戦後日本の夜間中学
まえがき
凡例
序章 夜間中学から戦後義務教育を問いなおす
第一節 対策と方法
1 戦後義務教育史の中の夜間中学
2 不就学・長欠児を対象とする夜間中学の歴史的位置
3 生きられた夜間中学の歴史をいかに描くか-社会史という方法
第二節 先行研究および分析視角
1 夜間中学史研究の動向
2 不就学・長欠研究の動向
3 「周縁」研究からの示唆
4 周縁の義務教育史の視座
第三節 時期区分および定義・呼称
1 時代区分
2 定義
3 呼称
第四節 史料
1 収集した史料の概要
2 口述史料活用の意義
3 倫理的配慮
第五節 本書の構成
第Ⅰ部 夜間中学の成立・縮小・再編過程とその実態
第1章 戦後の不就学・長期欠席問題と夜間中学の成立過程
第一節 敗戦後の不就学・長期欠席者および義務教育未修了者の動態
第二節 不就学・長欠対策としての夜間中学開設の始まり
第三節 夜間中学の広がりと様々な反応
第四節 夜間中学の定着と準制度化
小括
第2章 縮小期の夜間中学-全国夜間中学校研究会の展開と模索
第一節 夜間中学の法制化問題を巡る諸議論
第二節 周縁社会の変容と夜間中学の岐路
第三節 夜間中学の存在意識の問い直し
小括
第3章 夜間中学の再編-その過程と意義
第一節 行政管理庁勧告のインパクト
第二節 運動の隆盛と新たな葛藤
第三節 新たな夜間中学像の模索
小括
第4章 夜間中学の多様性-周縁社会への対応の諸相
第一節 夜間中学の開設・閉鎖の推移および類似の長欠対策特別学級等の動向
第二節 自治体別の開設・閉鎖・存続の動向と背景
第三節 夜間中学の類型とその特徴
小括
第Ⅱ部 生きられた夜間中学の実相
第5章 夜間中学生の生活世界と學校経験の諸相
第一節 生徒数・生徒層の推移とその特徴
第二節 作文から見る夜間中学生の生活世界の諸相
第三節 聞き書きから見る夜間中学生の生活世界の諸相
小括
第6章 被差別部落の人間形成と義務教育
第一節 語りの舞台
第二節 西夫妻の語り
小括
第Ⅲ部 夜間中学の教育実践-学校文化と生活世界の狭間で
第7章 京都市の教育実践における「福祉」の位置
第一節 夜間中学からみた京都市の都市空間
第二節 寺本喜一の学校社会事業論
第三節 教育実践の中の「福祉」の両義性
第四節 一九六〇年前後の断層
小括
第8章 都市下層との葛藤と向き合う教育実践-東京都の事例から
第一節 戦後東京の都市下層における不就学・長欠問題
第二節 足立区立第四中学校における「バタヤ部落」との葛藤
第三節 立川市立第三中学校の教育実践
第四節 荒川区立第九中学校の教育実践
小括
第9章 部落差別の構造を組み換える教育の模索-和歌山県の事例から
第一節 和歌山県の部落子ども会と夜間学級の概況
第二節 新宮市における夜間学級の成立と展開-城南中学校の事例を中心に
小括
第10章 漁村の暮しと学校文化の融合-横浜市の事例を中心に
第一節 漁村の不就学・長欠の実態とその要因
第二節 漁村の長欠対策としての夜間中学
第三節 横浜市立浦島丘中学校の事例
小括
終章 夜間中学の歴史が照らすもの
第一節 六・三制義務教育制度との葛藤
1 不就学・長欠の把握・問題化・介入を巡る問題
2 夜間中学の制度的位置づけを巡る問題
3 夜間中学の性格や質を巡る問題
第二節 周縁化された人々にとっての学校
1 不就学・長欠のとっての学校
2 夜間中学生の実態と特徴
3 夜間中学に通うことの意味
第三節 教育実践における葛藤
1 広域型夜間中学における葛藤
2 地域型夜間中学における葛藤
3 再編期における新たな教育実践上の課題
第四節 残された課題
おわりに
注
引用文献一覧
全国夜間中学一覧
索引(人名索引/事項索引)