太陽はまた昇る 下
第九十一章 尾崎、コミンテルンのスパイとして取調べられることを知らされ驚愕して失心すること
第九十二章 尾崎、世界革命の一環としての「東亜新秩序論」を述べること
第九十三章 尾崎、何もかも自白したのち、係り官に捕われの心境を語ること
第九十四章 ゾルゲ、鳥居坂署の特高にアッパーカットを喰わすこと
第九十五章 ゾルゲ、身辺の危険を予感し、上海逃避をくわだてて失敗すること
第九十六章 政府、統帥部一体となつて開戦のための御前会議を開くこと
第九十七章 近衞公、百姓になろうか学校を建てようかと迷うこと
第九十八章 古田、近衞公をスイスへ何となく滞留させる案を木戸内府に進言すること
第九十九章 近衞公、清水の舞台から飛び降りる覚悟で痔の手術をすること
第百章 近衞公、ゾルゲ事件の検挙の手が身辺に及ぶことを極度に怖れること
第百一章 東条首相、国内の結束をみだす者はいかなる高位高官でも、断固処分すると言明すること
第百二章 近衞公、戦争終結についての上奏を周囲からすゝめられること
第百三章 中野正剛、日比谷公会堂で東条内閣批判を獅々吼し、堂々三時間半に及ぶこと
第百四章 東条政権、「戦時刑事特別法」の成立によつて防弾チョッキに身を固めること
第百五章 近衞、木戸に会い、軍部の「五十年戦争計画」なるものについて話すこと
第百六章 近衞、山本長官戦死の情報をいち早く知り、三田武夫にもらすこと
第百七章 中野、臨時議会の代議士会で翼政幹部を「茶坊主」と罵り、鳩山と共に脱退すること
第百八章 細山、機転をきかせて後からつけてくる憲兵の自動車を停め、威すこと
第百九章 近衞、東条の憲兵政治の強迫にあい、天皇に直訴するといきまくこと
第百十章 近衞らのグループ、後継内閣の首班として宇垣擁立に傾くこと
第百十一章 重臣会議、東条に居直られてウヤムヤにおわること
第百十二章 三田、戦刑法の倒閣謀議の嫌疑で、先ず捕えられること
第百十三章 三田、看守巡査の禅問答で留置場生活の無聊を慰められること
第百十四章 中野、天野らと共に検挙され警視庁に留置されること
第百十五章 中野、憲兵隊に身柄をうつされ、三田、温泉へ連れて行かれること
第百十六章 中野、憲兵の護衞付きで自宅へ帰つた晩に、自決して果てること
第百十七章 細山、高松宮に、東条を絞め殺すから呼びつけてくれと迫ること
第百十八章 酒井、ドイツの和平交渉に関する極秘の「須磨電」を近衞にもらすこと
第百十九章 近衞、尾崎事件では実にイヤな思いをさせられたと、富田に述懐すること
第百二十章 古田ら、宇垣に終戦内閣組織の成算がないことを知り、宇垣を見かぎること
第百二十一章 岩瀬、湯河原に静養中の近衞公を訪ね、岸国務相が東条に叛旗を飜した情報を齎すこと
第百二十二章 岡田、島田海相に辞職を勧告し、東条によびつけられて威嚇されること
第百二十三章 東条、木戸に内閣強化の相談をもちかけ、逆に木戸から三条件を出されること
第百二十四章 東条、総辞職の閣議席で岸国務相を「裏切り者」と面罵すること
第百二十五章 近衞、後継首相銓衡の重臣会議で、陸軍部内に赤化思想があるとのべること
第百二十六章 近衞、岩瀬の助言から、小磯、米内聯立内閣を思いつき成立させること
第百二十七章 小磯、レイテ作戦惨敗を知らずに戦局は重大であると公式声明し、大本営困惑すること
第百二十八章 古田ら、近衞に戦争終結への上奏をすゝめること
第百二十九章 近衞、上奏文をしたゝめ天皇に拜謁すること
第百三十章 古田、岩瀬、上田の三人、近衞に上奏を示唆した嫌疑で憲兵隊に引致されること
第百三十一章 天皇、正殿に火がついたよ、と大声で呼ばわれること
