戦時・戦後の部落問題
序章 戦時・戦後の部落問題 黒川みどり
一 問題意識と課題
二 デモクラシーの終焉からファシズムへ
三 戦後改革と部落解放運動の再出発
四 学知からの捉え返し
政治社会の形成と水平運動 吉田文茂
はじめに
一 全国水平社の選挙闘争
二 無産政党の部落問題の位置付け
三 議会内外における水平運動家の活動
おわりに
部落女性と婦人水平社 宮前千雅子
はじめに
一 部落女性の生活実態
二 部落女性の苦悩と困難-その声を読み解く
三 婦人水平社の主張と活動
おわりに
朝鮮衡平運動の展開と水平社 水野直樹
はじめに
一 「白丁」の生活状況と歴史
二 衡平社の創立と活動
三 水平社との交流・連帯とその限界
四 衡平運動の変容と弾圧
五 大同社の運動
おわりに
アジア・太平洋戦争と部落問題 藤野豊
はじめに
一 満州事変の勃発と部落問題
二 日中全面戦争と部落問題
三 対米英開戦と部落問題
おわりに
近代日本社会とマイノリティ調査 吉村智博
はじめに
一 マイノリティ調査史研究の軌跡と課題
二 中央融和事業協会と部落実態調査
三 近代都市大阪とマイノリティ
四 大阪のマイノリティと社会調査
おわりに
戦後占領政策と部落問題 渡辺俊雄
はじめに
一 日本「本土」の占領と部落問題
二 憲法草案の起草と部落差別
三 もう一つの焦点「人」
四 総司令部の強い意志
五 日本政府-地方への「委託」
おわりに
戦後復興期の被差別部落 大西祥惠
はじめに
一 戦後復興期の部落のありようについての研究視角
二 戦後復興期の部落のありよう-大阪市の部落と戦災復興事業
三 戦後復興期の部落の産業・就労
四 戦後復興期の部落のありようについての考察
おわりに
松本治一郎と国際連帯 イアン・ニアリー
はじめに
一 松本の戦後の海外渡航歴
二 平和の唱道者
三 中国の支持者
四 国際連帯
五 日本社会党の代表者として
おわりに
戦後同和行政と部落解放運動 竹森健二郎
はじめに
一 部落解放全国委員会の設立と同和行政のスタート
二 同和対策審議会答申から同和対策事業特別措置法の成立と部落解放運動
三 「地対法」以降の同和行政と部落解放運動
おわりに
保守政党と部落問題 割石忠典
はじめに
一 占領期の部落問題
二 占領期の終了と部落問題
三 自民党と部落問題
四 自民党と全日本同和会
五 答申から「特別措置法」制定へ
おわりに
高度経済成長と部落における就労の変化 石元清英
はじめに
一 高度経済成長による日本社会の変化と部落の就労
二 軽視された高度経済成長の影響
三 根強い「部落=窮乏説」
四 農地改革の評価にみる「部落=窮乏説」
五 国民融合論と高度経済成長による部落の変化
おわりに
近代の文芸と部落問題 秦重雄
はじめに
一 二〇世紀初頭-『破戒』の出現まで
二 水平社の創立-芸術的文学的爆発
三 『破戒』を超えるものを求めて-アジア太平洋戦争の敗戦まで
おわりに
民俗学からみた部落問題 政岡伸洋
はじめに
一 部落問題と柳田國男
二 戦後における民俗学の展開と部落問題
三 民俗学の限界と部落問題への注目
四 被差別部落の民俗誌が語るもの
五 被差別部落における民俗の現在と部落解放運動
おわりに
部落(民)アイデンティティと「部落の文化」運動 内田龍史
はじめに
一 アイデンティティ・ポリティクスの場としての部落解放運動
二 否定的なアイデンティティから肯定的なアイデンティティ形成へ
三 「部落の文化」の研究視座
四 部落の「文化活動」の展開
五 部落の「文化活動」から「部落の文化」運動へ
六 「部落の文化」運動の展開
七 「部落の文化」運動の結実
八 アイデンティティ・ポリティクスとしての「部落の文化」運動とその困難
日本近現代史研究と部落問題 黒川みどり
はじめに
一 部落解放理論の礎石
二 本格的研究の始動-階級的連帯の希求
三 評価軸の転換と模索
四 ”近代“への問い
五 ”近代“を超えて?
いま
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