図書アイコク ヒャクニン イッシュ080007371

愛国百人一首

サブタイトル1~10
編著者名
川田 順 著
出版者
河出書房新社
出版年月
2005年(平成17年)5月
大きさ(縦×横)cm
20×
ページ
190p
ISBN
4309017118
NDC(分類)
911
請求記号
911/Ka98
保管場所
地下書庫半藤図書
内容注記
大日本雄弁会講談社1941年刊の再刊
和書 半藤一利氏旧蔵資料
目次

緒言
1 大葉子 韓国の城の上に立ちて大葉子は領巾振らすも日本へ向きて
2 柿本人麻呂 大君は神にしませば天雲の雷の上に廬せるかも
3 小野老 青丹によし奈良の京は咲く花の匂ふが如く今さかりなり
4 笠金村 もののふの臣の壮士は大君の任のまにまに聞くといふものぞ
5 大伴旅人 八隅知わが大君の御食国は大和もここも同じとぞ思ふ
6 高橋虫麻呂 千万の軍なりとも言挙げせずとりて来ぬべきをのことぞ思ふ
7 海犬養岡麻呂 み民われ生けるしるしあり天地の栄ゆる時にあへらく思へば
8 雪宅麻呂 大君のみことかしこみ大船の行きのまにまに宿りするかも
9 橘諸兄 ふる雪の白髪までに大君に仕へまつればたふとくもあるか
10 大伴家持 敷島の日本の国にあきらけき名に負ふ伴の緒こころつとめよ
11 丈部造人麻呂 大君のみことかしこみ礒に触り海原わたる父母をおきて
12 大舎人部千文 霰降り鹿島の神を祈りつつ皇御軍にわれは来にしを
13 今奉部与曾布 今日よりはかへりみなくて大君の醜の御楯と出で立つわれは
14 文屋康秀 草深き霞の谷に影かくし照る日の暮れし今日にやはあらぬ
15 在原業平 忘れては夢かとぞ思ふ思ひきや雪踏みわけて君を見むとは
16 菅原道真 海ならずたたへる水の底までも清きこころは月ぞ照らさむ
17 大中臣輔親 祖父父うまご輔親三代までに載きまつるすべらおほん神
18 源経信 君が代はつきじとぞ思ふ神風や御裳濯河の澄まむかぎりは
19 高倉一宮紀伊 何事につけてか君を祈らまし八百万代もかぎりありけり
20 源通親 朝ごとにみぎはの氷ふみわけて君に仕ふる道ぞかしこき
21 藤原良経 我が国は天照る神のすえなれば日の本としも言うにぞありける
22 源実朝 山は裂け海はあせなむ世なりとも君に二心吾があらめやも
23 鏡月房 勅なれば身をば寄せてきもののふの八十宇治川の瀬には立たねど
24 藤原家隆 何か残る君が恵の絶えしより谷の古木の朽ちも果てなで
25 大納言経任 勅をして祈るしるしの神風によせ来る浪ぞかつ砕けける
26 中臣祐春 西の海よせ来る浪もこころせよ神のまもれる大和島根ぞ
27 宏覚禅師 末の世の末の末まで我が国はよろづの国にすぐれたる国
28 藤原俊基 いにしへもかかる例をきく川のおなじ流れに身をや沈めむ
29 源具行 帰るべき道しなければこれやこの行くをかぎりの逢坂の関
30 花山院師賢 思ひかね入りにし山をたち出でて迷ふ憂世もただ君のため
31 菊池武時 もののふの上矢の鏑ひとすぢにおもふ心は神ぞ知るらむ
32 粟田久盛 植えおかば苔の下にもみ吉野のみゆきの跡を花や残さむ
33 楠木正行 かへらじとかねて思へば梓弓なき数にいる名をぞとどむる
34 北畠親房 かた糸の乱れたる世を手にかけて苦しきものは吾が身なりけり
35 北畠守親 みちのくの安達の真弓とりそめしその世に継がぬ名を嘆きつつ
36 四条隆俊 君がため吾が取り来つる梓弓もとの都にかへさざらめや
37 藤原光任 思ひきや山路のみ雪ふみわけてなきあとまでも仕ふべしとは
38 藤原師兼 我が君の夢には見えよ今もなほかしこき人の野べに遣らば
39 足利成直 神路山いづる月日や君が代をよるひる守る光なるらむ
40 源頼武 引きそめし心のままに梓弓おもひかへさで年も経にけり
41 北畠顕能 いかにして伊勢の浜荻ふく風の治まりにきと四方に知らせむ
42 二条為忠 君すめば峯にも尾にも家居してみ山ながらの都なりけり
43 花山院長親 神の代の三種のたから伝へます我がすべらぎぞ道も正しき
44 太田道灌 二つなきことわり知らば武士の仕ふる道はうらみなからむ
45 森迫親正 命より名こそ惜しけれ武士の道にかふべき道しなければ
46 三宅治忠 君なくば憂身の命なにかせむ残りて甲斐のある世なりとも
47 中村文荷斎 ちぎりあれや涼しき道にともなひて後の世までも仕へ仕へむ
48 豊臣秀吉 唐土もかくやは涼し西の海の浪路吹きくる風に問はばや
49 細川幽斎 日の本の光を見せてはるかなる唐土までも春や立つらむ
