昭和ブギウギ
前口上 「近代音曲史」の野望
第一章 「歌う女優」誕生~大阪時代の笠置シヅ子
「流行歌」と「少女歌劇」/松竹楽劇部に入団
松竹団員の「プロ意識」/見世物との連続性
日舞からのスタート/「桃色争議」
「恋のステップ」で歌手デビュー/「服部ヘンリー」の正体
上京、松竹楽劇団へ
第二章 服部良一と「道頓堀ジャズ」
融通無碍な服部音楽の素地/芸事好きの一家
働きながら作曲を/うなぎ屋の楽団に入隊
サクソフォンで聴かせるショー/BKのオーケストラへ
運命の師と出会う/華やかなりし「道頓堀ジャス」
「道頓堀行進曲」/ダンスホールの受難
フィリピン人プレーヤーと磨いたアドリブ演奏
第三章 レコード・ラジオと「国民歌謡」
「実演」から「複製」へ/専属制度の「輸入」
タイへレコードでの雌伏/「大大阪時代」の終焉
「新民謡」でスタートした東京でのキャリア
コロムビア入社、そして結婚/淡谷のり子の「ブルース」
ラジオが主導した「国民歌謡」/「酒場の歌謡曲」を「国民の歌謡曲」に
民謡のジャス化/民謡とジャズの奇跡的融合
「日本のブルース」/満洲からのヒット
第四章 スウィングのクイーン&キング~松竹楽劇団時代
「日本のジャズ」としての「スウィング」/「付けまつ毛」の女の子
男女混成の大規模レビュー「松竹楽劇団」
歌と踊りとお笑いと-SGD設立宣言
初回公演の評判は・・・・・・/コンビ本格始動!
笠置のご贔屓・東西番付/地声でなければスウィングしない
「ホット」なジャズ歌手・笠置シヅ子
絶望を希望に変えた「スウィングの女王」
飄逸さとタフネスと/服部の「スウィング丸」出航
「ラッパと娘」の衝撃/「本当に自分の曲を理解して唄ってくれる人」
実演重視の服部音楽
「ラッパと娘」を分析すれば―スキャットとコール・アンド・レスポンス
ブルーノートと西洋近代和声の巧みな融合
「耳の音楽家」と「読み書きできる音楽家」
コンビのレコード進出とレヴュー文化の終焉
「敵性音楽」への弾圧/戦時下の芸能シャッフル
第五章 関西興行資本の東京進出~松竹・東宝・吉本
吉本の「ぼん」は笠置のファン/東京で勢力を広げる松竹
東宝の猛追/「色物」レコードと吉本興業
レヴューに目をつけた東京吉本/漫才の誕生
引き抜き合戦勃発/音曲繚乱のラジオ
イデオロギーと軽口と
第六章 時代のアイコン「ブギの女王」
「貫戦期」視点でブギウギを捉える/東宝系演劇へ進出
服部の復員/「新道頓堀行進曲」
スウィング・オペラ「ジャズ・カルメン」/「センセ、たのんまっせ」
電車の振動音が生んだ「東京ブギウギ」/G・I熱狂のレコーディング
漫画家たちも応援隊に/映画「春の饗宴」
ブギウギ大ブレイク―「ジャングル・ブギー」「さくらブギウギ」「ヘイヘイブギー」
文化人たちの反応/「姐さん方」のアイドルに
「流行歌」批判者の評価/もうひとつの「ブギウギコンビ」―エノケン劇団
拡張する「ブギウギ」
「神戸ブギウギ」についての追記
第七章 服部は「ブギウギ」をどう捉えていたか
「ブギウギ」の音楽的特徴/コンサートがきっかけでブームに
気の晴れるリズムを欲していた/和製英語「エイト・ビート」の由来
ブギウギは「躍らせる」音楽/「ほんとうの」ブギウギ?
ビート進化史の誤謬/ビ・バップは破壊主義的?
第八章 リズム音曲の画期としての「買い物ブギー」
コンビの最高傑作「買い物ブギー」/買い物BOP
譜面草稿からたどるリズムの変遷・ブギウギシリーズのラストヒット
「わて、ホンマによう言わんわ」/ハワイでの人気
本命はヨーロッパだった?/「リズム音楽」路線の確立
大衆音楽を取り巻く環境の変化/歌手「引退」へ
いまも息づくリズム音曲/笠置・服部の「自画像」
大阪から見直す「近代音楽史」
謝辞