第百三十二章 警備の人達、焼跡の余燼を見やりながら慟哭すること
第百三十三章 岩瀬、囚人護送トラックに上田とうまく乗り合せること
第百三十四章 古田、上田、岩瀬の三人突然釈放され、青い獄衣のまゝ家路をたどること
第百三十五章 岩瀬、腹工合が癒つたら近衞公を訪問しようと思うこと
第百三十六章 富田、六相会議が陸海両相の議論倒れに終つた情報を近衞公にもたらすこと
第百三十七章 近衞公、糖分の補給だといつて昼間から日本酒をチビチビやること
第百三十八章 近衞公、書きあげた秘密の手記を焼失し落胆のあまり浮かぬ顔をしていること
第百三十九章 細山、藤沢駅附近の暗がりで富田と連絡し、御前会議の模様をつたえること
第百四十章 近衞公、日本の終戦の意志をアメリカに通ずる手段につき種々富田に語ること
第百四十一章 岩瀬、近衞上奏文が憲兵隊の手に渡つたことについて公爵と話し合うこと
第百四十二章 近衞、日本の国体護持のために天皇の御退位の方法について岩瀬に語ること
第百四十三章 ソ聯仲介による和平交渉の特使として、全員一致を以つて近衞公が選ばれたこと
第百四十四章 天皇、近衞に特使としてソ聯へ行つてもらうことになるかも知れないと仰せられること
第百四十五章 近衞、ソ聯行きについて幣原と会見、幣原に反対されること
第百四十六章 阿南陸相、兵隊が農家に押し入つて飯櫃に手をかけたときゝ苦い顔で押し默ること
第百四十七章 近衞公、ソ聯行きが下手をするとヘスの二の舞いになるかも知れないと夫人に語ること
第百四十八章 近衞公、対ソメッセージに就いて外務省情報部長加藤俊市と打合せること
第百四十九章 広田・マリック会談、暗礁に乗りあげること
第百五十章 近衞公、ソ聯へ持参する講和条件の草案を酒井中将に委嘱すること
第百五十一章 近衞、参内して最悪の場合は直接電報で天皇の御裁可を仰ぐことの内諾を得ること
第百五十二章 近衞、ソ聯からの回答を待ちきれず、軽井沢へ逃避すること
第百五十三章 近衞、軽井沢山荘で「無条件降伏」の内容につき、あれこれと思い迷うこと
第百五十四章 酒井、ポツダム宣言をめぐつて伊藤述史らと論議をなすこと
第百五十五章 政府、広島に投下された「新型爆弾」が原子爆弾であることを知り驚倒すること
第百五十六章 マリック大使、突如として東郷外相に対日宣戦布告文を手交すること
第百五十七章 木戸、鈴木総理の默殺声明が崇つたことを近衞に話し、貧すりや鈍すると歎くこと
第百五十八章 天皇、御前会議の席上、ポツダム宣言受諾について異例の発言をなすこと
第百五十九章 近衞、街頭で「陸相布告」の予告ニュースをきき、おどろいて木戸邸へ赴くこと
第百六十章 近衞、近衞師団の将校らに不穏計画のあることを知り、木戸内府につたえること
第百六十一章 天皇、近衞師団の禁裏乱入ときき、驚愕のあまり半狂乱となること
第百六十二章 天皇、米空軍の示威飛行に眼もくれず、一人しずかに花壇に水を撤くこと
第百六十三章 近衞、ハラキリの無意味について周囲の者と語ること
第百六十四章 天皇、海軍航空隊の不穏分子鎮撫に高松宮派遣を思い立たれること
第百六十五章 近衞、マッカーサー元帥と会見し、憲法改正の示唆をうけること
第百六十六章 近衞、憲法起草問題につき内外の指弾をうけ、窮地におちいること
第百六十七章 近衞、「啼かぬなら啼かぬでもよしほととぎす」と口吟むこと
第百六十八章 千代子夫人、遠藤に「近衞の本心を知つているだろう」と詰めよること
第百六十九章 近衞、戦犯指定をうけた心境を用箋にしたゝめ、次男に手渡すこと
第百七十章 近衞、死の直前、ひとりしずかにオスカア・ワイルドの「ド・プロフンディス」を読みふけること
あとがき