「戦争の記憶」その隠蔽の構造
プロローグ
1 戦没者遺児への慰藉
「平和祈念館総合センター」構想の始まり/日本遺族会の「慰籍」の理由/加速する右傾化の始まり
2 軍人恩給をめぐる攻防
GHQ覚書と「勅令第六八号」/軍人恩給廃止の波紋/ナショナリスト橋本龍伍
3 軍人恩給の復活
「寛大な条約」の意味/倒錯した責務/復活した「天皇の軍隊」の「約束」
4 靖国神社と「祭り上げ」の構造
戦死者利用のレトリック/ジャーナリズムはなおもナショナリズムを鼓吹した/天皇参拝は責任忘却の儀式
5 「英霊の顕彰」につながる「遺児記念館」
遺族会と自民党の濃密な関係/靖国神社「国家護持」から「英霊顕彰」へ
6 「遺児記念館」から「戦争メモリアル」へ
「まきこまれた戦争観」による「記念館」構想/内向き思考の戦争観/「平和」を関する戦争歴史館の内実
7 靖国神社公式参拝への道
見送られた戦後補償/「追悼」の假面をかぶった「英霊の日」/タカ派宰相の野望
8 祈念館構想の視野狭窄
厚相諮問懇談会報告の限界/想像力の貧困・哲学の貧困
9 「遺児記念館」から「平和祈念館」へ
看板をかえて進む計画/ひとりよがりの戦争メモリアル/歴史を隠蔽する「歴史伝承施設」/アジアからの批判/「遺児記念館」は国立宗教施設/記念館展示が無視するもの
10 祈念館「三〇〇万人史観」
「謝罪は目的としておりません」/遺族会による運営権の要求
11 日本遺族会の戦争観と宗教的性格
細川発言と遺族会の反発/反発の背景/業務委託の根拠/遺族会の宗教団体性/遺族会の歴史/靖国信仰と祈念館の宗教性/日本遺族会はこう考える
12 「祈念館」建設差し止め訴訟
不透明な建設計画/住民の反発/迷走/見直し案/建設許可をめぐる「疑惑」/差し止め訴訟
注
資料1 国会会議録〔抜萃〕
資料2 声明「戦没者追悼平和祈念館について考える」
資料3 財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸与に関する法律
資料4 「戦没者追悼平和祈念館(仮称)」工事差止請求訴状
資料5 被告答弁書
資料6 「戦没者追悼平和祈念館(仮称)最終案」
あとがき