「家」の履歴書
第一章 過激な人生。波乱万丈な体験を経て今の自分がある
浅田次郎●作家
父親が事業に失敗し、お坊ちゃま暮らしから親戚の家を転々とする生活へ
加賀まりこ●女優
「方角がよくない」といわれるところについ引っ越すと、やはり災いが……
西原理恵子●漫画家
近所をペンギンが徘徊してた高知浦戸の家が私の原風景
宮崎学●作家
一寸先は闇だから、何軒も買ってきた家の支払いは全部キャッシュ
秋山仁●東海大学教授
中、高、大学と三回の入試失敗を体験した浜田山は"挫折の家"
赤塚不二夫●漫画家
十二人が寝起きした工場の寮で独り投稿用の漫画を描いた上京直後
野坂昭如●作家
養子、空襲、家出に副知事公舎……少年時代の転居癖は成人後も続く
第二章 それぞれの転機。これをきっかけに運命が決まった
北島三郎●歌手
八王子の超豪邸は「裸一貫からでも人間やる気になりゃあできる」証明
北方謙三●作家
高校三年、結核で空いた三・五センチの肺の穴が小説家の原点
谷啓●俳優
新築の家が全焼。持ち出せたのはクレージーの衣装と楽器だけ
イッセー尾形●俳優
幼年期の記憶を頼りに探したがたどり着けない九州時代の家々
池畑慎之介●役者
両親の離婚で転居した鹿児島で初めて土に触れカルチャーショック
田原総一郎●ジャーナリスト
夜間と昼で早大七年、遅い人生スタートは東十条の陽の射さない三畳間
第三章 お金に苦労。しかし逆境こそ人生の糧となる
なかにし礼●作家・作詞家
兄の借金のため家を売却、"年収一億円時代"は家賃十三万円の借家
島倉千代子●歌手
「ほんきかしら」ヒット中、夫と別居、母にも拒まれ、雨漏り部屋暮らし
萩本欽一●コメディアン
貧困で家族解散、家のない僕に豆腐屋さんが「二階の三畳へおいで」
仲代達也●俳優
「苦労という苦労は役者になる前にすべて終えた」ドン底の十代
水木しげる●漫画家
借金して買ったアパートも二年で人手に。筆名に残った「水木荘」
麿赤児●舞踏家・俳優
金粉ショーでキャバレー廻り、儲けた金でビルのオーナーに
藤田まこと●俳優
一年の三分の二を過ごすホテルが一番落ち着く。やはり僕は生涯、旅役者
第四章 まさに天職。信じた道をただひたすらに突き進む
永六輔●放送タレント
年中旅をして"家"に居ないから僕の財産である"人"に出逢えた
フジ子・ヘミング●ピアニスト
風で障子が鳴り瓦に雨の音がする、小学校時代の渋谷の家が一番好き
笑福亭鶴瓶●落語家
お笑いの人は密集した環境の中からしか生れんのや
山下洋輔●ジャズピアニスト
大学時代、ジャズ仲間が押しかけて下宿屋と化した阿佐ヶ谷の自宅
谷村新司●歌手
僕のギターが響く階下では、三味線の音色のなか檜舞台で姉が舞う
さだまさし●シンガーソングライター
薄暗い土間で泣きながら食べた祖母の握り飯は自己嫌悪の味
第五章 意外な職歴。迷いを抱えて過ごした雌伏の日々
団鬼六●作家
ポルノで稼いだ五億円で建てた豪邸も、断筆、相場の失敗で競売に
田中邦衛●俳優
あまりの汚さに、若大将の加山君が泊まらずに帰った赤坂の三畳間
阿久悠●作家・作詞家
結核療養で寝たきりだった駐在所の六畳間が僕の詩人の魂を養った
小松政夫●コメディアン
父の死で自宅を手放し、六畳一間女家族に囲まれて過ごした思春期
立川志の輔●落語家
三畳間でも自分の勉強部屋があれば、人生が変わっていたかもしれません
小椋佳●作詞・作曲家
座敷が満室だと子供部屋まで客席に。母が仕切る料亭で過ごした少年時代
高橋源一郎●作家
少年時代の夜逃げに大学構内、拘置所……引越し歴は二十数回
第六章 良き理解者。父よ、母よ、妻よ、ありがとう
太田光●コメディアン
仕事が激減、妻と相方・田中はコンビニでバイト。どん底だった笹塚の家
みうらじゅん●イラストレーターなど
盗んだゴジラや石膏像に埋まった四畳半下宿を見て放った親父の一言
由紀さおり●歌手
眠るベッドさえあればよかった私が大人の恋を知って生活に潤いが……
ポール・牧●喜劇役者・僧侶
欲と葛藤で自殺未遂した僕を支えた女房に贈った"内緒の引越し"
田丸美寿々●ニュースキャスター
"終の住処"の予定も離婚を迎え「家」幻想はバブルと共に消えた
武田鉄矢●歌手・俳優
手放した土地を母の働きで取り戻した実家のたばこ