昭和の天皇と東条英機
第一章 プロローグ
東條家の系譜
日露戦争における東条英教
張作霖爆死事件
満州事変
第二章 派閥抗争
皇道派と統制派
士官学校事件
三月事件の余波
永田鉄山殺害さる
第三章 二・二六事件の周辺
事件の概要
天皇機関説
天皇と蹶起将校
蹶起趣意書(蹶起の目的)
日本改造法
皇道派の態度
天皇対磯部浅一
事件終熄までの経緯
二・二六事件の結末
第四章 戦争への階段
広田弘毅内閣
日独防共協定その他功罪
石原莞爾とその思想
宇垣一成内閣の流産
林銑十郎の喰い逃げ解散
西安事件
日本の対中国政策
第五章 近衛内閣
近衛内閣成立の反響
近衛の思想背景
盧溝橋事件の勃発とその波紋
中央(参謀本部および陸軍省)の態度
日中全面衝突までの経緯
政府(近衛内閣)の優柔不断
蒋介石の決意・廬山会談
近衛の和平工作頓挫
郎坊事件と広安門事件
中国共産党の抗日救国十大綱領
東條英機、チャハル作戦の指揮をとる
第六章 独伊への傾斜
大本営・政府連絡会議の新設
ルーズベルト大統領の隔離演説
南京陥落とその余波
「国民政府を対手とせず」声明
電力国家管理および国家総動員法案
佐藤賢了中佐の「黙れ」事件
社会大衆党の後退
西尾末広の除名
杉山元陸相の罷免
内閣改造
東條英機、陸軍次官となる
宇垣一成新外相の対中国和平工作とその挫折
汪兆銘による和平工作案の抬頭
近衛の東亜新秩序声明とその波紋
汪兆銘、重慶を出る
近衛内閣総辞職
独伊への接近
東條英機、新設の陸軍航空総監兼航空本部長就任
第七章 ドイツ電撃の余波
平沼騏一郎の後継首班
ダイナマイト事件
ヒトラーのチャコスロバキア解体とその波紋
大島、白鳥両大使の"独断専行"
独伊、軍事同盟結ぶ
アメリカの態度硬化
平沼首相のメッセージ、米首脳によって無視さる
米政府、日米通商条約廃棄を通告しきたる
天津事件
澎湃たる国内の反英、排英運動
ノモンハン事件の勃発
独ソ不可侵条約と平沼内閣
阿部信之内閣
ドイツ軍、ポーランドに進入
ノモンハン事件の後始末
対米交渉の胎動
ソ連への接近
阿部内閣倒れる
米内光政内閣の誕生
斎藤隆夫代議士発言と社会大衆党の瓦解
汪兆銘の国民政府成立
陸軍、米内内閣を倒す
第八章 松岡外交
第二次近衛内閣成立
東條英機、陸相就任
五相会談
大東亜共栄圏思想の胎胚
世界の推移に伴う処理要綱
北部仏印進駐とその概要
進駐に関連した東條陸相の問責人事
松岡旋風――外務省人事の改造
松岡洋右のアイデンティティとその外交方針
東條英機の国際知識
日独伊三国同盟に関する御前会議の内容
三国同盟条約正式に調印さる
同盟に対する米ソの反応
ルーズベルトの「民主主義の兵器廠」演説
ソ連外相モロトフのベルリン訪問
独ソ会談(日独伊ソ四ヵ国同盟構想)決裂
第九章 日米交渉
石油買いつけに関する対蘭印折衝
対中国和平交渉計画――桐工作および銭永銘工作の挫折
タイ、仏印にたいする日本政府の居中調停
新駐米大使に野村吉三郎海軍大将決まる
"法衣の密使"きたる
産業組合中央金庫理事、井川忠雄という男
善意による被害
民間レベルの日米交渉にたいする米国首脳の反応とその真意
新駐米大使野村吉三郎の当惑
いぜん強気の松岡外相
野村大使および井川忠雄の渡米
