朝日クロニクル週刊20世紀 日本人の100年 33号(1999年9月)
[テーマ編]ぜいたくの100年
第1章 近代数寄者の系譜 「美」を己のものとするぜいたく 骨董にかこまれて茶の湯ざんまい。近代成功者たちの「今利休ぶり」はぜいたくの極致といってさしつかえない。(国立民族学博物館教授・熊倉功夫)
第2章 有徳人・素封家の系譜 名望家の名を残さんとする「心のぜいたく」 真面目な田舎紳士たちは、世のため人のために汗を流し、財産を傾ける。日本の近代を支えた地方素封家たちの情熱。(筑波大教授・大濱徹也)
第3章 成功者の資格 己の富を文明のために使う人生 富を得た者は、何かの形でそれを世間に返さなければならない。そういう決まりが厳然と生きていた時代である。(大濱徹也)
第4章 遊蕩者の群像 惜しげもなく父祖が築いた財産を蕩尽する人々 物に憑かれたように財産を使い尽くす破天荒の豪遊。爽快でもあり、少々おかしくもある遊蕩の人生。(作家・祖田浩一)
第5章 皇室の藩塀 「華族」という人々の生き方 人もうらやむ爵位と勲章。敗戦で消えてしまった「華族」様とは、どういう人たちだったのだろうか。(元大東文化大学長・穂積重行)
第6章 西洋への憧れ 洋行と舶来品 文明開化の御代以来、西洋に学ぶものは多かった。そして学ぶだけでなく、心底西洋に恋する人々も現れる。(共立女子大教授・鹿島茂)
第7章 別荘の物語 別荘は文明の象徴 ステータス・シンボルだった 明治は別荘ブームの時代であり、紳士たちは競って別荘を建て、「文明の暮らし」を試みた。その有様を箱根に見る。(箱根町立郷土資料館学芸員・鈴木康弘)
暮らしと消費 写真と年表で見る百年
「1等国」への道(1901~22) 内国博覧会/バス登場/ゴルフ場開場/今日は帝劇・明日は三越/借家人同盟
震災から昭和戦前期(1923~36) スキー/エロ・グロ・ナンセンス/オート・キャンプ/ダンスホール
ぜいたくのない時代(1937~45) 買い溜めと売り惜しみ/モンペと国民服/ぜいたくは敵だ/配給切符
敗戦後の混乱期(1946~50) バラック/闇市/夜の女/サツマイモ/ドブロク/ゴロ寝/朝鮮特需
高度成長の時代(1951~79) 民間航空再開/400万円宝くじ/芸術の秋/ハイウエー時代/東京サミット
バブルとその崩壊(1980~99) 地あげ/金メッキのバスタブ/豪華客船/金融パニック/世界都市博中止
コラム
金原明善と西村伊作
豆千代とポン太
音楽好きの殿様(祖田浩一)
「華美に流れるな」と詔書(大濱徹也)
堤康次郎と千円別荘(鈴木康弘)