漢字漢語談義
大漢和辞典編纂雑話
編纂の動機
当時の国漢辞典界―師の一言―索引作製―辞典の文字数
編纂の本旨からは邪道だが
大東文化学院とこの辞典
計画の変更
驚くべきカードの数
遠人村舎
遠人村舎の由来
失明に苦しむ
四十五で死ぬ―失明―幻覚
灰の中から再起
戦災に全焼―校正刷の分散保存
心からの協力者
せめて原稿だけは整理して―心の友―全家をあげて―五君を喪う―妻の死―最大の傷心事
その他のくさぐさ
互に信じて―出版者の苦心―後来の学者に
附 漢和辞典の歴史
最初の漢和辞典「新字」―楊子漢語抄―篆隷万象名義―新撰字鏡―類聚名義抄―和名類聚抄―秘府略―事彙と辞書
漢字の発生
文字の起原―漢字は独自の発達か
鬼が泣く
八卦からか、鳥の足趾からか―鬼が哭す
殷墟の甲骨文字
殷墟の探訪―甲骨文字に見る内容
六書の梗概
象形指事―会意―ローマ字の会意―漢字の大半は形声―音符―転注仮借は文字の用法―六書説の文献
書の六体
六体の作者
文字行脚
石鼓文―岣嶁碑―季子の碑―秦碑―秦瓦―碑林―石経―法帖―紀泰山銘―経石峪―雲門山―石膏山―龍門―雲崗―唐宋諸名家の法帖―酔翁亭記―岳飛の満江紅―偃師の聖教序―王右軍故宅―青玉峡
漢字は大切にしたい
漢字普及の範囲
漢字は国字
漢字の渡来―神代文字―漢字は日本人の有った最初の文字―仮名
近時漢字用法の乱雑さ
誤字だらけ―漢字軽視の余弊―字を写すは是れ是れ学なり
漢字はむつかしいか
画数の多い漢字
表音文字が多い
田中館博士の卓見―漢字にも表音文字が多い
音符を知れば
音の種類は四百余―音符―同音別義の混乱―部首による便宜
画数の多いということ
画数と視覚―覚える速度と忘れる速度
教育の仕方にもよる
象形指事会意を教育に利用して―教授上の一案
近時の漢字問題
私の立場
私に対する二つの誤解―漢字制限に先だって国語整理を―議論は好まぬ―私の主張の大要―代用文字は注意が必要
廃してはならぬ
表意文字と表音文字の得失―漢字を用いるのは宿命だ―天麩羅も喰べたい―尊い文化財は大切に
漢字がある限り中国は亡びない
当用漢字の数
廃止論者の誇張―当用漢字は二千程度でよい―二千字でよいが二つの条件―当用漢字の制限は小中学だけ―高木低木などはいけない―自然に任せてもあまり多くはならぬ―制限の強制は越権だ
簡略字は許容とせよ
略体をへたに作ると漢字が多くなる―略体を定めても正体をうそとは曰われない
中国の簡略字
中国略字の例―国務院の公定字―略字を作る法則―全部表音化することはあるまい
古典の味
素読の益
読書百遍義自ら通ず―古老の一言
師弟同行
古典は平易だ 親しみ易い
四書の文字数は二千三百二十字―親しみのある語―論語と人の名 学校の名
文壇人の雅号
鏡花―漱石―抱月・嘲風―樗牛―進乎斎
明治文人の漢学の素養
出典は必ずしも古いもの丈でない―邦人の多く読んだ漢籍―逍遙・天溪・天随その他―美妙斎も桂月も
国語の中の漢語
天目の茶碗
漢語の濫用を誡めよ
普通の日本語を
新造語は多く漢語
漢語を用いる社会層―国語の中の漢語の比率―漢語は出来易い―矢張り便利だから―だんだん味が分ってくる
漢語は国語の中に融けている
和語と漢語の見分けかた―物名中の漢語―音訓の同じものは多くもと漢語
話の泉の好題目
面白い問題―想像という言葉―現象・印象
漢字漢語を用いるのは宿命だ
新らしい言葉は漢語なしにいけるか―漢字を用いなければ造語力が減じる―耳で聞く語としては―有りがたい宿命だ―漢語即国語の三種―下手な漢語―含蓄ある言葉―国語の性質上表音字だけでは表わしにくい
中国はなお更だ
中国でも漢字廃止はせぬ―五十八字が皆同一音から出来ている文
音韻の話
四声
今の中国音に入声はない
音韻と詩
