図書目録センソウ ト ブンカテキ トラウマ資料番号:000069520

戦争と文化的トラウマ

サブタイトル
日本における第二次世界大戦の長期的影響
編著者名
竹島 正 編/森 茂起 編/中村 江里 編
出版者
日本評論社
出版年月
2023年(令和5年)4月
大きさ(縦×横)cm
21×
ページ
347p
ISBN
9784535587724
NDC(分類)
210.7
請求記号
210.7/Ta65
保管場所
閉架一般
内容注記
文献あり
昭和館デジタルアーカイブ
和書
目次

まえがき 森茂起
[第Ⅰ部 日本における第二次世界大戦の経験]
第1章 [実践報告]第二次世界大戦と日本に関するドキュメンタリー番組に取り組んで 東野真
はじめに/ドラマ『おしん』の先駆性/一九六〇年代に始まった戦争体験の記録/一九八九年という「転換点」/戦争体験の継承と「トラウマ」/「戦争体験」をめぐるドキュメンタリーの課題
第2章 戦争はどのようにして拡大し、何が起きたのか-日本の中国侵略から太平洋戦争への道 伊香俊哉
日中戦争への道/日本軍の戦争犯罪/アジア太平洋戦争と敗戦/むすびにかえて
第3章 労働力動員からとらえる日本の戦時体制 佐々木啓
はじめに/労働力動員政策の展開とその特質/労働力動員の実態とその重層性/戦後世界への影響/おわりに
第4章 「戦争孤児」たちが最も苦しんだのは「親戚」「家族」 本庄豊
「戦争孤児」研究の始まりと展開/あんなに優しかった人たちが鬼のように/証言から史料の発掘へ/集団「脱走」による退園/「戦争孤児」と嘘をつく/中学女子の孤児/「戦争孤児」と強制不妊手術
第5章 かろうじて語られること・それでも語られないこと-四つの論考から考える 宮地尚子
はじめに/四つの論考から考えたこと/かろうじて語られること
 
[第Ⅱ部 日本の戦争への対応]
第6章 [実践報告]メディアの戦争責任に関する断章-国策通信社の末裔として絵本『かわいそうなぞう』を読む 佐々木央
問題を論じる力が欠如する理由-自己紹介を兼ねて/テーマの読み換え-国策通信社の末裔/絵本『かわいそうなぞう』の虚偽
第7章 戦時下の軍人の妻の立場について-一九四三・四四年の軍事援護学会における議論 一ノ瀬俊也
はじめに/軍事援護学会の設立/軍事援護学会法律委員会の提言/刑事部会研究委員会/おわりに
第8章 戦死者はどのように扱われたのか?-日本における海外戦没者処理の展開 浜井和史
はじめに/戦前期における海外戦没者処理/戦後における遺骨収集事業/遺骨収集事業の特質と問題点/おわりに
第9章 追悼の形式-悲劇的な出来事と文化的トラウマ 粟津賢太
はじめに/マス・デス(大量死)のインパクト/戦争記念碑(War Memorials)/英連邦戦争墓地/黙禱儀礼/日本への導入/集合的行為としての「遥拝」/対抗的記憶/むすびにかえて-社会的危機と儀礼
第10章 戦後日本の「喪の不能」と神話的思考-恥と罪悪感のあいだ 荻本快
フロイトの「喪の作業」とミッチャーリヒの「喪の不能」/戦後日本の神話的思考-イザナキ・イザナミ神話より/恥と罪悪感-「見畏み」に向けて/結論
 
