北方四島・千島・樺太

一群　択捉・国後
謎一　物語の若者が投身した型の海崖―プロローグにかえて―
１　半世紀前の「北帰行」
２　五二年前突然のように出現した四二枚の五万図
３　私は「謎」をどのように考えたいか
謎二　真珠湾への終結地単冠湾・ソ連空港の前身
１　最高級の資料　総指揮官　渊田元参謀の自著
２　択捉島・国後島の天寧などの空港位置
３　ソ連は侵攻後に日本軍の施設を利用したのか
４　蕊取空港は使用されず半世紀間五万図に姿を残すのみ
謎三　北海道本島に似たリアスの湾と海岸段丘
１　単冠湾での艦隊終結なども見ていた年萌湖
２　海岸段丘とそこに掘り込まれたリアス型湾
３　北方四島はソ連によってどう変ったか
謎四　徳田貞一博士の千島列島雁行説と火山の配列
１　天才徳田の雁行説は世界の地質学者が賞賛
２　択捉・国後両島も知床半島なみの火山島
　
二群　色丹・歯舞
謎五　色丹島Ｉ　小型海峡埋積考―地図から微地形がどれだけ引き出せるか―
１　最後の姿をとどめる松ケ浜湾への細い水路
２　海峡時を推定できるが、いまはつながり切った能登呂港のＣ・Ｄ間
謎六　色丹島ＩＩ　大まかに断続する美しい高原―地質図の協力もうれしい―
１　ニュースになった外人へ色丹島を貸し出す案
２　地形図で大まかに、地質図で確認の海岸段丘
３　五万図の発行で私の色丹島観は急変
謎七　色丹島ＩＩＩ　海岸に記された不可解な文字―歯舞を加えたこの亜寒帯にｃｏｒａｌが五つも―
１　色丹に二つ、歯舞に三つのｃｏｒａｌの文字
２　海図ではどうだろうか
謎八　志発島で全部の家が海辺に並ぶ理由
１　ソ連軍に追われ、根室で描いた涙の屋敷図
２　原図はみごとな大型図　８０ｃｍ×１０９ｃｍ
３　首飾りの真珠が全部漁家だとわかる資料
４　漁家が海岸線から少し離れ一線に並ぶわけ
　
三群　千島
謎九　栄光を断ち占守島に生涯をかけた郡司大尉
１　近く召集と観念して出版した旧書から
２　立身出世の常道を翻然断ち切った郡司大尉
３　日清戦争直前という多端な時代
４　郡司成忠が生涯をかけたものは何か
５　郡司大尉の非凡な活動と芸術家系の血
謎十　幌筵島岸の漁家は海抜何メートル以高で安全か
１　最北の島にこんなに見事な地図があった
２　なぜここだけ精細な等高線なのか
３　このあたりに日本の空港が？
謎十一　天寧空港は日本がつくったと信じる傍証
１　千島列島などは、どの国の所属に描かれているか
２　松輪島で解けた単冠湾空港の起源　一兵士のすぐれた手配
３　尊重する資料は実体豊かな体験実記
　
四群　樺太
謎十二　チェーホフは樺太のどこを踏査したか
１　日露の波間で揺れたサハリンの所属
２　流刑時代を示すチェーホフの本と五万分一図
３　チェーホフが上陸した一世紀前の大泊（コルサコフ）と後の豊原
４　南北両河の低分水点を正確につかんだ科学眼
５　チェーホフが綿密にたどった踏分け道の小村
謎十三　チェーホフはなぜサハリンへ行ったか―彼の科学観も知りたい―
１　チェーホフサハリン行のいきさつ
２　チェーホフがサハリンで成し遂げた偉業
３　チェーホフがサハリンでとくに留意したこと
４　チェーホフの科学観について
謎十四　チェーホフから少し離れて
１　チェーホフから地理や科学がつかめるか
２　二兎でなく一兎を追ったのだといえないか
３　創造へ導く強じんな心
謎十五　岡田嘉子と杉本良吉の越境路
１　事件――北緯五〇度線の越境
２　岡田・杉本越境路
３　鈴木長太郎敷香警察署長の直話
４　さらに『岡田嘉子　終わりなき冬の旅』でさぐる
５　敷香―国境を明記の升本本『女優岡田嘉子』
６　「岡田嘉子の失われた十年」
７　敷香――国境、岡田・杉本コースの地形
８　二五万分の一の詳細な地質図
謎十六　樺太海岸の地図にしかない沖合の異形
１　樺太五万図にのみ見られる沖合小島列の不思議
２　「平磯」なる語意味名良な文字の地図が三つ
３　海岸段丘とワンセットの波食棚（ベンチ）例
４　樺太海岸をもっと知るため三浦海岸の波食棚を歩く
５　奥尻島南端青苗西海岸べりに波食棚とランパート？
６　まず樺太東海岸の二例
７　樺太西海岸南部の不凍港本斗付近の場合
　
あとがき
索引・図版リスト