図書目録マンシュウ ナンミン資料番号:060005615

満洲難民

サブタイトル
三八度線に阻まれた命
編著者名
井上 卓弥 著者
出版者
幻冬舎
出版年月
2015年(平成27年)5月
大きさ(縦×横)cm
20×
ページ
286p
ISBN
9784344027664
NDC(分類)
210.75
請求記号
210.75/I57
保管場所
開架一般
内容注記
文献あり
昭和館デジタルアーカイブ
和書
目次

第一章 ソ連参戦 一九四五・八・九 新京
未明の空襲
若き官吏の思い
満洲国首都・新京特別市
隠された軍の退却
官吏家族も後回し
疎開隊長が任命される
井上喜代と四人の子ども
井上千代と二人の兄弟
無蓋貨車、新京を離れる
高見澤家の四きょうだい
冷淡だった日本政府

第二章 一〇九四名の疎開隊
満洲を抜け、朝鮮半島へ
人口一万三〇〇〇人の小さな町
ほとんどが子ども、女性、高齢者
敵意をむき出しにする朝鮮の人々
最初の犠牲者
八・十五、「難民」になり果てた日
脆弱な日本人社会
武器、貴重品、薬、すべて没収

第三章 足りない食糧
かびの生えたとうもろこし
新米軍医の来訪
ソ連兵の目を逃れて
農業倉庫に追いやられる
日満通貨の暴落
持てる者と持たざる者
新手の換金商法
一瞬で壊滅した額面
所持金の提供を求めたものの
ソ連兵による略奪、暴行
食糧を得るための仕事もなくなる
蔓延するシラミ、ノミ
マラリア発生
主婦(オモニ)のキニーネに救われる
冬を前に南下を決意
ソ連軍が日本人の列車使用を禁止
やせ衰える子どもたち

第四章 飢餓の冬
越冬用バラックを建てる
待ちわびた新京からの情報
高見澤淑子、一年八カ月の生涯
栄養失調による死者が急増
形ばかりの落成式典
仮宿舎での「コックリさん」
顔も洗わず、便所もそのへんで
忘れ去られた民間人保護の責務
降り積もる雪、燃えない薪
生き地獄のような病室
熱いタオルが最初で最後の親切に
母乳の出る母親はだれもいない

第五章 死にゆく子どもたち
炊事当番は朝五時からの重労働
凍った丸餅一切れで迎えた元旦
何か売れるものはないか
子ども二人を残し力尽きた母
三人のなきがらを一つの穴に
「土まんじゅう」の群れ
一日に六人を埋葬
最後に残った防寒具を売る
「憎むべきは日本の軍閥」
出征する夫と交わした言葉
盗む側も盗まれる側も命がけ

第六章 旧満州への帰還
見て見ぬふりをする者
ついに夫からの便りが届く
夫の消息がつかめた者、つかめない者
旅費立て替えを申し出てくれた夫婦
高見澤家、ついに郭山駅を出発
この朝鮮人家族の温情がなかったら
井上家、再び鴨緑江を渡る

第七章 残された人々  一九四六・春、郭山
五〇〇人を切った疎開隊
「日本人世話会」とは何か
例外的だった郭山日本人世話会
薪の運搬競争を開催
襲いかかるはしか
やっと学校が開設される
野に春は訪れたけれど
南北対立の陰で忘れられた日本人難民
閉ざされた北上の可能性
夏をも越せそうにない仮宿舎
井上千代、二人の息子を失う
朝鮮半島北部、難民の二つの流れ
南部の日本人引き揚げを主導した米軍政庁
らちが明かない、ソ連軍とのやり取り
日本人なんかを禁止するソ連の事情
密使が伝えた四つの脱出ルート

第八章 三八度線を目指して  決死の脱出行
“巨大な収容所”と化した北部
資金、班分け、進む脱出計画
肝腎のところは成り行きまかせ
南北分断、最初期の大きな犠牲
わが子の魂が蛍の姿を借りて
南下第一班、三八度線を突破
徒歩を余儀なくされた第二班
強盗に襲撃され班が分断
一九九人目、疎開隊本体最後の葬儀
名簿を託され、第三班出発
全体の半数が早くも足止め
夜を待って再び出発
何度も案内料をむしり取られる
道中で死んでいった人たち
三八度線北側、最後の無法地帯
出発八日目、ついに三八度線を越える
苦難の脱出行からの解放
「今日の引き揚げ者は乞食みたいだ」
成鏡南道の悲惨な難民
「不幸なる御夫人方へ」
ボロボロの格好で博多上陸
帰国後の長い病床生活

第九章 国共内戦の荒波  一九四六、長春
高見澤家、旧新京に降り立つ
八路軍が熊岳城を実効支配
井上家、家族五人の再会
長春の日本人も難民状態
かつての部下の世話で仕事を得る
ソ連軍が産業施設を破壊、略奪
満洲各地で数万単位の日本人が犠牲に
「僕を穴のなかに埋めないでね」
自分たちの手で荼毘に付す
熾烈な長春攻防戦
国府軍・米軍の支援ではじまった「日僑遺送」
一九四六・九月、井上家博多港に上陸
中国共産党もようやく「遺送」に合意
一九四六・十月、高見澤家博多港に上陸

第十章 最後の脱出行  一九四六・九
患者とともに残った医師
つのる望郷の思い
定州への移動、南下の決意
息をひそめての出発
もうだれも足を止めない
「これで日本に帰ることができる」

終章 日本人難民  戦後史の闇
『朝鮮終戦の記録』より
南に軍人・軍属の親族が目立つことの意味
ポツダム宣言受諾と「現地定着方針」
一貫して傍観者だった日本政府
ドイツの民間人「移送」
国際的な関心からもこぼれ落ちる
終戦とともにはじまった悲劇
避難民でも引き揚げ者でもなく「難民」
先の大戦の本質に向き合う

あとがき
参考文献

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