米国務省の猜疑
井川忠雄の"大活躍"
米国務長官コーデル・ハルと野村大使の初会見
ハルの肚の中
米の武器貸与法成立
対日独伊戦に関する米英参謀会議開催さる(結果、枢軸打倒計画ABC∸一(ワン)完成)
第一回野村・ルーズベルト会談
第十章 松岡の退場
松岡洋右の訪欧出発
松岡、スターリンと会う
松岡・ヒトラー会談
再度スターリンと会食
日ソ中立条約締結
対米交渉の布石
海のかなた米国の事情
日米諒解案
"ハル・四原則"の欠落
日米諒解案、日本に届く
松岡の帰国
松岡、日米諒解案に反発する
松岡、日米中立条約を提議
米、日米中立条約を拒否す
野村駐米大使より「ハル・四原則」届く
日米諒解案に対する修正案を打電す
日本側の情報、暗号解読により米側に筒ぬけ
ハル国務長官のオーラル・ステートメント(米対案)
独ソ開戦
南部仏印進駐決定す
米対案に松岡洋右激怒す
日本側第二対案
松岡追い落としの内閣総辞職
第十一章 東條内閣と開戦
第三次近衛内閣
三国同盟の既定方針動かず
南部仏印進駐計画、米側に洩れる
窮地に立つ野村大使
米、対日資産凍結と対日石油の全面停止を断行
フィリピンに米陸軍司令部新設
ダグラス・マッカーサー極東司令官に就任
海軍、対米戦を主張
日本政府、対米回避の模索をつづける
近衛、日米首脳会談を提唱
海軍「帝国国策遂行」
「国策遂行」御前会議において採択さる
米、日米首脳会談を拒絶
荻窪会談
東條陸相の提言でない内閣総辞職
東條、皇族(東久邇内閣)を提言
組閣の大命東條英機に降下
東條内閣組閣の経緯
東條内閣、対米戦回避へ努力す
栗栖三郎新大使の渡米
大本営陸海軍部、対米英蘭戦準部
真珠湾奇襲攻撃計画
米英撃つべしの強硬世論
潰え去った米側暫定協定案
運命の「ハル・ノート」到着
大本営・政府連絡会議、対米英蘭戦を決定
聖断くだる
ルーズベルト大統領の天皇宛親電と称するもの
開戦
第十二章 挂冠まで
緒戦の勝利
第一段作戦の概況
「今後採るべき戦争指導の大綱」
くいちがいをみせる大本営陸海軍部の攻戦略
独自の方針を抱く山本連合艦隊司令長官
ミッドウェー島攻略作戦計画
ドーリットル隊の東京初空襲
ポートモレスビー海路攻略戦(MO(エム・オー)作戦)
珊瑚海海戦
MO作戦の中止
ミッドウェー海戦の敗北
米軍ツラギ、ガダルカナル島へ上陸
日米、戦争終末捉進案の相違
ヨーロッパ戦線
ガ島、半年間にわたる争奪戦
ポートモレスビー陸路攻略の失敗
中央、輸送船舶問題で紛糾す
ガダルカナル島撤退決定
山本連合艦隊司令長官の戦死
アッツ島玉砕
キスカ撤収
インパール作戦発動に至る経緯
チャンドラ・ボース
大東亜省の設置
東郷茂徳外相、単独辞任
大東亜会議開催と大東亜共同宣言
ふたたびヨーロッパ戦線
ムッソリーニ失脚
イタリア・バドリオ政権、無条件降伏受諾
ヒトラーのムッソリーニ救出作戦
カイロおよびテヘラン宣言
スターリン、テヘランにおいて対日参戦を約す
学徒出陣絶対国防圏
マキン、タラワの日本軍守備隊全滅
米軍、クェゼリン、ルオットに上陸
トラック、米軍機と艦砲に蹂躙さる
東條、参謀総長を兼任する
東條打倒の動き
サイパン失陥
インパール作戦頓挫す
連合軍、ノルマンディー上陸作戦実施
東條挂冠、予備役に編入さる
