第一回。(井上友一郞)