「銃後史」をあるく
1章 首のある死体と首のない死体
〈八月六日〉とカネヘン景気
被害者責任
書評 ヒロシマをひらく-〈迂回〉を経ての継承 平井和子『「ヒロシマ以後」の広島に生まれて』、東琢磨『ヒロシマ独立論』
3・11を心に刻んで
立つ瀬がない被害-加害の二重性を超える
2章 「銃後史」をあるく
勝ち戦と女の加害性
小泉郁子と「帝国のフェミニズム」
プラティカルなファシズム-自力更正運動下の「家の光」がもたらしたもの
「大東亜共栄圏」の女たち-『写真週報』に見るジェンダー
殉国と黒髪-「サイパン玉砕」神話の背景
一八歳の君たちへ-満洲開拓団の悲劇
特攻隊員の「犬の皮」の帽子
映評 封印された負の歴史を掘り起こす 楠山忠之監督「陸軍登戸研究所」
「兵隊バアサン」の戦後
「国家の法を超えた単独者の澄明-映画「ゆきゆきて神軍」によせて
3章 「大日本帝国」崩壊とジェンダー
〈復員兵〉と〈未亡人〉のいる風景
「混血児」問題と単一民族神話の生成
書評 煙にまかれてきた日本占領 テレーズ・スヴォボダ著、奥田暁子訳『占領期の日本 ある米軍憲兵隊員の証言』
「日本人妻」という問題-韓国家父長制との関連で
手の温かさを忘れない
「中国残留婦人」とジェンダー
映評 引き裂かれる前戦と銃後-『ドイツ・青ざめた母』に寄せて ヘルマ・サンダース=ブラームス監督「ドイツ・青ざめた母」
「帝国の慰安婦」と「帝国の母」と
書評 真に恐ろしい書-小市民的平安を根底から打ち崩す 石牟礼道子『草のことづて』
書評 「目に一丁字もない人間」の力 石牟礼道子『西南の役伝説』
書評 魂の依り所=樹-九州・青海の島々に古樹を訪ねる 石牟礼道子『常世の樹』
4章 リブをひらく
交錯する性・階級・民族-森崎和江の〈私〉さがし
書評 女世界の豊かさ-産小屋とは開かれた生に向かっての女の再生 森崎和江『産小屋日記』
母性ファシズムの風景-個人に回収されない自立へ
書評 穏やかな中に熾烈な緊張感-執念と鋭い感性が事案のベールを一枚一枚ひきはがす 橋本憲三・堀場清子「わが高群逸枝」
〈反差別〉の地平がひらくもの-飯島愛子『〈侵略=差別〉の彼方へ-あるフェミニストの半生』解説
書評 密度高い生涯に共感-伊藤野枝の思想形成過程を追う 井手文子『自由 それは私自身』
総参入論-戦争と女性解放
男女共同参画小説を読む-「岬美由紀」、「音道貴子」を中心に
あとがき