戦後日本の文化運動と歴史叙述
序章 問題の所在と本書の視角
研究史における本書の位置づけ
一九五〇年代の文化運動に関する先行研究
国民的歴史学運動はどのように語られてきたのか
本書の視角と分析の方法
本書の構成
第一章 地方における国民的歴史学運動の展開――民主主義科学者協会地方支部の動向から
民科の全国的展開と歴史部会の取り組み
民科地方支部の設立過程
民科歴史部会と『歴史評論』
国民的歴史学運動の地域的展開
国民的歴史学運動の進展と地方支部への波及
民科地方支部による地域へのアプローチ
人びとにとっての国民的歴史学運動経験
労働者による国民的歴史学運動――民科大阪支部歴史部会の経験から
国民的歴史学運動の終焉
小括
第二章 地方における国民的歴史学運動指導者の実践――民主主義科学者協会奈良支部の奥田修三を対象として
奈良における戦後文化運動の出発――奥田修三の戦時・戦後経験
戦時経験
敗戦から文化運動へ
民科奈良支部歴史部会による国民的歴史学運動
民科奈良支部歴史部会の結成と初期の活動
紙芝居「土の唄」作成の経緯
人びとの主体の「発見」
「「母の歴史」を書こう」という提唱
民科奈良支部による運動の終焉
国民的歴史学運動の「深層部分」への接近
小括
第三章 地域青年層の戦後意識と国民的歴史学運動――城南郷土史研究会を対象として
一九五〇年代前半の上狛町政と地域青年団運動
上狛町政の動揺から再建へ
地域青年層の戦後意識
城南郷土史研究会の結成
中津川保一と敬朗
地域の歴史との出会い
研究会の結成へ
地域の歴史を書く担い手への成長
研究テーマの拡張
南山城水害・台風一三号災害への取り組みと民科京都支部への違和感
「共同研究 山城国一揆」の完成から一度目の休会へ
小括
第四章 地域における歴史叙述――一九五三年の南山城水害・台風一三号災害をめぐって
一九五〇年代の南山城地域
城南郷土史研究会による水害調査と報告書の作成
大西康允による『南山城水害誌』の作成
大西康允の経歴と『南山城水害誌』
『南山城水害誌』完成までの道程
小括
第五章 国民的歴史学運動から歴史教育へ――加藤文三の運動経験と教育実践を対象として
マルクス主義歴史研究者たちとの出会い
国民的歴史学運動のなかへ
教師としての「青春時代」――二砂中への赴任
教育をめぐる環境の変化
運動の回顧へ
小括
第六章 国民的歴史学運動のゆくえ――地域における運動の継承と変容
ポスト高度成長期の地域における歴史をめぐる運動
住民運動をとおした歴史学習と人びとの自己変革
歴史教育の立場からの国民的歴史学運動再評価
城南郷土史研究会の再出発
第二期の概要
座談会「文化財保護の運動をどうすすめるか」の開催
山城国一揆五〇〇年をめぐる取り組み
大型開発の進展と歴史学習運動
山城国一揆五〇〇年に際して開催された集会
小括
終章 総括と展望
国民的歴史学運動の評価をめぐって
戦後日本の文化運動と歴史叙述
註
あとがき
索引