脱露
- サブタイトル
- シベリア民間人抑留、凍土からの帰還
- 編著者名
- 石村 博子 著
- 出版者
- KADOKAWA
- 出版年月
- 2024年(令和6年)7月
- 大きさ(縦×横)cm
- 20×
- ページ
- 356p
- ISBN
- 9784041146507
- NDC(分類)
- 916
- 請求記号
- 916/I78
- 保管場所
- 閉架一般
- 内容注記
- 文献あり
- 昭和館デジタルアーカイブ
はじめに 荒野に四七年、名前の漢字だけは覚え続けた――(小関吉雄)
「私は日本人だ」――カザフスタン・アルマティにて、一九九三年五月/流転の運命――一九四六年六月~/「戦争に翻弄された人生だった」「くやしい」――二〇〇七年
序章 もうひとつの抑留史――南樺太から囚人としてシベリアに抑留された民間人
歴史のクレパスから現れた「シベリア民間人抑留者」/敗戦後の南樺太/パスポルト、強制労働/逮捕された民間人、三つのグループ/釈放、オオカミのパスポート、たった独りの日本人として生きる/生きのびるためにソ連籍を取得する事情があった/未帰還者から戦時死亡宣告者へ/「自己意思残留者」という斬り捨て/「日本サハリン同胞交流協会」が拓いた帰国への道
第一章 “幽霊”からの帰還――(植木武廣)(シベリア)
「由美子様、深く深くおわびします」/半世紀ぶりの再会/武装解除、家はもぬけの殻だった/占領下での“普通”の暮らし/別れの直前、娘は母親の背中で笑っていた/骨と皮/帰国した由美子さんは結婚届を出す/「氷より冷たいわが心」/日本では離婚の手続きはされなかった/自己意思残留者の認定/カンスクからの最初の手紙/日本語を忘れない/“発見”/妻ダーシャの一時帰国への固い拒絶/「一年一年良くなるどころか、悪くなるようです」/由美子さん、玲子さんとの再会/「感動も感激も湧いてこないのです」/ダーシャの死/募る“故郷”への思い/九〇年代、ロシアは混乱が続いた/画期的だった軍人恩給の支給決定/最後の手紙/由美子さんの死、長い戦後の終わり
第二章 “再会”という苦悩、女たちの抑留――(木村鉄五郎)(シベリア)
「奥さんに会いたい」/敗戦後、北海道に密航の決意を固める/鉄五郎はシベリアへ、妻は刑務所で長男を出産/たった一人の日本人の収容所/ロシアに残る/ヴォルガ・ドイツ人、迫害の歴史/日本人のイワンと呼ばれる/「私は木村の家内です」/謝罪ばかりの手紙/運命の一時帰国、父子の対面/心が二つに引き裂かれる/女たちのシベリア民間人抑留の足跡
第三章 母親は一三年間「戦時死亡宣告」を拒み続けた──(佐藤弘)(シベリア)
「シベリアのカンスク? 何だ、それは?」/敗戦一年前/空腹、寒さ、重労働の三重苦/四年ぶりに日本人と言葉を交わす/母は戦時死亡宣告を一三年間拒み続けた/生存判明/四七年ぶりの兄妹の再会/「カンスク日本人会」の結成/日本人捜索のためシベリア中を駆け回る/繰り返されたつぶやき/ロージナ(原郷)に眠る/シベリア担当、齊藤精一氏の活動――三度に及ぶシベリア調査/「ダモイ」に「ニエット」と首を横に振った男たち
第四章 六六年を経て日露の家族がひとつになった日――(結城三好)(シベリア)
ドイツからのメール/敗戦前の樺太暮らし/終戦の混乱、引き揚げ、密航、逮捕/三年間の強制収容所送り/スターリン突貫工事/「お米を手に入れることはできないでしょうか?」/夫を独ソ戦で亡くし、奮闘する寡婦/清潔であたたかなミーチャおじさん/家族の写真を抱き続けていた/送還打ち切り、そして手紙が届く/帰国の通知書におびえる/船に乗らずに現地の妻子のもとに戻った人もいた/「この人、本当に私のお父さんなの?」/「アカという偏見」「就職難」/ロシア時代のことは一言も話さなかった/村で一人暮らすペラゲイア、自立するリュドミラ/三好氏、邦子さんの死/ペラゲイアの死、ドイツへの移住から物語は動き出す/「結城三好」を捜す/戦争が起こした分断がもたらした二度目の拒絶/結城三好氏は私たちが捜しに来るのを待っていた/笑顔の遺影/分断から融和へ、戦争の傷跡を越えた家族の肖像
