蟹工船興亡史
まえがき
水鏡に映して
出発点
本書の構造
第1部 黎明期――大正時代
第1章 一九一四年(大正三)蟹工船のたんじょう――練習船の活躍
第一節 練習船雲鷹丸
第二節 『富水百年史』の数字の謎
第三節 缶詰について
第2章 一九二一年(対象一〇)産業勃興期――工船の父
第一節 和嶋はなぜ、すぐに企業化できたのか
第二節 少年時代から経営者として仕込まれていた
第三節 情報に敏感だった和嶋貞二
第四節 剛直だが思いやりがあった和嶋貞二
第3章一九二一~二三年(大正一〇~一二)領海一二浬の打撃
第一節 それはラッコから始まった
第二節 和嶋ら水産組合の懸念
第三節 一九一七年のロシア革命
第四節 スターリンの配慮
第4章 一九二四年(大正一三)四国から北洋へ――八木親子の蟹工船
第一節 今治に昔を訪ねて
第二節 千石船が運んだ富
第三節 私財を投じた亀三郎
第5章 一九二四年(大正一三)
第一節 本格的蟹工船第一号
第二節 乗組員の状況
第6章 一九二五~一九二六年(大正一四~一五)蟹工船の記録――豊国丸と博愛丸
第一節 映像記録に残っていた呉羽丸と豊国丸
第二節 多喜二の『蟹工船』と博愛丸の違い
第三章 博愛丸の映画記録はどこへ
第2部 興隆期――「昭和」期前半(戦前)
第7章 一九二七~一九三二年(昭和二~七)輸出の花形、蟹缶詰
第一節 行き先は米国
第二節 海の男、菊地鉄弥
第8章 一九二九~一九三六年(昭和四~一一)海辺の石碑――松崎隆一の顕彰碑
第一節 日本最初の缶詰製造所で修業
第二節 もし、菊地鉄弥が博愛丸にいたら
第9章 一九三〇~三三年(昭和五~八)エトロフ丸遺聞――「航海法は適用されない工船」説は誤り
第一節 小説『蟹工船』の波紋
第二節 『富永百年史』に後日談
第三節 「航海法は適用されない工船」説は誤り
第10章 一九二九~一九三九年(昭和四~一四)蟹工船と海軍――記憶の絵本
第一節 蟹工船漁夫の証言
第二節 植村宗三郎が見た駆逐艦
第11章 一九三八~四五年(昭和一三~二〇)工船会社の統合――函館の三紳士
第一節 三〇〇〇人の職場
第二節 民需を圧迫した軍備
第3部 復活から終焉へ――戦後「昭和」期
第12章 一九四一~五二年(昭和一六~二七)休漁期――敗戦から占領へ
第一節 敗戦がもたらしたヤミ商人
第二節 蟹工船の艤装が甦る
第13章 一九五三~一九七〇年(昭和二八~四五)船団、再び北洋へ
第一節 データ分析で目標達成
題二節 装備の改善とソ連船との比較
第14章 一九五三~一九六五年(昭和二八~四〇)イメージの落とし穴――映画≪蟹工船≫の波紋
第一節 映画≪蟹工船≫批判から
第二節 岡本信男の映画評と多喜二の未発表ノート
第三節 井本光夫の指摘
終章 一九六五~一九七二年(昭和三九~四七)さらば母船式蟹工船――漁業権と制海権
第一節 海上の境界線
第二節 終末期の「蟹工船」に会えた
第三節 最新技術と漁業
第四節 蟹工船が残したもの
正規蟹工船名とその他関連船舶名
蟹工船関連年表
あとがき
【索引】 事項索引/船名索引/人名索引/地名索引