絵双六
序
第一章 絵双六の表現と構造に曼荼羅的世界を見る 浄土双六から一般的な双六まで
一、はじめに
二、絵双六の根本 浄土双六
(一)随筆『還魂紙料』の浄土双六
(二)浄土双六の要素
1 浄土双六
2 地獄に妖怪を描いた「十界双六」
3 子どもも遊んだ浄土双六
(三)浄土双六 双六遊び
1 振り出しで悪い目が出た場合
2 地獄から抜け出して極楽浄土に行く方法
3 振り出しで良い目が出た場合
4 双六遊びで体験させる
三、浄土双六の起源説 その一 選佛図を写した説
(一)選佛図とは
(二)選佛図と『選佛譜』の内容比較
1 選佛図第四層(外周)と『選佛譜』の階梯
2 選佛図第三層と『選佛譜』の階梯
3 選佛図第二層から上りまでと『選佛譜』の階梯
(三)選佛図のもとの図 陞官図
1 陞官図とは
2 出世双六「蓮中三元」
3 「選格」の遊び
(四)絵双六と中国年画
1 中国佛教の発展と木版印刷
2 中国の絵双六と年画の図柄
a 中国の絵双六「葫蘆分運」
b 中国の年画「葫蘆問図」
c 中国の絵双六「水晶官図」の人物の描かれ方
3 絵双六に似た異なる遊び
四、絵双六の起源説 その二 佛法双六を引き直した説
(一)佛法双六とは
1 現存する佛法双六
2 佛法双六の内容
(二)佛法双六の特徴
1 佛法双六(証果増進之図)の遊戯法
2 絵双六で学ばせる
五、浄土双六の起源説 その三 異説熊野比丘尼が作った説
(一)熊野比丘尼とは
1 熊野比丘尼 勧進活動
2 市街地の熊野比丘尼の姿
3 流浪した熊野比丘尼の姿
(二)熊野比丘尼末裔宅の遺品
1 遺品「熊野十界曼荼羅」
2 地獄と浄土
3 古代インドの世界観 須弥山世界
(三)熊野比丘尼遺品の「浄土双六」
1 「浄土双六」の内容
2 熊野比丘尼「浄土双六」双六遊び
(四)生死論
1 一枚刷り「十界の図」
2 絵双六「善悪雙六極楽道中図絵」
六、新たな起源説 チベット「再生のゲーム」
(一)佛教的な宇宙空間
1 インドとチベット
2 日本
3 外と内の曼荼羅
4 サキャ派様式
5 チベットの生死観と絵解き
(二)チベット「再生のゲーム」
1 佛教とゲーム
2 チベット「再生のゲーム」オリジナル
3 「再生のゲーム」序文と第一節から第四節
4 第五節 遊び方
5 ゲームの倫理
(三)チベットの「再生のゲーム」現代版
1 特徴
2 内容と木庭
(四)ゲームの表現と形の変化
七、まとめ
注
第二章 「名古屋版双六集」考 シリーズ化して絵双六の世界観を楽しんだ蒐集家
一、はじめに
二、「名古屋版双六集」
(一)特徴
(二)考察意義
三、天理大学附属図書館蔵「名古屋版双六集」の概容
1 形態
2 版元・画人(絵師)
①豊田棄三郎
②井筒屋文助(皓月堂文助)
③枩屋善兵衛
④森高雅(菊亭主人玉仙・玉僊)
3 所蔵印
四、「名古屋版双六集」の出版状況
(一)国際日本文化研究センター所蔵「宗田文庫」の概容
(二)名古屋市鶴舞中央図書館所蔵の概容
(三)西尾市岩瀬文庫所蔵の概容
(四)その他所蔵機関の名古屋版絵双六
1 国立国会図書館蔵
2 東京都立中央図書館蔵
3 東京国立博物館蔵
4 コープこうべ生活センター蔵
5 兵庫県立歴史博物館蔵
6 山本正勝氏所蔵
(五)名古屋版と京都版との関わり
五、佛教系双六の形態と名古屋版絵双六
(一)横長の選佛図・陞官図の形態と名古屋版「新版尾張ヨリ伊勢参宮巡双六」
(二)佛教系絵双六の妖怪を描いた名古屋版絵双六
(三)曼荼羅の画面構成を模した名古屋版の絵双六
六、「名古屋版絵双六集」(豊田昌夫氏所蔵)の図版と解説
七、まとめ
注
第三章 江戸後期出版文化における龍宮イメージ 絵双六「新板龍宮飛雙六」をめぐって
一、はじめに
二、絵双六と子どもの読み物
(一)上方子ども絵本
(二)御伽草子
