遅すぎた聖断
まえがき
第一章 太平洋戦争の開戦経緯と天皇
早期開戦論をめぐって
早期開戦への不安
戦争と外交、どちらが主か
アメリカに絶対に勝てるか?
統帥部による戦争の見通し
戦争に傾斜する天皇
統帥部、天皇説得を研究する
天皇、戦争を覚悟する
天皇の意思を尊重した東條
戦争終結の見通し
承認された戦果拡大方針
開戦直後の戦争指導方針
戦争指導方針の転換
方針転換の三つの要因
第二章 天皇の戦争指導と作戦指導
緒戦の作戦指導
作戦の繰り上げを要求する
バターン半島での苦戦
重慶攻略を督促する
ミッドウェー海戦敗北の衝撃
戦況悪化のなかで
太平洋からインド洋へ
ガダルカナル島奪回をうながす
ニューギニアでの攻勢を要求する
ニューギニア作戦での失態
天皇による決戦の要求
アッツ島「玉砕」
ソロモンでの決戦を要求
海軍の作戦指導に不満をいだく天皇
第三章 戦線の崩壊と天皇の焦慮
絶対国防圏をめぐる攻防
イタリアの降伏と天皇の情勢認識
絶対国防圏の設定
攻勢防御を要求する
ひろがる戦力格差
戦争指導方針の動揺
ガダルカナル撤退まで
イタリア脱落と絶対国防圏の設定まで
絶対国防圏の設定以後
絶対国防圏の崩壊
中部太平洋戦線、ついに崩壊
サイパンをめぐる決戦
戦争終結の機会をのがす
第四章 東條内閣の退陣と政局の新展
動き出した重臣たち
重臣たちの登場
木戸、説得に応ぜず
東條に執着する天皇
東條擁護論のなかで
東條内閣打倒工作のゆくえ
木戸の心境変化
主導権をめぐる攻防
天皇の説得に動く
重臣たちの東條打倒計画
劣勢に立つ主戦派勢力
近衛・木戸ラインの形成
追い詰められた権力者
天皇、東條支持を撤回す
打倒工作から終戦工作へ
第五章 天皇の継戦意思と「終戦」工作
遅延する「終戦」工作
主戦派との妥協
小磯内閣成立の事情
政権の一角を占める
戦争継続路線を踏襲
「和平」工作との関連で
遠い和平への動き
「和平」工作の兆し
国体護持の論理
固い天皇の継戦意思
変転する天皇の継戦意思
陸軍に同調する木戸
近衛上奏文と天皇の反応
無謀な戦争指導
終戦工作への傾斜
第六章 「聖断」決定経緯とその真相
「聖断」シナリオの着想
「穏健派」勢力の復権
封殺される和平工作
天皇に決断を迫る
時局収拾対策試案
対ソ工作と政策転換の決意
ソ連を仲介役に
政策転換を決意する
頓挫する対ソ工作
天皇の親書
「聖断」方式採用の理由
ポツダム宣言の発表
「ただ黙殺するだけ」
宣言受諾に逡巡する
最後の時局収拾策
終章 受け継がれる「聖断」神話
現実認識欠く天皇
天皇の動揺と変節
国体護持をめぐる対立
二度目の「聖断」
「聖断神話」の形成
注記
参考文献一覧
あとがき