101人の人物で読み解く太平洋戦争
巻頭に寄せて 人物を知ることで太平洋戦争を理解する 保阪正康(ノンフィクション作家・評論家)
第1部 日米開戦に走った人々
Part1 泥沼化の日中戦争
近衛文麿 日本に「戦争への道」を選ばせた宰相
石原莞爾 満州事変の火付け人は、なぜ日中戦争の不拡大を主張したのか
杉山元 自らの戦略・戦術論をもたない「ああそうか大臣」の罪と罰
蔣介石 日本軍との全面戦争に踏み切った中国の最高指導者
毛沢東 日本軍を泥沼に引きずり込んだ毛沢東の持久戦論
Part2 三国同盟をめぐる攻防
大島浩 ヒトラーの信任厚かった駐独大使
板垣征四郎 三国同盟締結をめぐって”海軍トリオ”と対立した陸軍代表の謀略将軍
植田謙吉 ノモンハン事件の最中、独ソ不可侵条約締結に仰天した関東軍司令官
平沼騏一郎 三国同盟交渉に振り回された総理大臣
ヨシフ・スターリン 守るつもりのない条約をドイツと締結したソ連の独裁者
Part3 第2次世界大戦の勃発と軍部の独走
アドルフ・ヒトラー ポーランド侵攻で開始されたヒトラーの世界征服戦争
阿部信行 世界大戦下の経済政策失敗で国民から見放された短命内閣
米内光政 三国同盟締結絶体反対を貫き、陸軍の謀略で倒された良識派首相
有田八郎 なぜ防共協定に賛成しながら三国同盟に断固反対したのか
畑俊六 部下の突き上げで米内内閣倒閣に手を貸した陸軍の”ロボット代表“
松岡洋右 日独伊三国同盟の締結を推進した松岡外相は何を狙っていたのか
冨永恭次 北部仏印武力進駐を強行し、日米関係を悪化させた参謀本部作戦部長
汪兆銘 日本の傀儡政権を樹立して日中和平の道を探った指導者
Part4 日米交渉と南部仏印進駐
フランクリン・D・ルーズベルト 「アメリカは民主主義の兵器工場」になると宣言、大戦参加を画策した米大統領
野村吉三郎 日米交渉の大役を押し付けられた知米派海軍大将の悲哀
永野修身 アメリカの石油禁輸制裁を受けて天皇に「開戦」を上奏した軍令部総長
佐藤賢了 南部仏印進駐の熱心な推進者だった「黙れ事件」の軍務課長
富岡定俊 軍令部総長に代わって海軍作戦を実質的に主導した作戦課長
Part5 東條内閣の登場
東條英機 思わぬ首相の座を手にした開戦論者の独裁政治スタート
木戸幸一 東條内閣を誕生させた内大臣の罪と罰
嶋田繫太郎 軍令部総長も兼ねて戦争を推進した「東條の操り人形」
コーデル・ハル 最初の一撃は日本にやらせろ・・・「ハル・ノート」で決着をつけたアメリカの参戦準備
岩畔豪雄 松岡外相に握りつぶされた日米関係健全化の「日米諒解案」
及川古志郎 山本五十六連合艦隊司令長官から真珠湾奇襲攻撃構想を最初に打ち明けられる
第2部 開始された太平洋戦争
Part1 山本五十六の真珠湾奇襲攻撃構想
山本五十六 アメリカ政府と国民の心情を読み違えた山本の大いなる誤算
源田実 真珠湾奇襲攻撃の航空作戦を立てた機動部隊の航空参謀
黒島亀人 軍令部の真珠湾攻撃反対論をくつがえした奇人参謀の一撃とは・・・
南雲忠一 出撃後も真珠湾攻撃に自信が持てなかった機動部隊司令長官
淵田美津雄 183機の第1次攻撃隊を率いた飛行隊長
Part2 日本軍による南方資源地帯占領作戦
山下奉文 「東洋の電撃戦」を指揮し、一躍国民的英雄になった「マレーの虎」
本間雅晴 指揮官の見通しの誤りが生んだフィリピンのつまずき
ジョナサン・ウェーンライト 屈辱の降伏をラジオからフィリピン全土に伝えた指揮官
今村均 占領行政で見せた蘭印の第16軍司令官の温情統治
スカルノ インドネシアをオランダの植民地から解放した独立運動家
Part3 日本対米英軍の死闘
飯田祥二郎 南部仏印進駐とタイ進駐を指揮し、日本の開戦をお膳立てしたビルマ攻略作戦の指揮官
加藤建夫 「空の軍神」として勇名を馳せた加藤隼戦闘隊隊長
井上成美 海戦の勝利を逃した原因を押し付けられた第4艦隊司令長官
高木武雄 MO機動部隊の司令官を務める
原忠一 新鋭空母を擁する5抗戦司令官
フランク・J・フレッチャー 慎重に日本軍の出方を見てから作戦を開始した米第17任務部隊司令官
ジェームズ・H・ドゥーリットル 日本に衝撃を与えた日本初空襲の指揮官
チェスター・W・ニミッツ 劣勢から戦局を逆転させた敏腕の太平洋艦隊司令長官
草鹿龍之介 戦争に無刀流の精神は合わなかった南雲機動部隊の参謀長
山口多聞 ミッドウェーに消えた日本海軍屈指の将星
Part4 連合軍の反撃
