戦後政治史の中の天皇制
序 本書の課題と視覚―現代天皇制論の課題―
「自粛」「記帳」ブームはなぜ起ったのか?
八〇年代に入ってなぜ天皇制強化の動きが台頭したのか?
戦後政治構造の中で天皇制はいかなる役割が期待されたのか?
新天皇の即位によって天皇制はどうなるのか?
第Ⅰ章 現代日本社会の構造と天皇制―「自粛」と「記帳」の社会学―
問題の所在―帰ってきた天皇
日本社会の天皇制伝統か、支配層の政策の成功か?
日本企業社会の力
企業社会の形成・確立と天皇制
自民党保守政治の力
自民保守政治の展開と天皇制
むすびにかえて―現代日本の「民主主義」と「自由」の脆弱性
第Ⅱ部 戦後政治史の中の天皇制
問題の所在―二つの天皇制イメージ
天皇制存続の危機の時代(一九四五~四七年)
至上目的としての「国体護持」の内容
「国体護持」をめざしての天皇の奮闘
「国体護持」をめぐる二つの勢力の対抗
GHQの天皇制改革構想
「象徴」制への妥協
天皇制の連続と断絶の時代(一九四七~五二年)
吉田茂対片山=芦田
「象徴」天皇の出発―片山=芦田内閣の意義―
「統治権総攬者」としての天皇
吉田内閣の天皇政策における連続と断絶
天皇制復活をめぐる攻防の時代(一九五二―六〇年)
戦前天皇制への復古志向の台頭
天皇制の「復活」
勢いづく天皇
新しい天皇制論の台頭
「大衆天皇制」への転態の試みと天皇
安保闘争の昂揚と天皇
天皇制の地盤沈下と保守政治による天皇利用の時代(一九六〇―八〇年)
日本企業社会の形成と天皇制の変貌
天皇制の地盤沈下と「象徴」イデオロギー
権威的改革派による天皇制強化の動きとその挫折
靖国神社法案をめぐる攻防
保守政治による天皇利用の頻繁化
天皇制の「復権」の時代(一九八〇~八九年)
八〇年代における天皇制の「復権」とその隘路
八〇年代における天皇制の「復権」の背景
元号法制化運動の「成功」と権威的改革派の活発化
靖国神社公式参拝の強行と挫折
天皇制強化策の隘路と矛盾
現代天皇制のゆくえ―「保守」と「反動」のギャップ―
問題の所在―天皇代替りをめぐる一連の事態が示したもの
現代保守支配の構造と民主主義
八〇年代における天皇制強化のねらいとその矛盾
裕仁天皇から明仁天皇への綱渡り
天皇代替りに際しての支配層のもくろみ
現代天皇制のゆくえ
あとがき