荷風さんの戦後
序 八月十四日のすき焼
これぞ大凶の籤
風格の上で遠く及ばず
八月十三日の夜
自決の意でもあるように
細君下戸ならず
一回引出金額弐百圓也
正午戦争停止
第1章 生きる甲斐なきときに―昭和二十年
断腸花がよく似合う
月と運命について語る詩人
熱海にたどり着いた日
豹変した日本人ども
まわりには不忠の臣ばかり
アメリカ嫌いなるか?
前歯一本折れたり
〆金参萬参千壱百四拾九圓也
日記このまま中止?
第2章 断然気に入った街・市川―昭和二十一年
終の棲処の市川へ
「オナカガペコペコデス」
志賀直哉と桑原武夫と坂口安吾
美しいものは美しいままに
市川という町
新雑誌創刊と「荷風ブーム」
金融封鎖に仰天する
ラジオと三味線を敵として
海神にて原稿執筆
第3章 何事にも馬耳東風なり―昭和二十二年
「一歩退却、二歩前進」
「四畳半襖の下張」騒動
「米人の作りし日本新憲法」
半醒半酔の風流人
不倶戴天の敵からの脱出
○印のナゾを推理する
オフ・リミッツーV.D.
幸田露伴逝く
亀田鵬斎との久しぶりの再会
求めても得られない美徳
すべてに馬耳東風
第4章 まずは浅草の雑踏の中へ―昭和二十三年
「六区の大都座楽屋に行く」
お気に入りの女優櫻むつ子
コーモリ傘についての雑談
偏奇館跡地を売り飛ばすこと
全集二十四巻の刊行決定
ただちに立退かれたし
やむなく家を買う、三十二万円
「小林氏」とは、そもどんな人?
A級戦犯七名に死刑の宣告
第5章 ロック座のストリッパーたちと―昭和二十四~二十六年
俗悪低劣(?)な脚本
晴れの舞台での名演技
大都劇場からロック座へ
浅草ゆかりの食いもの屋
スナック「峠」でのご対面
ロック座楽屋の主
文藝春秋・上林さんのこと
踊り子選考の審査委員団長
坂口安吾のストリップ論
うるわしい交歓風景
洋モクと朝日新聞
吉屋信子からの抗議
第6章 もはや“女”に未練はなし―昭和二十七~三十年
文化勲章受章のあとさき
「コロンブスの卵」
ラジオ出演の不思議
「小林愛雄」との初顔合わせ
ある独裁者が死んだ日
紛失二千万円の手さげ袋
昔のおんなが訪ねてきて……
第7章 「ぽっくりと死にますぜ」―昭和三十一~三十四年
昇らなくなった月
終の棲処を新築する
一年に映画観覧が三十本以上
売春防止法が施行されたとき
最後の名作(?)「向島」
飾り立てた霊柩車で……
あとがき
参考文献