図書目録ホン ワ ナガレル資料番号:000068756

本は流れる

サブタイトル
出版流通機構の成立史
編著者名
清水 文吉 著
出版者
日本エディタースクール出版部
出版年月
1991年(平成3年)12月
大きさ(縦×横)cm
20×
ページ
xii,346p
ISBN
4888881820
NDC(分類)
024
請求記号
024/Sh49
保管場所
閉架一般
内容注記
解説(荘司徳太郎):p335-346 「出版ダイジェスト」昭和54年-61年に「本は流れる-読者のための出版流通史ノート」として連載
昭和館デジタルアーカイブ
和書
目次

はじめに―出版流通の稗史
 
Ⅰ 本屋商人の誕生―前史
1 商業出版の創成
本の販売事始 浪花書肆の引札 書林問屋の仲間取引 大塩の乱と書肆
2 本の流れが拡がる新ルート―貸本業
貸本屋登場 千部振舞 歩く宣伝媒体、貸本屋 江戸書肆名考
 
Ⅱ 出版取次業の夜明け-明治期
1 強固な旧出版体制
弱いご一新の風 交通の進展は近代出版文化の発展
2 つくって、売って―大倉書店の出版活動
自ら売りひろめる出版社 厘毛を争い、市会でさばく
3 近代取次の萌芽
取次店の前身、新聞販売業 厘単位の売価
4 郵便制度の確立
早く細かく本は流れる 七日遅れの新聞を読む北陸 流通網の新たな模索
5 独立した取次業
専業取次となる条件
6 雑誌時代に大取次誕生
雑誌の寡占化に成功した四大取次 安くて速い国鉄輸送
7 大雑誌出版社の成立と流通網の整備
人馬一体の雑誌発送競争 競争激化の無政府状態
 
Ⅲ 流通・販売変革の転換点―大正期
1 出版輸送革命への胎動
急速調の業界再編成 取次経営の要は雑誌取扱い 人力・馬力から画期的な自動車採用へ
2 出版社興亡の激動期
飛躍的な貨物の増大と自動車輸送力 独自性強い出版社の創業
3 出版輸送の動脈、国鉄
増大する発行点数 雑誌輸送を支えた特運 国鉄は神様
4 薄利多売の割引競争
取次は厘手を争う商売 薄利多売を支えた労働 五厘刻みの割引販売
5 割引販売制から定価販売制へ
出版業界の販売革命 雑誌委託販売の先駆、実業之日本社 旧出版体制を変えた大震災
 
Ⅳ 近代出版の到来―昭和戦前期
1 昭和出版界最初の悲劇
時代を画した円本ブーム 円本全集合戦はじまる ゾッキに買いたたかれた円本
2 円本時代は本の革命期
不況下の出版好景気 一冊二十五銭で四冊入りの円本 斬りとり強盗の出版戦国時代
3 円本全集が与えた功罪
うるおった著者、書籍販売網も拡大 取次への入金率の低下 最大の被害者は取次労働者
4 左翼本ブーム起こる
出版恐慌に突入 円本時代の単発ベストセラー 幻のトップセラー左翼小説本 発禁本を流通・販売する取次・書店人
5 本は世につれて売れた
準戦時下のベストセラー ランキング実施は昭和二十四年
6 軍事体制下の雑誌の黄金時代
文庫本の隆盛と雑誌のマス・プロ化 部数が増えて薄くなる雑誌 満州進出書店の激増 四大取次の雑誌カルテル
7 全国三百余店の取次網
独占的威力の四大取次体制 親書店・子書店で全国末端網へ 商法ルールに則った段階正味 注文書籍が早いせどり屋の活躍
8 四大取次の指導者・大野孫平
商魂・商才・商機の人 新取次を痛烈に批判 古い取次機構が飛躍的改善へ 大野の三つの悲願 濫売から定価販売へ 大取次へ至る原動力 寡占化を排した自主規制の真否
9 日支事変と出版新体制運動
満州を勢力下においた東京堂 内相官邸に招かれた十大雑誌社
10 官民合同の出版懇話会誕生
出版新体制への第一手 出版統制に利用された懇話会 雑誌浄化運動で編集規制を強化
11 統制前夜
大取次扱いの雑誌は約一千種 変わらぬ雑誌低定価策 映画誌にみる雑誌の栄枯盛衰 雑誌流通の特殊な条件
 
