縦横から見た東京
第1 日比谷公園とその附近
日比谷公園の前身
日比谷公園の創設
公園は若き者の歡樂境か
醜き紊亂の家庭の延長を公園へ
戀愛至上主義よりも理智的戀愛へ
ザヂスムスの横行
マソキスムスの横行
當てにならぬ常識
今は昔時龍泉寺町に起つた虐殺事件
信吉は妻を愛して燒いたり刺したりした
フヱチシスムスの横行
手や足が性の對象となる
婦人の櫛のみ専門の盗賊
警察で訊問に答へる紳士の告白
女の湯もじのみ専門の盗坊
小僧が警察での告白
日比谷公園と國民大會
愛國的な二個の力の衝突
伊藤公の國葬と日比谷公園
伊藤公の健康と政治的活躍
公を模倣する泡沫政治家
大隈公の國民葬
與論の國民層
侯の邪敎に關する樽俎折衝
育英事業の大貢献
敎ゆる處の者が用ゆる處の者とならず
侯の邪敎に關する樽俎折衝
侯の壽命と天海僧正
日比谷公園と大震災
警官と傷者の對話
更に悲慘の事實
日比谷公園町の現前
心字が池の鶴と鵝鳥
心字が池を眺むるに好個な壘上のべんち
人口問題を頭痛にして衛生問題を勵呼するのは矛盾か
一方を救へば一方が溺れる
丸の内に聳ゆる新聞社の偉觀壮觀
新聞はちんぷんかんぷんか
日本の新聞は比較的卒直だ
もぐりの跋扈跳梁
惡德記者の脅迫に面する場合には警察へ
比較的正確な新聞記事
新聞が使命を果して居ない
新聞紙の使命とは何ぞ
新聞紙は天下の公器だ
巧妙な新聞宣傳は娘の涙だ
新聞經營者とは什んな人か
もぐりの記者は社會を敵と見て居る
乞食ともぐり記者とは好對照だ
惡辣な儲けの手段
もぐりの圖々しさに呆れ返る
金持ちはもぐりに金を與える義務があるか
もぐりは社會の各層に深くもぐり込む
もぐりに何の品性ぞ
好い鳥を罠にかけて北叟笑むもぐり
酒と女に心を殘してもぐりの退脚
日比谷大神宮と神前結婚
日比谷大神宮創祭と神前結婚の開始
國家的史跡の菊の井
帝國ホテルと敵愾心
外人専門のホテルが一般向に
舶來ダンスは國民性の破壊だ
華族會舘の沿革
鹿鳴館の民衆劇
第2 櫻田門とその附近
櫻田門附近の懷古
虎の門と難波大助
國民的昂奮に警視廳手古摺る
文化を逆行した大助
大助は横道を歩いた
外務省と黑田候
外務省と陸奥宗光
外務省と大隈侯
大隈公の奇禍
双脚を奪つた來島の墓に詣ずる侯の襟度
櫻田門の名を克明にした井伊の行藏
山雨將さに至らむとして風樓に滿つる相模屋の密議
敏感なお夏は若しや間牒ではなかろうか
櫻田門外血染の雪
有村治左衛門の終焉
國賊よと屍に鞭打つ時代思潮
お濠の死美人
糸瓜でも身投すれば美人
突然に警視廳を訪れた一人の男
不倫の妻の生前を語る
素人下宿が家庭を破綻へ
單純な妻に姦通の機會を與へるのは夫の罪だ
突然の妻の家出
悔悟した妻は夫の愛を蘇へすることは出來なかつた
妻から脱れんとして反つて邂逅した
妻は罪を許されて遂に死出の旅路へ
府立一中と大震火災
陸軍から借りた釜が猛火に追はれて三度轉々
握り飯の配給
東京相樸の應援
一犬嘘を吠へて萬犬實を傳ふ
櫻川と井上子爵
第3 三宅坂とその附近
三宅坂に喘ぐ勞苦
三宅坂に親切な追剥
三宅坂に現はるゝ妖怪變化
妖怪の正體は蛇精
淫蕩な蛇精
變化の正體は古狐
化けの皮剥いた積りの幸助は遂に化かされた
幸助は娘の宅で破格な待遇を受けた
幸助は遂にお濠りで泳がされた
幸助は我れに歸つて唖然呆然
三宅坂の幽靈
科學的に實證された幽靈の存在
雲州邸を出た平助の行衛
豫期した幽靈が平助の前へ
參謀本部と加藤清正
參謀本部と伊井直弼
大山公の銅像
不如歸の印象が公の面影を偲ばしむる