假面を剥いだ憧憬の都
第1章 總説
犯罪の都、淫蕩の巷、東京へ來るべからず
年々寂れ行く農村、之れ由々敷大問題
第2章 東京のドン底生活
見るに忍びず聞くに堪えぬ貧民窟の状態
醜陋極はまりなき木賃宿の一夜
三萬の立ん坊が寒空に擧げる悲痛の叫び
此の抵當として俺の女房を差入申候
修學旅行の學生に東京の貧民町の状態を見せなさい
第3章 不景氣と犯罪
命を投げ出して行る馬方社會の強請
幻滅の悲哀を感じて花嫁の自殺
第4章 再び故郷へ故郷へ
祖先傳來の田地田畑家屋數は皆他人手に
女房俺が惡かつた許して呉れよ
田舎者の快氣?江戸っ子を煙に捲く
第5章 淫風吹き荒ぶ東京
親不孝の聲張り擧げて籠の鳥の唄
深更男を求めんが爲め迂路つく魔の女
全市に介在する恐るべき女魔の怪窟
淫賣料を貯金して其額千六百圓
寫眞機を利用して女を釣る僞大學生
可憐な女給君子の辿り來た泪の徑路
第6章 此不良振を見よ
滿都を横行出沒する不良少年少女團
これは意外だ、矢張りこれも不良少女
活動寫眞舘の暗闇で女の手を握る男
第7章 朦朧車夫と惡宿引
彼らは斯くして地方の人を瞞着する
倫落の女から許婚の男に出す血に慘む手紙
第8章 所謂モグリ斡旋屋
だまされて生死の境を辿り或は倫落の淵に沈む
誘拐されて北海道の監獄部屋に生き殘つた男の物語
五年前分かれた千惠さんの恨み多き身の上
第9章 新聞廣告に注意せよ
油斷ならぬ結婚媒介所、媒介所荒しの僞嫁僞婿
商船乘組海外移住の好餌も眞に受けては甚い目に遇ふ
通信販賣の品物はこんな物株式募集詐欺とはこんな物
第10章 露天商人、押賣、高利貸
さくらを使ふは有りふれてゐるが今に騙される人がある
客に腹立たせ巧みに其虚に乘じて賣る手段
無人につけ込み脅迫手段で賣る押賣屋
殘忍飽くことを知らぬ高利貸
第11章 醜惡なる此事実
學生の果の殺人
上京したのが破綻の因
再び罪を犯すまで
馬賊を目的の惡少年
學生服の辻強盗
罪に繋がる萬引一家
子爵名盗用の惡金融屋
女敎員から賣笑婦
第12章 東京より田舎より
東京の兄より
田舎の妹より
第13章 東京へ來るならば
絶大の覺悟決心を以て東京へ來るべし
不完全な學校が多い充分に選擇せよ
苦學は仲々困難である夫れでも感心なものもある
金持つて東京へ來るべからず
第14章 生きたお手本
酒屋の樽拾ひから廿五萬圓の財産家
軍服を半纏に着替へてたわし賣る男
女の身で露店本屋より堂々たる書店の主人となる
日本女性労働史の最初の一頁を飾る女工
苦學で大學を卒業した巡査
人情浮薄な東京にもこんな美しい話がある
兄弟の學生協力して一家を復興す
勘當せられたモデル女の努力の結晶
バラツク民の爲め私財で復興町建設
第15章 時代の産んだ新しい試み
生活苦からの犯罪を一掃する貧民警察
少年少女の爲專問の職業紹介所が出來る
僞學生撲滅のため徽章は學校で賣る
世界各国の婦人の動き日本の女性は前途遼遼
會員五千有餘を算するウヱイトレス達の會