[第Ⅲ部 トラウマとポジショナリティ-戦争の被害者・加害者としての日本]
第11章 [実践報告]慰安婦被害者の聞き取り調査という体験から気づかされたこと 岡檀
戦争被害者のオーラルヒストリー/”被害“とは何か-ある慰安婦被害者の語りから/慰安婦被害者の願いは何か/戦後も続く被害者の苦しみを強めたもの、和らげたもの/現在の研究テーマへのつながり/
何を聞き、どのように記録に残すのか/”事実“だけが”真実“ではない/経験の浅いインタビュアーが陥りやすい過ち/むすびにかえて
第12章 「いけにえの島」における住民と兵士の相克、そして沖縄戦PTSDの発見 蟻塚亮二
「ヨソモノ」だから見えることもある/琉球処分-琉球王国の植民地化/琉球語の廃絶、同化と差別/時間稼ぎのための沖縄戦/集団自決/晩発性PTSD/沖縄に対する差別と沖縄戦が今も与える影響/故郷の山や景色は自分の一部/沖縄の人は悲しむことができる
第13章 日本軍兵士と「加害者のトラウマ」 中村江里
はじめに/「普通の」兵士たちによる戦争犯罪/加虐行為とそれによるトラウマの語りにくさ/兵士たちのトラウマ-加害と被害の二重性から考える/おわりに-加害者のトラウマ概念の提起する問題と課題
第14章 なぜこんな目に遭わなくてはならなかったのか-原爆被害者の苦しみとその意味の追求 根本雅也
はじめに/原爆がもたらしたさまざまな被害/心の傷-被害のなかにある<加害>の意識/死や苦しみに意味はあるのか-一九八五年の原爆被害者調査の検討/おわりに
第15章 コミュニティ心理学からみたトラウマ-四つの論考から考える 川野健治
罪悪感と応答するポジション/持続するコミュニティの力/トラウマが語られるところ
 
[第Ⅳ部 第二次世界大戦の長期的影響]
第16章 [実践報告]日中戦争によるトラウマの世代間連鎖と修復の試み 村本邦子
はじめに/世代間連鎖する帰還兵のトラウマ/HWHとの出会い/日中戦争をテーマにしたHWHの取り組み/成果と課題/おわりに
第17章 第二次世界大戦のメンタルヘルスへの影響-自殺に焦点を当てて 竹島正
はじめに/方法/人口動態統計による自殺率の推移/『統計實話』と「精神衛生資料」/第二次世界大戦前に出版された書籍/第二次世界大戦中の自殺の減少/第二次世界大戦後の自殺の増加/まとめ-戦争は自殺にどのように影響したか、そこから学ぶことは何か
第18章 「身体化された軍隊経験」、「復員兵の子」というポストメモリー 蘭信三
はじめに/ある陸軍下士官の軍隊経験/復員兵の戦後家族のなかの「戦争」、そのポストメモリー/「復員兵の子」というアイデンティティ
第19章 なぜ日本人は戦争体験をオープンに語り、経験を振り返ることができないか 森茂起
問いは成り立つか/トラウマの性質/「戦争の子ども」インタビュー/「語れなさ」の重層性/「日本」の困難
第20章 沖縄戦の記憶と「沈黙の共謀」-四つの論考から考える 北村毅
「沈黙の共謀」という問題/沖縄の精神医療と「沈黙の共謀」/歴史的・文化的トラウマへのアプローチ/加害体験と「沈黙の共謀」
 
[第Ⅴ部] 連続シンポジウムへの応答]
第21章 トラウマを学びつつ、旧満州に渡った女性たちの語りを振り返る 杉山春
『満州女塾』の語り手たち/女塾が生まれた歴史的背景/子どもや若者、女性たちが守りを失うとき/支配とコントロールとは何か/弱者の苦しみを科学する力が生み出すもの
第22章 トラウマ記憶の抑圧・否認をめぐる文化的構造-表象文化論および映像研究の立場から 角尾宣信
トラウマを抑圧する日本社会/三つの視座-「文化的トラウマ」「加害者のトラウマ」「沈黙の共謀」/表象文化論・映像研究からの応答
第23章 海外の精神科医の視点から-戦争で反対の立場にいた者の子孫として キャリー・チェン
背景/シンポジウムの振り返り/インパクトと示唆
第24章 [講演]日本の第二次世界大戦のトラウマを癒す-世代間、集団的、文化的観点から オイゲン・コウ
はじめに/全体像/個人のトラウマとその長期的影響/トラウマと集合的心/世代間および文化的トラウマの癒し/外部者の見方
あとがき 竹島正

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