少女たちの昭和史
サンドウィッチとみそ汁 昭和の少女たちの衣食住あれこれ
第一回ファッション・ショーのころ
早起き少女たちのあわただしい朝
ご飯のお代わりも弁当つくりも
学校は寒くて暑いところだった
あしたの朝の飯をといでおけよ
姉妹三人で一室、証明電球一個
髪は短く、おしゃれはクリームだけ
自宅では和装でも外では洋服を
庶民はまず洋風の外食に親しんだ
ある廃品回収業者の娘の暮らし
少女たちには快適でなかった住宅
庭と縁側が果たしていた役割は
それでも少女たちには遊びがあった
十二か月のうれしいあの日この日
紺色の三十二万人 セーラー服は昭和の少女たちの象徴
明治期に輸入された英国海軍風
まず小倉詰め襟のファッションが
三十二万人いたセーラー服組
制服を着たのは十二人に一人だけ
夏服・冬服・幼児服の新工夫
四世代にまたがるロング・セラー
新品の腕時計 彼女は学校で何を学び取ったか
腕のくすぐったい新入生気分
青春小説の女学校スケッチ
高等女学校とはどんな学校か
女学生になれるのはクラスで五人
裁縫重視の授業で年間四十円
文部省が作った小学校教科書
修身科に登場する模範的日本女性
賢夫人としての三人の妻たち
忠臣・愛国者を育てた母の話
異色はナイチンゲールと瓜生岩
国語読本の場合
良妻・賢母・才女・母の日
高等小学校での家事指南とは
漬物の漬けかたも哺乳・離乳も
戦争とは無関係な教科目もあった
主婦を”量産”するための教育
昭和の女子教育に成果はあったか
しゃもじとラケット 女子スポーツのめざましい興隆期
まずスタイルの障害があった
家族制度下の体育と娘の立場
スポーツにも「男女七歳にして」
大臣の諮問から体育振興令まで
女子スポーツ大会は関西主導型
神宮大会へとなびくおとめ心
”オリンピックの星”の影響力
悲劇の万能選手・人見絹枝
たった一人の女性メダリスト
世界の頂点に立つ”お姉さん”
水着公認を促進した選手たち
軍国少女の錬成と弓・ナギナタ
五十銭玉二個 働く少女たちの職場事情
少女たち自身が夢みた未来像
「泣きながら新聞配達をしました」
小学校卒ですぐ就職した時代
デパート・ガールと女子銀行員
四十七倍のスチュワーデス試験
「純喫茶少女優遇」の落とし穴
農漁村の少女たちは不幸だったか
「買われたも同然」という女子工員
嫁入りするより就職コースを
平均給与金三十円ナリの厚い壁
自分自身の五十銭玉欲しさに
片道切符 売られていった娘たちの行きかた
法律はあっても娘は売られた
公娼だけで五万人いた時代
取り締まりの困難な周旋屋
農村の娘たちはなぜ売られたのか
数千人単位の”娘ころがし”
救世軍は廃娼運動に熱心だった
親の手に入るのはやっと五十円
救出作戦の成功例もある
児童虐待防止法のねらい
街頭で働かされる少女の商法
曲馬団の少女スターと女軽業師
小屋から脱走したそのあとで
目と耳のロマン 少女文化というものがあったとしたら
子供自身が求めているもの
教養・趣味の中心だった出版
少女向き単行本の採算事情
少女の読者たちが選んだ雑誌
ページごとに演じられる夢物語
少女小説がヒットするための条件
作家たちの良識と恋物語の伝統
人気作家と人気画家の名コンビ
映画をたくさん見たくて見られぬ年ごろ
少女ファンが好んだ俳優たち
名子役たちの魅力と代表作品
童謡と叙情唱歌と国民歌謡
黒い目・青い目 日本製フランス人形の国際的人気
ドイツ生まれがまっ先に上陸
庶民生活の洋風化と西洋人形
フランス人形が持つモデルの伝統
”日本製人形フランス風”の由来
キューピーの生みの親オニール
”おもちゃ輸出大国”日本の足あと
輸出総額世界一当時の移民問題
日米人形外交はこうして始まった
その後の人形使節とテンプル人形
人形の大衆化・国際化の時代
江戸以来の着せ替え人形への郷愁
ショートカット 少女歌劇の主役・男装の麗人
宝塚”おとぎ歌劇”に始まる
宝塚少女歌劇団と松竹楽劇部
少女たちのアイドル”男装の麗人”
舞台を退いてもなお”舞台”が
十代にとっては夢の王子さま
招待が女であることの人気
華麗さ・新しさ・都会的魅力
アンケート用紙 少女たちの性意識と結婚への進路
大正から昭和を生きた恋愛論
白村流ラブ・イズ・ベストの痛烈さ
少女趣味的だが女性賛美ではない
批判的な少女にも読ませる魅力
性に関心、花婿は銀行員か官公吏
愛嬢論議より良妻賢母の育成を
恋愛結婚断行派は四人に一人
恋愛と結婚とは同一線上にあるか
天国で結ばれた処女心中の波及効果
少女雑誌は性を取り上げなかった
「主婦之友」の思春期教育座談会
異性の悪友からわが子を隔離せよ
男性の交際肯定論と女性の容認派
子供に性的空想の時間を与えるな
無傷で嫁入りさせたいが娘に遠慮も
五人の”元令嬢”の性教育体験
「性欲の人格化」を提唱した石丸梧平
山本宣治・キンゼー・朝山新一
戦後より大正の十代のほうが早熟か
今も変わらぬ性の問題
街 不良少女はどこにいたのか
あいまいな「不良少女」という言葉
モボ・モガとキミ・ボクの感覚
和装で”ただ何となく”盛り場へ
ターゲットにされやすい女の子
異性に接近するあの手この手
「生きた社会に触れたくて」家出
都会的な少女たちの変身と冒険
ニックネーム・隠語・入れ墨
取り締まりにかかった少女たち
危険なセブンティーンと世代の断絶
大人になりきらずに結婚する傾向
脱線の少なかった十代の青春
殻を着た真珠 昭和の少女たちの知られていない部分
少女は少年より劣っていたのか
「男の子なんかに負けやしないわ」
大家族共同体の中の姉妹たち
個室を持てない娘と父親の権威
大人と肩を並べる少女の立場
親の胸の内と娘の現実主義
制度・習慣・法律の実効とは
少女が持っていた情報量の貧しさ
少女にも機会と可能性はあった
被害者なら責任はないという論理
両極間を揺れ動く十代のこころ
未熟な大人と早熟な子供の現代史
著者の雑談―あとがきに代えて―
参考図書