V 国策会社日配の誕生―戦中期より日配時代へ
1 一元配給、満州で実験
強まる出版界への締めつけ 権力が意図する出版革新 死命を制す用紙統制
2 出版と流通の一元的統一を目指す
出版界を震撼させた新体制 特権の温存を策す四大取次 業界の解体、日本出版文化協会の創立 抵抗虚しい四大取次
3 ある俠商的取次人のエピソード
国策ふりかざす軍の横暴 雀の涙の補償金 本は配給物資か
4 事態を見通した東京堂
生殺与奪の権を握る軍・官当局 東京堂の隠し球、実務研究会 統合後に備えた隠密の図上演習
5 未経験の一元配給
厳しさ増す統制 日配創立総会開催 役に立った図上演習 奥付に入れられた日配の名 山積みの雑誌 画一的で粗雑な一元配給
6 変わる業務システムと正味制度
失業なき合併・吸収 『職員録』が語るマルト人脈 掠奪された発送台帳 雑誌は一律、書籍は定価別段階正味 日配が全額負担の販売運賃 大助かりの遠隔地書店
7 出版新体制の完結
名実ともに完備した一元配給体制 書店の統制強化 一元配給の輸送システム 配給比率の上位は外地 戦争のための海外出先機関
8 迫られる一元配給の性格転換
激減する用紙配給 出版事業令公布 最盛期を迎えた日配 人手不足で女性も進出 必備品だったマル秘の鉄道地図 軍部優先の配給部数 書店が負担する合理化政策
9 計画生産・配給の出版統制策
思想戦の先兵にされた出張所長 日本出版会発足 重視した雑誌対策 実施された買切制 共同仕入体の地域配給 厳しくなる出版企画査定
10 日配の南方占領地域配給策
軍の指示で配給 軍用扱いの南方向け図書 国策が強いた犠牲 はじまった出版企業整備 廃刊に追いこまれる総合誌 重点割当方式の配給
11 統制会社ト為ルベシ
大日本出版報国団挙行 突入した配給統制 古雑誌引換えのリンク販売 強権に支配された出版界 統制の二字の重さ 官僚的な統制会社
12 東京大空襲と取次・出版業
本の敵、空襲爆撃 潰滅的な出版活動 圧縮された一般読者 六千書店の間引き 返品なき取次の夢は実現したが
13 〝紙の弾丸〟送る兵器廠
重点割当配給方式への移行 用紙難で激減する新刊点数 召集される配給業務熟練者 輸送難に直面した一元配給
14 責任配給店制で再整備
はね返せない憲兵・特高の力 休眠が大半の書店 激減する配給量と悪化する品代金の回収 非常事態の出版業界
15 配給切替えの陰謀
半休業となった神田の出版街 日配の空襲罹災 途絶した海外配給 細々と続く配給業務
 
Ⅵ 戦後出版流通の幕開け―解体日配時代
1 一元配給機構、戦後へ移行
戦意昂揚本の焼却命令
旱天の慈雨となった一冊の新刊 仕事がないのに増える職員
2 法改正待ちの統制会社日配
出版復興の明るい気運 戦後出版は雑誌主導で 取次業も自由開業へ
3 新円に揺らぐ一元配給
用紙不足でささやかれた出版危機説 本は新円払いに流れる 一割増の地方売価販売
4 晴れて商事会社日配に
日配解散説流れる 蚕食される一元配給網 不徹底に終る日配の民主化 新体制で取りくむ戦後初の市会 正常ルートの基盤確立 やっと乗った復興路線
5 販売企画・日本読書サークル始末記
公平配給と販売優先配本の対立 サークル販売を推進した革新派 地域読者を組織する小売書店 成功から悲運の好企画の運命
6 分割恐れる日配の攻防
集排法楽観の日配主脳部 退けられた先手分割の少数意見 分割不可能の四つの観点 ホンネは現状維持の分割案
7 表面化する解体運動
楽観ムードの日配内部 細分割促進の期成同盟結成 日配存続危うし
8 閉鎖機関となった日配
利害打算が絡む作為的アンケート 落ちこむ業界でのシェア
9 指定業務の例外措置
軍には勝てぬ日配人の宿命 対策協議を呼びかけた梓会
10 取次再編への胎動
徐々に拡がる取次の自由競争 野心家の動きで混乱する業界 主導権をにぎりたい閉鎖日記
11 閉鎖日配単独清算へ
新取次設立を急ぐ 難航する新取次設立案 全国出版協会系の裏工作 大蔵当局から重大事の内示
12 新取次誕生
業績悪化の閉鎖日配 先陣をきった全国出版協会系の東販 新取次九社の誕生 五社の地方支店の独立 ついに開いた戦後出版流通の幕
 
解説(荘司徳太郎)

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