多様化する〈知〉の探究者
まえがき
本シリーズ執筆者
凡例
ゲオルク・カントール 「無から有を生じさせる」集合論の妙(高田公理)
大槻文彦 「言葉の海」に乗り出した異能ぶり(紅野謙介)
ソースタイン・ヴェブレン 曲折と逸脱と予言者的洞察と(鴋澤歩)
ゲオルク・ジンメル 今世紀的「都市と社交の感性」の供給者(藤本憲一)
エドムント・フッサール 意識のより深い地点を目ざす現象学(鷲田清一)
アンリ・ベルクソン 「分析」より「直観」で実在に迫る(鷲田清一)
ジョン・デューイ 「普通の人々」への信頼が哲学の土台(能登路雅子)
内村鑑三 日本的曖昧さのない「非寛容の精神」(姜尚中)
新渡戸稲造 国際主義とナショナリズムの折衷(姜尚中)
津田梅子 「良妻賢母」を超えた女子教育に邁進(佐伯順子)
内藤湖南 清朝倒壊と中国の共和化を読み切る(藤井省三)
丘浅次郎 大杉栄を社会主義に誘った導きの糸(紅野謙介)
章炳麟 青年たちを魅了した国粋革命論(藤井省三)
木下尚江 キリスト教と社会主義の矛盾に躓く(五十嵐暁郎)
西田幾多郎 日本近代化のジレンマを超える企て(西谷修)
バートランド・ラッセル 数学と哲学と反戦に情熱を燃やす(若一光司)
ヨハン・ホイジンガ 「遊び」を文化の源とする文明批評(佐伯順子)
梁啓超 「覚世の文」で中国人に国家観念を注ぐ(藤井省三)
津田左右吉 冴えわたる近代主義者の史的分析力(鴋澤歩)
伊波普猷 沖縄を痛みつつ沖縄を掘り続ける(五十嵐暁郎)
吉野作造 大正デモクラシーをリードした言論(猪木武德)
河上肇 非利己主義の理想に生きた「求道の人」(徐京植)
オスヴァルト・シュペングラー 現代の<知>への強烈な危機意識(鷲田清一)
ベール・ボロホフ 「生産諸条件」を鍵に民族問題を予見(山内昌之)
ハンス・ケルゼン 「絶対的正義」を排し「純粋法学」を提唱(鴋澤歩)
金田一京助 〝大きな親(アイヌ)〟から授かった偉大な知恵(朝倉喬司)
北一輝 「ファシズムの源流」が放つカリスマ性(五十嵐暁郎)
オルテガ・イ・ガセ 「生の贋造化」に向けられた文化批判(鷲田清一)
ブロニスラフ・K・マリノフスキー 人類学の調査基本・参与観察法を拓く(井上順孝)
大川周明 アジアの前途を探るイスラム研究(山内昌之)
フランツ・ローゼンツヴァイク 戦火の深みから「救済」を描き出す(西谷修)
ルース・ベネディクト 戦時敵性研究が射抜いた日本人の本質(能登路雅子)
九鬼周造 エリート学者が廓(さと)文化を論じた衝撃(鷲田清一)
小泉信三 「冷静なマルクス・ファン」の行動様式(鴋澤歩)
今和次郎 「考現学」誕生は震災後の再生と共に(藤本憲一)
カール・シュミット 詭弁と明察がからむ魔性の知性(鵜飼哲)
和辻哲郎 「日本語で哲学する」可能性と取り組む(鷲田清一)
柳宗悦 「下手物(げてもの)」から湧き出る美に魅せられて(五十嵐暁郎)
アーノルド・トインビー 欧州中心主義を突き抜けた文明認識(高田公理)
L・ウィトゲンシュタイン 唯一の著作が哲学シーンを一変させる(鷲田清一)
河合栄治郎 自由主義と観念的理想主義の分裂(五十嵐暁郎)
胡適 自由恋愛を批判する若き思想家の恋(藤井省三)
E・H・カー 「歴史とは何か」に明快に答えた歴史家(臼杵陽)
ヴァルター・ベンヤミン メランコリックなマルクスのように(鷲田清一)
プラシャンタ・C・マハラノビス 洪水や農業生産を予測する多変量解析(高田公理)
李克魯 母語を守るための努力の先頭に立つ(徐京植)
福本和夫 福本イズム、国際舞台で歯が立たず(朝倉喬司)
オルダス・ハックスリー 知識人の名に値するクールな観察家(鷲田清一)
エルンスト・カントロヴィッチ 近代国民国家が成立する秘密に肉薄(鵜飼哲)
森銑三 偏屈を伴った知性のありよう(大月隆寛)
ボリス・スヴァーリン 「二十世紀最大の噓」を告発した炯眼(西谷修)
