「戦争孤児」を生きる
はじめに
第1章 問題の所在
本書の視座
「戦争孤児」たちがたどった道程
研究視座――ライフストーリー研究と「語りの産出/不在」を分析すること
理論枠組み
調査対象
本書の構成
第2章 「戦災孤児」のメディア表象――敗戦後日本の自画像としての
「戦災孤児」、浮浪児の飢餓と貧困
「親がない子ども」をめぐる新聞記事件数の推移
「慈しむべき哀れな孤児像」
「不良化し犯罪化する危険な浮浪児像」
「平和への祈願としての原爆孤児像」の形成
「戦災孤児」たちの「親探し運動」と「親子再会の物語」
第3章 語りの制約――沈黙の背後にあるもの
調査対象者の生活史と出身階層
なぜ自分の「戦災孤児」経験を語れない/語れなかったのか
「戦災孤児」だったことの沈黙
語り始める契機
第4章 社会的信用の失墜と孤児たちの経験――浮浪生活、施設生活、親戚宅での生活をどのように語るのか
「戦災孤児」というカテゴリーを付与されること
疎開経験、空襲経験、親の死を知る
浮浪生活(に至った経緯)/施設経験をどのように語るのか
里親宅/親戚宅での生活をどのように語るか――いちばんつらい時期として
自殺を考える
他家での家族関係で先鋭化するスティグマ
第5章 「戦災孤児」を生きること――学校生活、就職、そしてその後の人生
就学/進学
就職
体の不調
「家族」をつくること、「子ども」をもうけることへの願いと拒否感
その後の人生
第6章 「戦災孤児」から「戦争孤児」へ――カミングアウトと裁判
アイデンティティの承認をめぐる闘争
語りだすきっかけ
「戦災孤児」から「戦争孤児」へ
信念
ライフストーリー産出をめぐる政治と闘争
終章 沈黙と語りの歴史社会学
社会的カテゴリーとしての「戦災孤児」「戦争孤児」
承認をめぐる闘争とループ効果
戦争社会学との接点
「語りの不在」自体を問題にする視座
戦争の記録、記憶、語りの継承
東日本大震災の経験、子どもたちの脱スティグマ化のために
参考文献
あとがき