戦争の時代と社会
はじめに
第I部 日露戦争の位相
1 日露戦争の歴史的位置――徳富蘇峰のナショナリズムの変遷から(安田浩)
はじめに
一 平民主義者徳富蘇峰におけるナショナリズム
二 徳富蘇峰の「転向」
三 文明の帝国主義
四 孤立のナショナリズムへ
五 天皇主義と「亜細亜・モンロー主義」のナショナリズム
おわりに
2 日本社会の「文明」観・「アジア」観と日露戦争(見城俤治)
はじめに
一 日露戦争と他者理解の変容――「露清話」教育の行方
二 日露戦争と「文明」観の分岐――西洋/日本/アジア
むすびにかえて
3 国際関係のなかでの日露戦争の位置――有機的構成をもつ世界史像の構築に向けて(南塚信吾)
はじめに
一 帝国主義時代の同盟
二 日清戦争の意味
三 アフリカ分割
四 義和団事件と日英同盟
五 日露戦争
六 アフリカから中東へ
七 「併合」危機
八 地中海
九 バルカンの「火薬庫」
一〇 もう一度、アジア・太平洋へ
おわりに
4 日露戦争と日本の対朝鮮政策――大陸構想との関係から(小川原宏幸)
一 「日韓議定書」の締結
二 朝鮮植民地化の推進
三 大陸経営構想の相克
おわりに
5 日露戦争と朝鮮(趙景達)
はじめに
一 朝鮮人の開戦初期日本観
二 日本の朝鮮軍事支配
三 日本の土地・労働力収奪
四 挙義・反抗・民乱
おわりに
6 日露戦争とイエメン――日本とオスマン帝国のアナロジー(秋葉淳)
一 日露戦争前後のオスマン帝国エリートの日本イメージ
二 オスマン帝国のイエメン支配と支配の言説
三 「青年トルコ人」のイエメン
四 日露戦争とイエメン
7 <反テロ戦争>時代のただなかで日露戦争を考えるということ(板垣雄三)
はじめに
一 三つの「戦後」
二 アナムネーシス(想起)の機構
三 中東に直結する日本
第II部 十五年戦争前夜から現在へ
8 日本植民地の近代メディアはどうはたらいたか――一九二五年、「関東州」にラジオが生まれた(橋本雄一)
一 戦争、「戦後」、メディア
二 「関東州」のラジオ・メディア
三 近代日本を変奏し神話化する娯楽放送
四 「日本国民」多重奏――宗主国と植民地を「声」で結ぶ
五 「支那唄」――異郷を切りとる
六 「満洲国」へ――「進化」する三つのメディアが描いた「娘々廟」
七 メディアをどう批判的にみるべきか
9 十五年戦争期の農村社会――文芸に集う農村青年男女(山口隆司)
はじめに
一 昭和初年の農村
二 十五年戦争期の農村――青年と婦人の台頭
おわりに
10 総力戦下の都市「大衆」社会――「健全娯楽」を中心として(富岡裕之)
はじめに
一 総戦力下の都市社会状況と「健全娯楽」
二 総力戦下のツーリズム
三 総力戦下の映画興行
おわりに
11 戦時下の衣服――戦争を描いたキモノ(若桑みどり)
一 戦争主題のキモノについて先行研究と問題点
二 戦時衣服政策とユニフォーム化
三 戦時のキモノ隆盛の理由
四 長襦袢と羽裏
五 男児の産着
六 戦時のキモノの主なモチーフの分析
結論
12 一九四〇年代のアメリカにおける戦争と市民像――復員兵・家族・消費者(橋川健竜)
はじめに
一 第二次世界大戦期の従軍経験と家族像
二 戦後の復員兵と家族像――兵士再適応法を中心に
冷戦期への展望――むすびにかえて
13 朝鮮戦争と日本の社会(三宅明正)
はじめに
一 朝鮮戦争の研究動向
二 日本の政治・経済と朝鮮戦争
三 日本の「参戦」
おわりに
14 イラク戦争と日本の変貌(栗田禎子)
はじめに
一 「国益」論台頭
二 自衛隊「認知」を迫る動き
三 「国連安保理常任理事国入り」の野望と反発する世界
むすびにかえて
あとがき
近現代戦争年表