第十三章 原爆投下
大本営の捷号作戦構想
米軍のレイテ湾来攻
捷一号作戦発動さる
神風特別攻撃隊
栗田艦隊の反転
米軍、ミンドロ島に上陸開始
レイテ作戦の終熄
ヤルタ会談においてスターリン、対日参戦を確約
米軍、ルソン島・リンガエン湾に上陸
天皇、各重臣より意見を徴す
近衛の上奏文
東條、参内し強気の上奏を行なう
硫黄島陥落
米軍、沖縄に進行
小磯国昭内閣総辞職
鈴木貫太郎の後継首班
ソ連、中立条約破棄を通告しきたる
鈴木内閣組閣の経緯
沖縄地上軍・第三十二軍の苦悩
連合艦隊、菊水一号作戦実施(戦艦「大和」以下出撃)
「大和」沈没
ルーズベルト大統領の死
トルーマン副大統領の昇格
ムッソリーニ処刑さる
ヒトラーの自殺とドイツの無条件降伏
日本政府、ソ連に戦争終結の仲介を期待する
大本営、本土決戦を呼号
沖縄作戦の終焉
日本政府、近衛を特使としてソ連に送ることを決定
本土決戦計画案の内容
米の日本本土進攻計画
ポツダム会談
米、原爆実験に成功
"冷戦"のはじまり
ポツダム宣言の内容
外務省、ポツダム宣言受諾に一致
鈴木首相のポツダム宣言「黙殺」談話
広島、長崎に原爆投下さる
ソ連参戦
第十四章 逮捕
ポツダム宣言受諾決定までの経緯
天皇直接の御前会議召集
終戦の聖断と詔書発布
玉音放送
一部将校によるクー・デター計画
厚木航空隊の騒擾事件
陸相阿南惟幾以下自決者相次ぐ
東久邇新内閣成立
連合軍の進駐開始
ダグラス・マッカーサー、連合国最高司令官として厚木飛行場に到着
米戦艦ミズーリ号における降伏調印式
米人ジャーナリストの眼に映った焼土日本
マッカーサー、対日政策の冒頭に戦争犯罪人の選定と逮捕を指示
東條、A級戦犯第一号に指名さる
東條、自決に失敗
東條の遺書と称されるもの
あいつぐ自決者
天皇、マッカーサーを訪問
逮捕者つづく
近衛文麿の死
主席判事キーナン一行到着
第十五章 その死まで
巣鴨拘置所
米の"東京裁判"に対する方針
オーストラリア代表判事ウェッブ、裁判長に任命さる
ソ連の横ヤリ
起訴状の手交
起訴状の内容
日本人および米人弁護団と担当被告
日本人弁護団副団長清瀬一郎
東條の主任弁護士となる
日本人弁護団各人の内情
開廷の日
大川周明の狂態
大川その後
清瀬弁護人、裁判長忌避の申し立てを行なう
各被告の罪状の認否
清瀬弁護人、極東国際軍事裁判所の管轄に関する動議を行なう
病状悪化の松岡洋右、米陸軍病院に収容さる
広田弘毅夫人の自殺
米人弁護士数名、辞任して帰国する
松岡の死亡
元満州国皇帝溥儀証人席に坐る
ニュールンベルグ裁判、判決下る
ゲーリング自殺の余波、巣鴨拘置所におよぶ
元軍令部総長永野修身、死亡
検察側の立証段階終了
弁護団側の控訴棄却動議
弁護団側の冒頭陳述の内容
弁護団側の各段階における反証
元関東軍作戦参謀石原莞爾に対する出張尋問
個人反証
一人の証人喚問もない東條部門
「東條口供書」の朗読
主席検事キーナンの東條に対する反対尋問
弁護側の補充立証
検事側の最終論告
弁護側の最終弁論
判決の内容
一部判事の少数意見
ウェッブ裁判長の個人意見
刑の宣告をきく各被告の素描(デッサン)
刑の執行に関するマッカーサーの声明
急変する当時の国際情勢
刑執行
あとがき