三、絵双六の主人公たちと寺院の縁起
(一)浦嶋太郎 宇良神社「浦嶋明神縁起」
1 宇良神社の由来と所蔵品
2 縁起の絵解き
(二)俵藤太 雲住寺版「俵藤太略縁起」
1 雲住寺の由来と所蔵品
2 藤原秀郷
3 「俵藤太略縁起」
4 雲住寺板「俵藤太略縁起」
(三)玉取り説話
1 志度寺
2 志度寺縁起絵巻
四、読本『龍都朧夜話』が示すこと
(一)読本『龍都朧夜話』
1 糸井文庫
2 書誌
3 翻刻
4 図版掲載
五、絵双六とちらし類
六、上方子ども絵本『胎中国鱶の眠り』の示唆するもの
七、それぞれの龍宮
(一)上方版「新版龍宮飛双六」と名古屋版「大新版龍宮芝居飛双六」の龍宮
(二)三つの龍宮話とコマの位置
八、まとめ
注
第四章 江戸版「春興手習出精雙六」考 絵双六に俳諧一枚摺りの趣向を見出す
一、はじめに
二、寺子屋の学び
(一)寺子屋とは
1 発生
2 入門と費用
(二)教育内容
1 寺子屋の教科書 往来物
2 寺子屋師匠
3 行事と罰
三 江戸版絵双六「春興手習出精雙六」
(一)内容
1 下段 寺子屋入門と寺子屋の罰
2 寺子屋のカリキュラム 二段目 学習の基礎
3 寺子屋のカリキュラム 三段目 女子用 往来物
4 寺子屋のカリキュラム 四段目 専門知識
5 上段 上りと寺子屋の行事
(二)双六遊び
四、「春興手習出精雙六」版木と摺り
(一)再版に見られる違い
1 色の違い
2 彫りと摺りの違い
3 コマの絵と位置の違い
五、「春興手習出精雙六」版元と絵師の趣味的な交流
(一)絵師・広重と狂歌の世界
(二)俳諧一枚摺り
1 双六仕立ての俳諧一枚摺り
六、まとめ
注
第五章 江戸版「莟花江戸子数語録」考 描かれた子どもの姿に見る画題と写実性
一、はじめに
二、浮世絵に描かれた子どもたちの姿
(一)子ども絵の概容
(二)画題とは
三、江戸期 子どもを描いた絵本調査
(一)西尾市岩瀬文庫
(二)狩野文庫画像データベース
(三)絵本の中の子どもの姿
1 絵柄の類型化
2 中国の影響
3 絵本の出版状況
4 絵本に描かれた子どもの姿
四、絵双六と画題
(一)画題で描かれた絵
(二)画題とは異なる絵 いじめ
五、絵双六「莟花江戸子数語録」
(一)内容
1 下段の五コマ
2 二段目の四コマ
3 三段目以上のコマ
a 右端部の五コマ
b 上部中央の三コマ
c 上部左端の五コマ
(二)双六遊び 指示の工夫で子どもをしつける
六、「莟花江戸子数語録」の実写性
(一)随筆『飛鳥川』生意気になった子どもたち
(二)随筆『梵雲庵雑話』淡島寒月と「莟花江戸子数語録」の遊び
(三)随筆『明治世相百話』明治の遊びに江戸を見る
七、まとめ
注
第六章 振分双六「新販女庭訓振分雙六」考 幕末期の女性たち その多様な生き方
一、はじめに
二、振分双六「新販女庭訓振分雙六」
(一)二つの振分双六
(二)振分双六「新販女庭訓振分雙六」の概容
三、振分双六「新販女庭訓振分雙六」女性の多様な生き方
(一)A群 妻以外の女性たち
(二)B群 奥奉公や上層の女性たち
(三)C群 庶民の女性たち
(四)D群 経験や知識を活かして仕事をした女性たち
(五)E群 下層に生きる女性たち
(六)振り出しと上がり 踊り子娘から満福長者への道
四、双六遊び
五、当絵双六Aと類似双六BからEとの比較
(一)A「新販女庭訓振分雙六」とB「新板女庭訓振分雙六」
(二)A「新販女庭訓振分雙六」とC「女教訓出世双六」
(三)A「新販女庭訓振分雙六」とD[新板娘庭訓出世双六]
(四)A「新販女庭訓振分雙六」とE「新板娘庭訓出世双六」
六、変貌する娘の価値観
七、訪日記の著者とその国の女性たち
八、まとめ
注
終章
資料編
絵双六所蔵施設一覧と概容
拙稿一覽と絵双六資料一覧
所蔵館別絵双六一覧
あとがき