昭和の参謀
はじめに
序章 参謀とは
参謀の誕生/組織の中の参謀/エリート養成の陸軍大学校/参謀の作られ方/参謀の仕事/参謀への批判/一兵士から見た参謀批判
第一章 石原莞爾―満洲事変という「下克上」
石原伝説/酒田特別法廷/伝説か真実か/伝説の始まり/満洲事変前夜/満洲事変勃発/短い絶頂期/不拡大派として奔走/落日/東亜連盟運動/阿らない言動/求められる石原/石原熱/正しさとは/死後も続く石原の影響
第二章 服部卓四郎―作戦指導の中枢と再軍備
謎の残る帰国/前途洋々たるエリート参謀/要職中の要職/軍人の宿命/旧軍資料の収集/再軍備前夜/服部グループの活躍と挫折/高まる再軍備への気運/服部グループのその後
第三章 辻政信―幕僚統帥の孤高と孤独
高まる辻人気/電撃的な出馬表明/辻旋風/炭焼きの子/ノモンハン事件/昭和陸軍の体質/マレー作戦/終戦、その前夜とその後/トップ当選の波紋/議員バッジをつけた元参謀/常在戦場/東亜連盟との決別/自衛同盟とは/孤軍奮闘
第四章 瀬島龍三―シベリア抑留、そして商社へ
11年ぶりの帰国/日常への道/雪国育ちの秀才/異例に長い作戦課勤務/終戦工作への関与/つかの間の邂逅/11年に及ぶ抑留生活/遅い戦後の始まり/参謀論と組織論/参謀の神髄/第四の人生/人脈の重要性/不毛地帯で得た人生観
第五章 池田純久―経済参謀の「国づくり」
異国からの誘い/エチオピア出発前夜/特異な軍歴/「統制派」の理論的支柱/支那事変不拡大派/経済参謀として/東亜研究所/「理の人」/陸軍葬儀委員長/再び世に/戦後のハイライト/顧問団の役割/梅津美一の手紙/帰国
第六章 堀栄三―反骨の情報参謀
小さな村の選挙/出馬の要請/情報参謀の萌芽/情報参謀として/情報の真偽を見きわめる/台湾沖航空戦/〝大戦果〟の内実/〝大戦果〟報告の現場へ/〝大戦果〟の影響/レイテ決戦/堀村政/堀の言葉/最後の時まで
第七章 八原博通―合理主義者の戦いと沈黙
『昭和史の天皇』/『死生の門』/内気だが頭脳明晰/沖縄決戦前夜/計画の崩壊と立て直し/米軍上陸/総攻撃/ある一兵士の証言/脱出を命じられる/脱出/本土への帰還/晴耕雨読の日々/妻と行商/活躍する同期生たち/埋もれた記憶
終章 戦後社会と参謀
受難の時代/エリート軍人たちの戦後/求められる参謀たち/小沼治夫の戦後/弁護士となった参謀/国民感情の受け皿として/言葉の力/目的の純粋性/合理性/純粋性と合理性のハイブリッド
主要参考文献
あとがき