アレクサンダー・ヴァンデグリフト 日本軍の反撃を予想してガダルカナル島に向かうも、無血で上陸した第1海兵師団長
三川軍一 ガダルカナルに米軍上陸の報で出撃した第8艦隊司令長官への評価
一木清直 敵の詳しい情報もなしにガ島に送りこまれ全滅した「一木支隊」長の無念
川口清健 一木支隊に続いてガ島に送られ、攻撃失敗後に「敵前更迭」された支隊長
丸山政男 ガ島飛行場奪回の第1次総攻撃の失敗を受けて投入された第2師団の指揮官
ウイリアム・F・ハルゼー 南太平洋地域司令官に就き、日本軍機動部隊と戦いを繰り広げた猛将
Part5 追いつめられる日本軍
安達二十三 地獄の戦場ニューギニアの指揮官を命じられた第18軍司令官
堀井富太郎 無謀なポート・モレスビー攻略を命じられた南海支隊指揮官
宇垣纏 「い」号作戦終了後の前線視察を山本とともに行う計画を立てた連合艦隊参謀長
マーク・ミッチャー 山本五十六長官機撃墜作戦の指揮を執ったソロモン地域航空部隊司令官
第3部 崩壊する絶対国防圏
Part1 玉砕の島々
山崎保代 玉砕の始まり、全滅を命じられたアッツ島守備隊長
木村昌福 味方に死傷者を出すことなく奇跡の撤退作戦を成功させた司令官
柴崎恵次 予想外の損害を与えたが、玉砕したタラワ・マキンの守備隊長
古賀峯一 前線指揮所を移動中に行方不明になった連合艦隊司令長官
福留繁 反日ゲリラに捕まり、連合艦隊の機密書類を奪われた参謀長
Part2 死の戦場
小畑英良 パラオ出張中に米軍サイパンに上陸、司令部に戻れなかった軍司令官
斎藤義次 効果がなかった水際作戦、タッポーチョ山で激しく抵抗
リッチモンド・K・ターナー マリアナ諸島攻略の水陸両用軍団12万7000人を上陸させた指揮官
ホーランド・M・スミス サイパン島攻略地上部隊を指揮し、日本軍を追いつめた
小沢治三郎 米軍の最先端兵器には通じなかった小沢のアウトレンジ戦法
高品彪 米軍上陸4日後には、早くも玉砕決意の苦戦難戦の連続
中川州男 水際作戦を放棄、洞窟陣地線で徹底抗戦し、「お褒めの言葉」は11回
岡田啓介 重臣たちを結束させ、東條内閣を総辞職に追い込んだ重臣
高木惣吉 路傍で東條の車を待ち伏せ、機関銃で・・・のシナリオは無用となった
岸信介 岡田啓介海軍大将の「辞任拒否」要請を応諾、内閣を総辞職へ追いこむ
小磯國昭 漠然と和平を目指したが、戦局はいよいよ苛烈となり、失意の中で総辞職
Part3 敗北の最前線
牟田口廉也 3万の将兵を死地に追いやった作戦能力に欠けた軍司令官
河辺正三 多くの反対意見に耳を貸さなかった軍司令官の能力
佐藤幸徳 「師団は今や・・・コヒマを撤退し、補給を受け得る地点まで移動せんとす」
豊田副武 台湾沖航空戦の真実を隠して陸軍にレイテ決戦を実施させた司令長官
ダグラス・マッカーサー 「アイ・シャル・リターン」の約束に賭けた執念の最高司令官
寺内寿一 「元帥は命令する!」「神機到来、レイテ決戦を命ず」
栗田健男 レイテ湾突入寸前に「謎の反転」、連合艦隊最後の決戦を放棄した長官
大西瀧治郎 あえて「統率の外道」を選んだ大西の真意はどこにあったのか?
武藤章 ルソン島防衛線で最後まで抵抗した対米英戦推進の武闘派
Part4 絶望の抵抗戦
栗林忠道 「爆弾を抱きて敵の戦車にぶつかり之を粉砕せん」
重光葵 「今こそ日本の外交官が国家を戦争から救い出すべきである」
アレン・ダレス 米国は公式には日本の無条件降伏を要求していたが、和平交渉を拒否しなかった
牛島満 沖縄の戦いは米軍の本土上陸を遅らせるための捨て石作戦
大田実 「沖縄県民斯く戦えり」と訣別電報を送り自決した司令官
島田叡 「お前が命がけで汲んできた水で顔が洗えるかい」
伊藤整一 「諸君、我々は死に場所を与えられたのだ」
Part5 無条件降伏
鈴木貫太郎 ポツダム宣言の「黙殺」が招いた混乱と悲劇
東郷茂徳 ソ連に和平仲介の期待をかけ続けたベテラン外交官の誤算
広田弘毅 マリク駐日大使と日ソ和平会談を続けた老外交官
ハリー・S・トルーマン 日本への原爆投下命令とポツダム宣言を出した米大統領
迫水久常 鈴木首相に終戦の「聖断」を進言した側近の書記官
森赳 降伏阻止の中堅幕僚らに殺された近衛第1師団長
田中静壱 中堅将校のクーデターを阻止して自決した東部軍管区司令官
阿南惟幾 日本の降伏に最後まで反対して自決した陸相
梅津美治郎 日本軍を代表して降伏文書に署名した帝国陸軍最後の参謀総長
昭和天皇 マッカーサー元帥の感情を揺さぶった初の会見
主要参考文献