太平洋戦争・提督たちの決断
Ⅰ 連合艦隊司令長官「山本五十六」ミッドウェー攻略作戦
名をも命も惜しまず-亡国の戦いを戦い抜く覚悟を定めた連合艦隊司令長官
大本営の「長期不敗の態勢」などは痴人の夢 短期戦で終わらせなければ、亡国あるのみ
「勝利病」が蔓延する大日本帝国と「騙し討ち」に対する復讐心の高まるアメリカ
短期決戦により、政治的終戦を呼び込むには連合艦隊は何度でも、決戦に出るほかはない
不信と疑惑を抱え、焦る山本五十六が考えていた四つの作戦計画
続くアメリカ海軍の襲撃に本土空襲を恐れる山本五十六
早期決戦と本土防衛の両方を併せて解決するミッドウェー攻略作戦
作戦をめぐって対立する連合艦隊と軍令部
真珠湾作戦論争のときと同じく伝家の宝刀を抜いた連合艦隊参謀
ドゥリットル東京空襲により歪み始めたミッドウェー作戦の目的
戦術の大原則を無視したうえに状況の変化にも「手直し」をしない
狂い始めた歯車は元に戻らずより主観的で独善的な方向へ
Ⅱ 米太平洋艦隊司令長官「チェスター・W・ニミッツ」とミッドウェー海戦
孫氏の兵法を近代の戦争において実践した敵将ニミッツ
連戦連勝で太平洋王者となった南雲機動部隊と重い十字架を背負わされたニミッツ大将
テキサス男を抜擢したルーズベルト大統領の英断
情報戦での勝敗と日本海軍が使った「暗号」
優秀な指揮官は、入手したあらゆる情報や兆候に鋭い考察と正確な判断を加えて敵の企図を看破する
伊124号潜水艦からの暗号書奪取と米国側の暗号解読
MI作戦発令後の日本側の状況の急変に注意を注いでいたニミッツ大将
ニミッツが得た情報から見えてきた日本海軍の攻撃意図
日本軍のすべての動きがミッドウェーの一点に向けられているというニミッツ大将の確信
「ミッドウェー島は蒸溜装置故障、真水が不足」という米軍戦闘情報班の「餌」に食いついた日本海軍
おそらく最初にして最後の援助をイギリス海軍に求めた米海軍
「AF」とはミッドウェー島であり六月四日前後(現地時間)に敵はミッドウェーに来る
日本の機動部隊を待ち伏せして奇襲をかける以外に勝つ手はない
事前の情報戦に勝利した米海軍、「相手を知る」ことなく楽観した日本海軍
Ⅲ 遠すぎた提督「高須四郎」-代行指揮を執った七五〇時間
連合艦隊司令長官の搭乗する飛行艇の消息がまったく不明となった
気球の戦時下と平時とを同じに考えているような人事で高須大将に連合艦隊の指揮権がゆだねられていた
軍令部による「東に備えよ」の戦略的大方針と「西に偏した」新連合艦隊司令部の指示の発令
肝心の司令長官代行が抱えていた知られざる重大なる事実
「典型的なおえら方」と言ってよい平和時の日本海軍がつくり出した提督
「二・二六事件を惹起した」と鈴木貫太郎に批判された五・一五事件の高須判決
「Z一作戦」発動用意と軍令部の思惑
相互不信を相乗するかのような雑音が東京都スラバヤの間を素早く行き交う
幕僚たちの作戦計画や意見にうなずくだけの司令長官が「Z一作戦」を発令する
闘将角田覚治の意見具申を頑としてはねのけた高須司令部
余計な作戦はするな、決戦の日まで隠忍せよ、との命令でZ一作戦「発動」は、「用意」に改められた
艦隊決戦のみを主眼としてしまう時代遅れの連合艦隊
Ⅳ レイテ沖海戦の司令官たち-豊田副武司令長官と四人の主将
「不適当なりや否や」と昭和天皇に尋ねられた海軍大臣
敗因は無謀で容易に理解し難い作戦計画そのものにあった
致命的な打撃を受けたマリアナ沖海戦での日本海軍の敗北
主目標を敵空母か輸送船とすべきかで陸海軍の作戦部が真っ向から対立する
「作戦指導大綱」の裁可とともに強調された水上戦闘部隊の使用
敵機動部隊および輸送船団を撃滅せんとする「捷号作戦要領」が発令される
敵を必滅するのは一片の命令書ではなく、人間そのものである
死に花を咲かせる最終決戦の作戦計画に「例外事項」が紛れ込んでしまう
「戦意」という戦場における指揮官の第一の資質に欠けるところのあった栗田中将
主将たちは相互不信を抱きながら連合艦隊消滅を覚悟する決戦に臨んだ
台湾沖での航空撃滅戦の戦果報告に躍動する豊田大将
「大戦果」はすべて誤報だったがレイテ島進攻作戦は開始された
マッカーサー元帥はレイテ島に上陸し、豊田大将は「捷一号作戦」発動の命令を交付した
「天祐を確信し全軍突撃せよ」の連合艦隊に訪れた戦局を一挙に転換しうるかに見える一瞬
「馬鹿野郎ッ、敵はすぐそこにいるんだ」「ヘイッ、ジャップが、逃げて行くぞ!」
人間は「戦いの最終裁決者」であり作戦の成否は「指揮官」そのもにあり、協同にあった
編集部より刊行によせて