中谷宇吉郎
- サブタイトル
- 人の役に立つ研究をせよ ミネルヴァ日本評伝選
- 編著者名
- 杉山 滋郎 著
- 出版者
- ミネルヴァ書房
- 出版年月
- 2015年(平成27年)7月
- 大きさ(縦×横)cm
- 20×
- ページ
- xvi,359,9p,図版 [2] p
- ISBN
- 9784623074136
- NDC(分類)
- 289
- 請求記号
- 289/N44
- 保管場所
- 閉架一般
- 内容注記
- 参考文献:p323-347 中谷宇吉郎関連年譜:p353-359
- 昭和館デジタルアーカイブ
まえがき
第一章 出生から留学まで
1 加賀の文化にはぐくまれる
幼年時代 幼稚園、小学校時代 中学校時代 高等学校時代
2 東京で学び、海外へ留学
大学時代 理化学研究所へ 寺田寅彦の推薦で 留学時代
第二章 まだ平和な時代に
1 雪の研究
早春の札幌へ 茅誠司との交友 雪の研究 重水をつかって 自然科学研究所の新設計画 常時低温研究室
2 大活躍の一九三六年
日食観測と天覧 中谷の積極性 武見太郎に救われる 安倍能成と小宮豊隆
3 別の潮流
積雪地方農村経済調査所 視察旅行 関心の違い 令和次郎との出会い
4 雪の研究だけに非ず
電気火花の研究 物理学の専門書 幻に終わった書
5 飛躍の一九三八年
服部報公賞 『雪』 随筆家としてデビュー 若き中谷の随筆 『科学普及叢書』 映画「雪の結晶」 ワシントンで上映 中谷のほかにも 公式の寄贈とする 天皇にも
6 幅広い交友関係
関心を呼ぶ常時低温研究室 野村胡堂の作品を愛読 岡潔への支援
第三章 戦争一色の時代に
1 凍上の研究
鉄道にとっての大問題 北海道での研究 研究の成果 満州でも 高野與作との交友 凍上の調査に満州へ さらに奥地に 北海道帝国大学と満州 雷の研究
2 低温科学研究所
海軍からの援助 建設が始まる 研究がスタート 研究費は潤沢 鳥井信治郎の知遇を得る
3 着氷の研究
飛行機への着氷 観測基地の設営 山頂に着氷観測所 山頂での研究
4 霧の研究
やっかいな霧 霧の本性を探る 霧消しの可能性 霧の予報 映画の撮影 実際に霧を消す
5 執筆活動で抵抗
『雷の話』 文章修行 『寒い国』 小林勇との交友 軍国主義政府への憤り 科学無視や精神主義を批判 非効率を批判 基礎研究の軽視を批判
6 戦後に向け
戦時中の暮らしぶり 研究成果は残す
第四章 貧しくも希望に満ちた時代に
1 農業物理研究所
敗戦直後、東京へ 農業物理研究所 目的と背景 研究者に職を 軍事研究のカモフラージュか GHQとの関係 渋沢敬三の知遇を得る 石黒忠篤に頼る 人脈を活かす つづく苦労
2 科学の啓蒙
久徳通夫への支援 『科学と芸術』 シベリア式農法への関心 『村の科学』 幻の『雪十五年』 サントリーの雑誌に 『秋窓記』 『上伊那の気象』 『雪晴れ』
3 水害の研究
洪水調査 常識にとらわれない
4 「国土の科学」
研究テーマ TVAと結びつける 資源委員会とTVA すばやい着目 高野與作の守り立て 水部会 水路式でなく、ダム式を
5 ダムの埋没
総合研究所を組織する 反論 政治的な横やりに憤る 首相に訴える 満州人脈 現実との擦り合わせ、他に委ねる 引っ張りだこ
6 農業物理研究所の解散
遺した成果 吉田茂首相のブレイン
第五章 新しい世界へ
1 オスロでの学会
家族の住まいを東京に 低温科学研究所の兼任を辞す 映画の提供を求められる フィルムの調達 尽力してくれた背景 難しい海外渡航 オスロ大会での上映
2 アメリカへ
行き先を変更 出国の許可がおりない 手こずった理由
3 カナダとアメリカの旅
冷戦下のアメリカ チャーチ博士に会う 内務省開発局を視察 乳業会社ボーデンを視察 ハーバード大学での講演とワシントン山観測所 レーン夫妻に再開 シェファーと雪の化石 プロジェクトCIRRUS ニューヨークでくつろぐ TVAを訪問
ミネソタ大学に招かれる ボルダーダム視察、帰国の途へ 『花水木』 両陛下への進講
4 科学映画の再興
科学映画に光明 「霜の花」 科学映画を取り巻く状況 「中谷研究室」 広義の教育映画と、教材映画 岩波映画製作所
5 よい映画とは
「分らす」を断念する 教育映画から産業映画へ 教育への活用 映画「キュリー夫人」 キュリー夫人の伝記
6 映画と書籍を連動させる
岩波写真文庫 『霜の花』
7 海の研究に、潜水探測機
構想を練る 資金集め メディアと連携したゆえの苦労 広報に努める 潜水艇、その後 なぜ海の研究を
8 好奇心
現場主義の基礎にある好奇心 映画づくりに熱中 飛行機にも興味
第六章 対立の時代に
1 アメリカでの二年間の研究生活
一年間の予定が、二年に 氷の単結晶が豊富 SIPREでの研究 「氷は金属である」
2 米軍研究費をめぐる問題
問題の発端 資金の出所と研究目的 国家による科学研究の組織化 ケースバイケースで 研究費の少なさ その後の判断基準
3 SIPREとは
SIPREの誕生 包括的で系統的な研究計画 基礎研究も重視 東西冷戦のなかで 中谷も気づいていただろう
4 第五福竜丸事件をめぐって
「ちえのない人々」 批判が巻き起こる アメリカでの報道ぶりに影響されたか その後、文章での発言なし ジャーナリズム批判 社会科学者からの意見
5 社会評論
中谷の随筆と寺田の随筆 親ソから反ソへ 随筆の書きっぷり 「北海道開発に消えた八百億円」 松永安左ェ門に傾倒 産業界と協力せよ 原子力発電はすっと先 商業ベースに乗せるには
第七章 氷の世界へ
1 南極観測
南極観測と中谷 学者たちの反応 正式に決定 原則的に支持 背伸びを批判 再びジャーナリズム批判 芽を筆で支援 「つきあい方」の構築にむけて 西堀越冬隊長の来訪
2 グリーンランドへ
氷の世界に降り立つ IGYでのアメリカの計画 氷の力学的性質を測定 その後もグリーンランドへ 軍の支援と、科学者の活動 氷に閉じ込められた空気
3 書きつづける
「比較科学論」 人生を愉しむ
終章 科学研究はどうあるべきか
1 「基礎科学」をめぐって
中谷の考え 「目的をもった研究」の実践 アメリカに触れて 古典物理学も大切だ 湯川と中谷 複雑な思い
2 「軍事研究」をどう考えるか
戦時中の研究を後悔しない 戦時中の研究が戦後にもつづく イギリスのFIDO 今もなお考えるべき問題
3 「立派な人生だったよ」
やりたいことをやる 書きたいことを書く 逝去 業績を記念して
参考文献
あとがき
中谷宇吉郎関連年譜
人名・事項索引
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