プレジデント 第23巻第12号(1985年12月)
特集=日本陸軍の名リーダー
●対談●「組織」を牛耳った「事務官僚」たち
「昭和陸軍」の功罪 石原莞爾から阿南惟幾までの「昭和の将帥」の実像(半藤一利/秦郁彦)
●「将帥」かくあるべし
将に将たる者は衆望帰向の中枢、全軍仰慕の中心たるべし 「仁将」今村均の「男の責任」 元陸軍大将は戦後、自o志願して熱帯の獄舎へと戻って行った(須崎勝弥)
世界最強の米海兵隊を震撼させた驚異の「地下要塞」戦術 「知将」栗林忠道と「硫黄島」の三五日 二万八千対二万──。米軍の損害は日本軍のそれをはるかに上回った。なぜか?(桑田悦)
「白骨街道」から生還した「生涯不敗」の戦上手 「強将」宮崎繁三郎と「インパール」 飢餓と疫病と敵の急追の中で一人の脱落者も出さなかった指揮官の力量とは(笠原和夫)
「地獄」を戦い抜いた「非情」と「無私」の陣頭指揮 「闘将」安達二十三とニューギニア戦線 部下を死地に投ずる指揮官は「必ずあとから行く」という信念を持たなければならない(土門周平)
●日本の「運命」を変えた二人の「幕僚」
「謹厳なる能吏」ゆえに彼は「A級戦犯」として処刑された 武藤章「開戦」を強いられた「政治参謀」の苦渋 「勝算なき戦争」と分析しつつも軍務局長は陸軍の総意をまとめねばならない(保阪正康)
「ガダルカナル」「中国」と転戦してきた男に課せられた起死回生 宮崎周一「本土決戦」に賭けた最後の作戦部長 律義で冷静なこの将軍は、自軍の装備を考える限り勝利は不可能と判断した(松浦行真)
シベリアに送り込まれた「秘密戦士」は何をそこで見たか 「陸軍中野学校」かく戦えり 陸続と東行する軍事列車。「秘密戦士」たちはソ連参戦を確信した(小林久三)
●「戦史」を飾る名作戦
「指揮官先頭」で疾駆したマレー半島一一〇〇キロ 「シンガポール」を落とした戦車野郎 戦車隊の「ジットラ陣地突破」と「スリム殲滅戦」でマレー攻略戦の勝負は決まった(広田一夫)
「世紀の奇襲作戦」を成功させた「素人」部隊長の緻密細心 落下傘部隊「パレンバン」を制す 三三〇名の空挺隊員は一千の敵を撃破し、新鋭精油所を無傷で占領した(武岡淳彦)
岡山大学出身「実力官僚」の「田中角栄体験」とは 「通産次宮」小長啓一の「ルーツ」 四六年七月、企業局の課長だった彼は田中通産相の秘書に起用された(江波戸哲夫)
「歴史」に「現代」を見る〈第五回〉
アイアコッカと「五代の宰相」馮道 乱世には才人は非情不忠になり、組織は非情冷酷になる(堺屋太一)
「陸の孤島」の悲願「三陸鉄道」成就への「読み」 堤義明の「静かなる」挑戦4 「三陸」の悲願を実現させた超効率経営と「マイレール」意識(上之郷利昭)
ザ・コラム……おじゃま虫〈第六〇回〉
肝腎なことは分らない 読んでも分らない、だから読まれない新聞の行く末(山本夏彦)
連載エッセー
父よ!──メモリーズ・オブ・カー 男は、自分の人生がクルマに振り回されてきたような気持ちになった(諸井薫)
情報ファイル
「藤波か渡辺か」ポスト中曾根「冬の陣」
巨人IBM戦略大転換の「真の狙い」
レーガン秘密ブレーン「SAC」の正体
「対独戦勝記念」建設の陰で泣くソ連庶民
激烈極める大阪ホテル戦争の「行方」
フォト・レポート
「世界最後」のSL工場
「ハイテク広場」大探検!
東欧印象旅行──「逞しき未亡人」と「妙齢の美女」(赤羽堯)
人間邂逅
松永亀三郎/那須聖 甲斐幹/尾関宗園
娘よ!
親バカなりの「深謀遠慮」(北杜夫)
ライブラリー
「体験 戦後経済」「死角 巨大事故の現場」ほか
連載●ドキュメント「日露戦争」──第一部
旅順17 地中の激闘 坑道を掘り進みベトンに挑む日本軍(児島襄)
特集=空は「安全」になったか
日航ジャンボ機の墜落は「予測できた事故」である 「巨大技術」に驕りはなかったか(鍛治壮一)
第一章 「与圧」事故の悲劇は三度繰り返された 一九五四年にコメット墜落、二〇年後の七四年にDC10墜落、そして今回の日航
第二章 安全対策「フェイル・セーフ」に限界はない 飛行機の構造に故障が生じてもなお安全な飛行を続けられる「設討思想」とは
「人間は過ちを犯す」「機械は故障する」「悪天候には従順であれ」 「パイロット・ミス」を防ぐ「三つの原則」 零戦からジャンボ・ジェット機まで操縦した元日航パイロットの体験レポート(藤田怡与蔵)
「権限」はあれど「技術」なき行政の構造的欠陥 「日航機事故」と運輸省の憂鬱 原因究明から安全対策まで、ボーイング社に頼らねばならないお粗末(青木日出雄)
人員不足・財政難・動脈硬化に悩む連邦航空局 「世界の空」をリードするアメリカの不安 過重労働とストレスに苛立つ航空管制官、穴だらけの検査システムをどうするか(J・メイン)
■フォーチュン誌特約
「メイド・イン・ジャパン」に比肩する「オハイオ」のアコード アメリカの「ビッグフォ一」HONDAの実カ 生産開始後わずか三年でAMCをも抜き去った快進撃はいつまで続くのか(F・ライス)
連載第一四回──「戦国時代」を迎えた通信ソフト
「データベース」で掴む最新戦略情報 ユーザー参加の思想と献金スタイルを取り入れたものが売れる時代を迎えた(高田正純)
フォト・エッセー──贔屓の味
人に教えたくない店 毎日夕食をつくる「主夫」が味にも店にも一家言(古谷三敏)
特別企画
「世界機能宣言」の自信を生んだ三〇年〈松下電工〉
世界の新製品・新技術〈R&Dニューズ〉
編集室
表紙イラストレーション(中川恵司)