第五章 一三歳の密航者、カザフスタンで「サムライ」となる──(三浦正雄)(カザフスタン)
少年の冒険物語/墓の前の花/一人ぼっちの正雄に最後の挨拶をしたフクロウ/一三歳の密航者/「それがお父さんを見た最後でした」/一四歳を刑務所で迎える/マリインスク収容所で糸をつむぐ作業に就く/女先生の死/カザフスタンへ。お金は盗まれ、上着を売る/暗闇の貨車の中で/一九四八年九月の真夜中/洞窟のような自分の家を造る/牛を引き連れ冬の湖に猟に行く/「君は軍人じゃないからこの汽車には乗れない」/トラクターオペレーター時代/日本からの手紙、父の死を知る/ニーナとの結婚/大型トラック運転手時代、残留邦人との交流/カザフスタン第一の猟師「サムライ・ミウラ」となる/KGBが見張るなか、実兄と二〇分だけの再会/永住帰国
補章 もうひとつの物語──(村上一子)
亡くなった「女先生」の記録が見つかった/子どもたちに慕われ、おしゃれだった/「この戦争は負けるよ」/最後の姿/一夫の帰還と一子の動向調査/鎮魂の旅/奇跡の邂逅と別れ
第六章 奴隷のような日々を生き抜く──(伊藤實)(カザフスタン)
「こんな人生、だれもやったことがないさ」/敗戦直後に機関士となる/背中に銃を突きつけられる/訳が分からない裁判で二年六ヶ月の実刑を受けてシベリアへ/皆が死に、日本人は自分ひとりに/「ウズナガチ村はどこだ?」/牛飼いの二年間は給与も石けんもない日々/ボイラーの技術者になってから新しい人生が始まる/一一歳からたった独りで生きている女性/最愛の人の突然の死/帰国を諦め、ソ連国籍を取得/戸籍復活/「俺は日本人なんだから日本に帰るんだ」/三・一一と、運命に向けての抵抗
第七章 決死の脱走、KGBの監視下に置かれ続けた男――(熊谷長谷雄)(マイコープ)
マイコープの墓/抑留を嫌い仲間と脱走、五年の刑/サンボの聖地での出会い/途絶えた手紙/日本製ラジカセをいつも片手に持ち歩く/望郷の念が吹き込まれたテープ/一時帰国を実現直前で断念する/KGBが見張るモスクワでの兄弟再会/「この墓碑の人物を知ってもらいたい」
第八章 受け入れなかった故国、死去二四年後の死亡届――(圓子賢次)(ウクライナ)
日本で“死者”となれた日/臨時召集を受けて樺太へ/逮捕・連行される時、赤ん坊の娘は激しく泣いた/婚姻届無効を申請する/国境線近くの厳寒の収容所で/出所後、港湾施設で働く/ウクライナへの移住/トミさんの死/つながり、再度切れた細い糸/日本政府は何も知らない/ついに住所判明。手紙が届く/ウクライナへ/静かな兄妹再会/日本語で娘へつづる/一時帰国へ向けて奔走/「久恵です」。半世紀ぶりの親子の再会/「このまま永住帰国をしたい」/軍人恩給支給を巡っての大攻防戦/電話口での死/細い糸は墓に結ばれた/その後の交流
終章 シベリア民間人抑留者群像
無実の罪を負わされ自死──鍬間竹太郎/捜し尽くしたが消息は途切れ──来島己市/嘆願し名誉回復を果たした──三野辰俊/首相に嘆願書を提出し、戸籍を回復──目黒利正/シベリア民間人抑留の象徴的存在に──阿彦哲郎/シベリアから唯一永住帰国した人物──菅原久男
おわりに
シベリア民間人抑留者未帰還者一覧
主要史料・論文・エッセイ・参考文献・映像一覧
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