庶民漫画の50年
◆昭和元年
<10年不況、エロ、グロ、ナンセンス、軍国化の時代>
いまなお残る正ちゃん帽
昭和元年:正チャンノ冒険(小田小星・え東風人)
一生を風靡した大正の小市民
昭和2年:ノンキナトウサン(麻生豐)
可愛いスーパーマンの旅行ガイド
昭和3年:団子串助漫遊記(宮尾しげを)
世情暗たん忘れさす下町の好人物
昭和4年:あわてものの熊さん(前川千帆)
エロ、グロ、ナンセンス、プロレタリア文化はなやかなりし頃
昭和5年:男やもめの巌さん(下河凹天)
現代版武者修行の活動写真漫画
昭和6年:長靴の三銃士(作・牧野大誓/え・井本水明)
軍国化の代表的人気漫画
昭和7年:のらくろ(田川水泡)
不景気時代「月給取り」の哀歓
昭和8年:只野凡児(麻生豐)
「エロ、グロ、ナンセンス」の残花
昭和9年:串差おでん(松下井知夫)
陸軍の「のらくろ」、海軍の「ダン吉」
昭和10年:冒険ダン吉(島田啓三)
◆昭和11年-20年
<未曽有の国難-漫画も闘った>
激動の35年を角帽、エプロン、下駄ばき
昭和11年:フクちゃん(横山隆一)
軍国科学路線が生んだロボット人間
昭和12年:タンクタンクロー(坂本牙城)
統制経済時代の国策夫人
昭和13年:思ひつき夫人(平井房人)
少国民に戦時色を忘れさせた動物擬人漫画
昭和14年:コグマノコロスケ(吉元三平)
社長よあなたは強かった
昭和15年:推進親爺(松下井知夫)
非常時、少年雑誌の目玉商品
昭和16年:日の丸旗之助(中島菊夫)
戦時下、許される限りの甘さ
昭和17年:ハナ子さん(杉浦幸雄)
太平洋戦争生き残り主人公
昭和18年:轟先生(秋吉馨)
戦争で萌芽した長篇漫画映画
昭和19年:桃太郎の海鷲(演出・瀬尾光世)
未曽有の衝撃-玉砕、謹慎する主人公たち
昭和20年
◆昭和21年-30年
<占領下から復興への社会風俗>
深刻な世相にホットな漫画
昭和21年:サザエさん(長谷川町子)
占領下日本の混乱期
昭和22年ヤネウラ3ちゃん(南部正太郎)
紙芝居の新聞、雑誌進出
昭和23年:少年王者(山川惣治)
プレスコード漫画
昭和24年:日本意外史(荻原賢次)
アプレ時代の戦前派成年
昭和25年:デンスケ(横山隆一)
平和条約記念漫画
昭和26年:クリちゃん(根本進)
戦後の世相を鋭く風刺
昭和27年:プーサン(横山泰三)
戦前ののらくろ、戦後はアトム
昭和28年:鉄腕アトム(手塚治虫)
強く、より美しくなった女性
昭和29年:アトミックおぼん(杉浦幸雄)
大正庶民のペーソス
昭和30年:おトラさん(西川辰美)
◆昭和31年-40年
<もはや戦後ではない/所得倍増下のテレビ、週刊誌時代>
戦後っ子ここにあり
昭和31年:アッちゃん(岡部冬彦)
ラジオ東京お墨付きの少年剣士
昭和32年:赤胴鈴之助(武内つなよし)
ヌーディスト天国
昭和33年:かっぱ天国(清水崑)
フーテン族の先駆者たち
昭和34年:オンボロ人生(加藤芳郎)
テレビ時代を認識させた
昭和35年:月光仮面(作・河内康範/え・桑田次郎)
「ウラ文化」の「劇画」を陽に当てる
昭和36年:忍者武芸帳(白土三平)
世相の記録漫画
昭和37年:まっぴら君(加藤芳郎)
安定ムード下のエロチックコント漫画
昭和38年:仙人部落(小島功)
週刊誌時代のスピード漫画
昭和39年:ポンコツおやじ(富永一朗)
ギャク漫画のスーパーマン
昭和40年:お化けのQ太郎(藤子不二雄)
◆昭和41年-50年
<経済大国から低成長時代>
ホワイトカラー、バンザイ
昭和41年:フジ三太郎(サトウサンペイ)
「ババぬき」の世相に反逆
昭和42年:いじわるばあさん(長谷川町子)
昭和元禄に根性劇画
昭和43年:巨人の星(作・梶原一騎/え・川崎のぼる)
経済大国の平サラリーマン
昭和44年:ショージ君(東海林さだお)
性教育の口火
昭和45年:ハレンチ学園(永井豪)
ヤマタイ国論争、ポルノ論争
昭和46年:ひみこーッ(黒鉄ヒロシ)
太平ムードへ反発、アウトローもの流行
昭和47年:子連れ狼(作・小池一雄/え・小島剛夕)
むかし徴兵、いま同棲の若者達
昭和48年:同棲時代(植村一夫)
都会の空洞化時代にうけた「下町情話」
昭和49年:寺島町綺譚(滝田ゆう)
少女マンガの隆盛を誇示
昭和50年:ベルサイユのばら(池田理代子)
主要漫画連載リスト
あとがき
文献