「戦争体験」の戦後史
はじめに
プロローグ
第1章 死者への共感と反感-一九四五~五八年
遺稿集のベストセラー
『はるかなる山河に』
屍と悔恨
『きけわだつみのこえ』
戦争賛美への自省
遺稿集の映画化
冷戦激化と再軍備
平和問題談話会と講話問題
潜没学徒の国民化-教養への憧憬
ベストセラー化の逆接と順接
内省的教養主義
マルクス主義という教養
事変後の学生
退潮と復興
教養への憧憬と「反戦」
庶民的教養と人生雑誌
戦没学徒への反感
年長者からの批判
同世代からの批判
批判という共感
神話への違和感
『雲ながるる果てに』
反戦運動の隆盛
わだつみ会の設立
高校への拡がり
共産党の影響
柳田謙十郎
庶民的教養との接点
反戦運動への共感
記憶の操作
反戦とファシズムの類似性-学生運動批判
学生運動批判と教養主義
反戦学生と青年将校
教養の暴力
自由主義から保守主義へ
『世界』から『心』へ
転覆戦略
「わだつみ」の停滞
第2章 政治の喧噪、語りがたい記憶一九五九~六八年
六〇年安保と『戦争体験』の距離
政治主義への嫌悪感
反戦運動との距離
戦中派の誕生
戦争への「誠実さ」
戦前派と教養への不快感
語りがたさへの固執
「無意味な死」の直視
六〇年安保闘争
「臆病者に甘んずる勇気」
死の無意味さから怒りへ
農民兵士たちの心情
「わだつみ」の再刊
「カッパ」の庶民的教養主義
中間文化の時代
再刊『きけわだつみのこえ』の意味
『戦没農民兵士の手紙』
懐疑の欠如
農民への共感
知識人の優越感
農民兵士の戦争責任
安田武の農民兵士批判
学徒兵への不当な寛容さ
「戦争体験」への拒否感-戦中派の孤立
コミュニケーションの断絶
執着と嫌悪
「教養」としての戦争体験
政治への流用
「被害者意識」への批判
「被害」と「加害」の架橋
「順法精神」と戦争責任
「被害者意識」の虚構
「難死」の思想
自己への問い
第3章 断絶と継承-一九六九年~
大学紛争の激化-「わだつみ像」の破壊
わだつみ像破壊事件
大学紛争
像破壊の論理
「弱いものに対する強さ」
虚像としての「わだつみ像」
わだつみ会の混乱
機能不全と大量脱会
教養主義の没落
天皇をめぐる「忠誠」と「反逆」
第三次わだつみ会
渡辺清の情念
「忠節」から「反逆」へ
「欺された自己」への責任追及
天皇訪欧のインパクト
元農民兵と「わだつみ」の拡がり
「天皇問題」への特化
戦争責任論と教養の現代
岩波文庫版の誕生
八〇年代の『わだつみのこえ』
教科書問題
学徒兵の戦争責任
「わだつみ」の改訂
教養と責任追及
元学徒兵の抵抗感
遊就館特別展「学徒出陣五十周年」
「継承」という断絶
『きけ、わだつみの声』再映画化
「わかりやすさ」と伝承の困難
エピローグ
あとがき
参考文献
関連年表