戦後日本における反差別教育思想の源流
序章 本書の課題
一 反差別教育とは何か
二 本書の目的と意義
三 先行研究の検討と本書の方法
四 本書の構成
第一部 最大原則「差別の現実から深く学ぶ」の形成過程
第一章 一九四〇~五〇年代における盛田嘉徳の「解放教育」論の史的考察-盛田嘉徳論と後の反差別教育論の「連続性」に着目して
はじめに
一 盛田嘉徳の「解放教育」論の前提
二 一九四九年段階における抵抗意識の形成構造と「解放教育」の「一般化」構想
三 「解放教育」をめぐる外在・内在的課題
四 一九五〇年代における「解放教育」の「平易化」構想
おわりに
第二章 全国同和教育研究協議会における融和教育批判論の受容
はじめに
一 全同教における融和教育批判論の形成過程
二 融和教育批判論における観念性批判の思想性
三 金子と盛田の同和教育構想における相違点
おわりに
第三章 「反独占の同和教育」論の形成過程
はじめに
一 井上清の部落問題認識とその思想的系譜
二 「反独占の同和教育」論の形成
おわりに
第四章 戦後同和教育における三原則の選択-最大原則「差別の現実から深く学ぶ」成立過程で選択された三原則
はじめに
一 スローガンの変容とその背景
二 「三原則」の選択
おわりに
第二部 小川太郎の同和教育論と生活綴方的教育方法論
第五章 小川太郎の同和教育論における生活綴方的教育方法の位置
はじめに
一 小川太郎の社会観と生活綴方
二 小川太郎の国民教育像と生活綴方論
三 小川太郎の部落問題、同和教育認識と生活綴方
四 小川太郎の同和教育論における生活綴方の役割や意義、及び、位置
おわりに
第六章 戦後日本の反差別教育における「論理」の形成-小川太郎の生活綴方論の「変容」に着目して
はじめに
一 小川太郎の思想基礎と前期生活綴方論
二 小川太郎における生活綴方論の「変容」-同和教育の影響-
三 小川太郎の生活綴方論の「変容」によって形成された「反差別の論理」
おわりに
第七章 生活綴方を基礎とした生活指導と教科指導の統合論の考察-小川太郎における教育構造論をてがかりとして
はじめに
一 小川太郎の課題意識と彼の教育構造論の枠組み
二 小川論における生活綴方と生活指導の関係性
三 生活綴方を基礎とした生活指導の関係性
おわりに
補論一 小川太郎の生活綴方的教育方法論、同和教育論への批判の解読-城丸章夫による批判を主な題材として
はじめに
一 小川太郎の生活指導論
二 城丸章夫の小川生活指導論批判(一)-生活綴方論批判を中心に-
三 城丸章夫の小川生活指導論批判(二)-同和教育論批判を中心に-
四 小川太郎と城丸章夫の思想的相違点
おわりに
第三部 「解放の学力」論の形成過程と「解放の主体形成」実践理念、実践構想
第八章 中村拡三における「解放の学力」論の成立過程
はじめに
一 第一期における中村拡三の思想
二 第二期における中村拡三の思想変容
三 「解放の学力」論の成立
おわりに
第九章 「解放の学力」論形成過程における思想的「選択」と「排除」-中村拡三の「解放の学力」論を事例として
はじめに
一 第一期の中村拡三の「学力」形成論と思想構造
二 第二期の中村拡三の「学力」形成論と思想構造
三 第一期~第二期における中村拡三の「選択/排除」
四 中村拡三の思想的「排除」の歴史的理由
おわりに
第一〇章 福地幸造を支えた生活指導実践理念の含意
はじめに
一 福地幸造の思想的系譜と課題意識
二 福地幸造における生活指導実践理念とそれに込められていた含意
おわりに
第一一章 福地幸造における生活指導実践の構造
はじめに
一 福地生活指導実践の内容的側面-「親の生きざま」・「血脈の思想」
二 福地生活指導実践の組織的側面-「教育と運動の結合」.・「部落研活動」
三 福地生活指導実践の方法的側面-「語り」、「価値争奪」、「担白」・「翻身」
おわりに
補論二 「語り」の作風への批判と賛同
一 「語り」の作風への批判-竹内常一による批判を事例として
二 福地実践への賛同-林力を事例として
終章 本書の結論と今後の課題
一 要約と結論
二 今後の研究課題
参考文献
初出一覧
あとがき
索引