カール・レーヴィット 今も生きる日本への二重の苦言(鷲田清一)
徐志摩 新文学運動で既成道徳の打破を図る(藤井省三)
ジョルジュ・バタイユ 最大の病者として世界の「病」を照らす(西谷修)
ゲルショム・ショーレム 唯一の真のユダヤ精神の体現者(西谷修)
岡正雄 「文化」的大風呂敷の大元締(大月隆寛)
ヘルベルト・マルクーゼ 高度資本主義社会の「人間疎外」を衝く(鵜飼哲)
中井正一 日本人の論理性の欠如を埋める作業(武田徹)
エーリッヒ・フロム フロイトを超える試みと歪めた側面(井上順孝)
宮崎市定 世界史から中国史全体を見通す視野(小長谷有紀)
マーガレット・ミード 学者として女性として欲張りな人(香川檀)
アレクサンドル・コジェーヴ 「歴史の終わり」に殉じた賢人(西谷修)
E・H・エリクソン 「アイデンティティー」解明の生涯(井上順孝)
カール・ポパー 学問の全分野にわたる哲学的営為(猪木武德)
フェルナン・ブローデル 地中海を東西比較の試験紙とする(山内昌之)
イェシャヤフー・レイボヴィッチ 自国批判を続けた百科全書的知識人(西谷修)
ベンジャミン・スポック 自ら解放した子らに逆襲される皮肉(能登路雅子)
テオドール・アドルノ 大量虐殺と粛清と文化産業への絶望(鷲田清一)
吉川幸次郎 中国学を皓皓と照らす輝ける星(小長谷有紀)
ヴィクトール・E・フランクル 「夜と霧」を生き抜いた「意味への意志」(武田徹)
エマニュエル・レヴィナス 強制収容所から生還した哲学(西谷修)
ハンナ・アーレント 亡命・故国喪失を課題とした先駆者(鵜飼哲)
江上波夫 「鞍に穴をあける」遊牧民のような学者(小長谷有紀)
レイチェル・カーソン 全身全霊を込めた「人類への遺書」(若一光司)
宮本常一 徹底的な「あるく・みる・きく」の集積(大月隆寛)
モーリス・メルロ=ポンティ サルトルと対照的な「両義性の哲学」(鷲田清一)
植草甚一 コラムニストの権化みたいな人物(武田徹)
松田道雄 子どもの立場から育児を批判する(鷲田清一)
シモーヌ・ヴェイユ 肉体を酷使し否定しつつ真理を追う(香川檀)
知里真志保 怨念の歴史を一人で背負うように(小長谷有紀)
アイザイア・バーリン 「歴史の筋書き」を説く決定論を拒む(山内昌之)
ハーバート・ノ-マン 「赤狩り」に抗議自殺した知日派外交官(五十嵐暁郎)
保田與重郎 歴史を「芸術的狂気」と捉える発想(紅野謙介)
竹内好 中国の現在を摑まえようとする情熱」(藤井省三)
マーシャル・マクルーハン メディアによる人間環境の変容を問う(鷲田清一)
ダヴィッド・ルーセ 二つの「強制収容所の世界」を告発する(西谷修)
丸山真男 「戦後民主主義の『虚妄』に賭ける」立場(五十嵐暁郎)
井筒俊彦 東洋哲学の壮大な組み替えに挑む(山内昌之)
ロラン・バルト いかがわしいほど分類不可能な存在(鷲田清一)
中尾佐助 植物を切り口に文化・文明を考える(小長谷有紀)
ルイ・アルチュセール 何よりもマルクス主義者だった哲学者(鵜飼哲)
梅棹忠夫 情報革命を学問化した知性そのもの(高田公理)
吉本隆明 彼はなぜ戦後思想界に君臨しえたか(武田徹)
フランツ・ファノン 植民地主義に抗する暴力の理論化(徐京植)
イヴァン・イリッチ ユダヤを超えカトリックを超えて(小長谷有紀)
ミシェル・フーコー 一個の「不可能な存在」であり続ける(鷲田清一)
エリ・ヴィーゼル 強制収容所の体験に踏み止まる(若一光司)
ノーム・チョムスキー 「人間主義的」が一貫したキーワード(武田徹)
ジャック・デリダ 誰よりもニーチェの衣鉢を継ぐ文体(鵜飼哲)
カルロス・カスタネダ 呪術師にあやかった反文化(カウンター・カルチャー)の寵児(武田徹)
プライム・エッセー 一万年を経て遊動に明け暮れた太古の生活様式が甦る(高田公理)
参考文献
写真提供
本巻執筆者紹介
索引