50 新納忠元 あぢきなや唐土までもおくれじと思ひしことは昔なりけり
51 是斎重鑑 異国もしたがひにけりかかる世を待ちてや神の誓ひあらはす
52 板倉重昌 あらたまの年にさきだち咲く花は世に名を残すさきがけと知れ
53 大石良雄 あら楽し思ひは晴るる身は捨つるうき世の月にかかる雲なし
54 僧契冲 わたつみのその生みの子の八十つづき大和の国の君ぞ変らぬ
55 荷田春満 踏みわけよ大和にはあらぬ唐鳥の跡を見るのみ人の道かは
56 賀茂真淵 もろこしの人に見せばやみ吉野の吉野の山の山桜花
57 本居宣長 さし出づるこの日の本の光より高麗もろこしも春を知るらむ
58 平田篤胤 思ふこと一つも神に努めをへず今日やまかるかあたら此の世を
59 橘曙覧 君と臣品さだまりて動かざる神国といふことを先づ知れ
60 大国隆正 仇と見るえみしが伴を未遂に貢の船となさでやまめや
61 白河楽翁 青柳の糸のみだれを春風のゆたかなる世に忘れずもがな
62 徳川治紀 梓弓八島のほかもおしなべて我が君が世の道仰ぐらし
63 水戸烈公 敵あらばいでもの見せむ武士の弥生なかばの眠りざましに
64 林子平 伝へては我が日の本のつはものの法の花咲け五百年の後
65 高山彦九郎 われを我としろしめすかやすべらぎの玉の御声のかかるうれしさ
66 蒲生君平 比叡の山みおろす方ぞ哀れなる今日九重の数し足らねば
67 村田清風 しきしまの大和心を人問はば蒙古のつかひ斬りし時宗
68 藤田東湖 八千矛の一すぢごとにここだくの夷の首つらぬきてまし
69 梅田雲浜 君が代をおもふ心の一すぢに吾が身ありとは思はざりけり
70 頼三樹三郎 吾が罪は君が代おもふまごころの深からざりししるしなりけり
71 吉田松陰 かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂
72 有村蓮寿尼 雄々しくも君に仕ふる武士の母てふものはあはれなりけり
73 佐久良東雄 飯食ぶと箸をとるにも大君の大きめぐみと涙し流る
74 児島強介母 天皇に身は捧げむと思へども世に甲斐なきは女なりけり
75 是枝柳右衛門 隼人の薩摩の子らの剣太刀抜くと見るより楯はくだくる
76 田中河内介 大君の御旗の下に死してこそ人と生まれし甲斐はありけれ
77 松本謙三郎 君がためいのち死にきと世の人に語り継ぎてよ峯の松風
78 伴林光平 君が代はいはほと共に動かねばくだけてかへれ沖つ白浪
79 平野国臣 吾が胸の燃ゆるおもひにくらぶれば煙はうすし桜島山
80 佐久間象山 梓弓真弓槻弓さはにあれどこの筒弓に如く弓あらめや
81 久坂玄瑞 執り佩ける太刀の光はもののふの常に見れどもいやめづらしも
82 真木保臣 一すぢに思ひいる矢の誠こそ子にも孫にも貫きにけれ
83 武市半平太 年月は改まれども世の中のあらたまらぬぞ悲しかりける
84 野村望東尼 誰が身にもありとは知らでまどふめり神のかたみの大和魂
85 遊君桜木 露をだにいといふ大和の女郎花ふるあめりかに袖はぬらさじ
86 岩倉具視 ふるばかり亜米利加船の寄せば寄せ三笠の山の神いますなり
87 三条実美 大君はいかにいますと仰ぎみれば高天の原ぞ霞こめたる
88 佐佐木弘綱 橿原のひじりの御代のいにしへの跡を覓めても来たる春かな
89 玉松操 えみしらが息吹に曇る月みればみやこの秋の心地こそせね
90 江藤新平 ますらをの涙を袖にしぼりつつ迷ふ心はただ君のため
91 西郷隆盛 上衣はさもあらばあれ敷島のやまと錦は心にぞ著る
92 勝安芳 国守る大臣は知るや知らざらむ民のかまどのほそき煙を
93 海上胤平 うとかりし老の耳にもこのごろの軍がたりは聴きももらさず
94 与謝野寛 都鳥みやこのことは見て知らむわれには告げよ国の行末
95 福本日南 思ひきや日の入る国のはてに来て昇る朝日の景を見むとは
96 八田岩馬 名のために佩けるにはあらじ我が太刀はただ大君の勅のまにまに
97 辻村文夫 名も初瀬いくさもこれが初めなりおくれは取らじ国のみために
98 庄司祐亮 しののめの空くれないに昇る日は八咫の鏡の光なりけり
99 高崎正風 御涙をのみて宣らししみことのり貫きとほせいのち死ぬとも
100 乃木希典 うつし世を神去りましし大君のみあとしたひて我は行くなり
 
愛国歌概説
後記
 
巻末エッセイ
感想一つ二つ――半藤一利
戦争に雪崩れこんでゆく時代の精神――松本健一
「文武」両道の絵巻物――樋口覚
解説「老いらくの恋」の純愛歌人は、愛国歌人だった――島内景二