平韻三十―押韻―仄韻七十六―詩の押韻例―語の平仄と音感の美しさ―百六韻
韻学の歴史
韻書―二百六韻―平水韻―音韻は変化する
古典の押韻
老子の押韻―論語の押韻―古典には天籟の響がある
名人の詩句
意訳だけでは味がない―杜甫の名句―李白を夢む詩―哀江頭―万葉も及ばぬ情懐―李白の静夜思―山月歌―李白の憂国詩―漢字漢語の妙味
成語・熟語
成語の出来る形
有名な作品から新語ができる―水落石出―友于・孔懐―紅於―桑中の楽―橘中の楽
二字の熟語
二字を綴り合せる色々の形式―上にするのと下にするので―二字の組み合せで二つの意味となるもの、及びその種類―一字は帯説のもの―形容詞の作り方
畳語
漢字は熟字を作り易い―畳語は多く形容詞―二字一義―発音からだけの畳語―語感からだけの畳語
双声畳韻
双声畳韻の基礎―声と韻―双声畳韻の解―実例―別義の双声畳韻―暗記し易い訳―国語にもある
文字遊戯
巧みな成語
魯酒薄くして邯鄲囲まる
うそから出たまこと
刀自という語―挙燭と書いて国が治まる―学者も政客も郢書燕説
彫陵の荘子
廻文詩
長唄宝船の句―蘇東坡の作―織錦画題の詩―金山寺の詩―廻文詩の起原―隠語
析字・析字詩
白水真人―卯金刀―析字は左伝にもある―析字と術者―析字詩―文字の遊戯と辞書
解りにくい日常語
書簡文の用語
候―殿・様―御―罷在―儘―乍
仏語からの転化
機嫌―挨拶―普請―息災―参上
充て字の出典
バカの語源―国語辞典と漢語辞典の別―氷其凌―馬蝦―図を按じて駿をもとむ―馬鹿
牽強は戒めよ
狂信を戒む―王安石の字説―波は水の皮、滑は水の骨
俚言か雅語か
日中俚言の一致―俗語と出典―俗語の説明書
古人の苦心
用字格、訳文筌蹄―福恵全書の適訳
典籍文房雑談
禍棗災李
版木のはじめ
木版の創始
活字字母の話
活字の発明―武英殿版と慶長勅版―百万塔の経文―筆写の時代
筆硯紙墨のこと
筆の発明―筆は述なり畢なり―硯の発明―硯は研なり―湖筆・徽墨・端溪硯―紙の発明―墨は黒土―文房は貴重品
書物の体裁
方策時代―簡の長さと字数―韋編三絶―蝌斗文字―典籍以前―巻子本―帖・槢本―旋風葉―胡蝶装・粘葉・綴葉―列帖―葉子
書物の特名
特名の因って起る理由
年中行事の文献
年中行事は人生に潤いを与える
正月元日と春秋
屠蘇―なぜ正月元日というか―人日と七種菜
寒食節と晋の介子推
介子推の史実―清明節とお彼岸
桃の節句と曲水の宴
上巳の意味―禊の起源
王義之の蘭亭帖
曲水宴の起源―蘭亭帖に関する雑事
端午節句のちまきと屈原
端午の意味―屈原の史実―粽と鯉のぼり
盂蘭盆と中元
盂蘭盆の意味―中国における盂蘭盆の最初―中元の意味
七夕及乞巧奠とその詩
七夕の起源―七夕の詩とその伝説―乞巧奠とその詩―赤壁の賦
仲秋の名月
仲秋玩月の詩―月餅と玉兔 西王母と姮娥―李白の詩
重陽と菊花の酒
九月十三夜―重陽の意味―登高の故事とその詩―菊花の酒―桃の酒、菖蒲の酒―日本と中国とは風俗的に同源
結婚に関する文献
詩経に表われた結婚の時期
小星の詩、綢繆の詩―摽有梅の詩―左伝に表われた史実
媒妁と高媒
媒は謀、妁は酌―結婚と燕
六礼と今俗
六礼の解―納徴と結納―許嫁―民国初年頃の実際
月下氷人
月老の伝説―氷人の伝説―縁起の品々
結婚制度の確立
母を知って父を知らず―一夫多妻
結婚と宗法観念
宗法と結婚の礼制―三従七去
不思議な結婚
指腹婚―冥婚―鬼媒人
夫婦の地位
字義から見て―喪服制から見て
葬祭に関する文献
葬前の諸儀
招魂―重―大小斂と殯
服喪の期間
風水家の役―服喪の期間
お墓のこと
「ハカ」の文字
礼の三本
礼の三本
宗廟の祭祀
宗廟の字義―天子七廟の制―時祭と大祭―告祭
天神地祇の祭祀
追遠と報本―天祭の種類―郊祭―社稷―漢字漢語は日本に生きている―日中は文化の同源国