戦時下の仏教
一、 総論(中濃教篤)
天皇制ファシズムと信仰新体制
教学の歪曲と報国運動
二、 国防国家思想――仏教者の戦争責任――(市川白弦)
まえがき
昭和十五年前後の内外情勢
国防国家の本質
大政翼賛運動とアジア諸民族の史的発展
宗教者の戦争責任
戦争における宗教者の責任の倫理
戦争における宗教者の心情の倫理
天皇の戦争責任
空思想からみた戦争責任
三、 仏教のアジア伝道と植民地主義(中濃教篤)
中国植民地政策と仏教――リットン報告をめぐる日本仏教界の反応――
朝鮮皇民化政策と仏教――内鮮柔和と開教使の役割――
四、 真言教徒の中国開教(桜井栄章)
密教重興会の再建
戦時下真言宗の中国開教
五、 日蓮宗における満州開教の状況(松村寿顕)
六、 日本山妙法寺の中国大陸布教(富高行保)
七、 ファシズムと仏教――国家主義思想としての日蓮主義――(近江幸正)
はじめに
国家主義としての日蓮主義の形成
超国家主義運動と日蓮主義
むすび
八、 日蓮遺文削除と国神勧請問題(石川康明)
はじめに
日蓮遺文削除改訂問題の内容と展開
曼荼羅国神勧請不敬問題の実態
九、 皇道仏教行道会と日蓮宗団(中濃教篤)
行道会の成立とその教義
天皇本尊論をめぐる宗内の抗争
日蓮宗内の国家主義的体質
日蓮宗議会における天皇本尊論争
清水竜山の激しい批判
十、 真宗における聖典削除問題(信楽峡麿)
西本願寺教団における聖典削除
聖典削除に先行する教団の動向
聖典削除を行った教団の体質
聖典削除をめぐる今日的課題
十一、 「転向」と仏教思想――刑務所教誨等として関連して――(殿平善彦)
教誨活動と歴史的概観
「思想犯」と教誨活動
「転向」と思想としての仏教
仏教の異教化現象
十二、 戦時宗教総動員体制(岡田弘隆)
天皇制国家の宗教政策
宗教団体法制と戦時宗教総動員体制
ポツダム宣言受諾と宗教団体法制の崩壊
十三、 仏教徒の『草の根』抵抗と受難(伊藤立教)
国民統制強化の道
特高弾圧史に見る仏教
参考資料としての注