戦後日本と国家神道
まえがき
第Ⅰ部 国家神道をめぐる概念枠組み
近代日本の宗教構造と国家神道
「神道指令」と国家神道概念
狭義と広義
「宗教」、治教、祭祀
国家神道とは何か
宗教構造の変容
国体論・神聖天皇崇敬と神道
国体論・神聖天皇崇敬と神道の関係
今泉定助が捉える神道と国体論
国体興隆と神道の復興としての明治維新
近代神道史と国体論・天皇崇敬
「宗教」の上位にある精神秩序としての神道
「宗教」という訳語
近世における「道」「教」「宗門」
「宗教」の上位の「治教」(「皇道」)
文明の基盤としての「宗教」と「信教の自由」
「神道」「皇道」が「宗教」ではない理由
「祭祀」「治教」が「神道」とみなされるまで
神社・神職中心の神道観は妥当か
はじめに
神社を「民族宗教」とみなす
神祇信仰から神道への展開を問う
神社こそ神道の基体とみなす
国家神道を宗教集団とみなす
共有された考え方や行動様式から宗教を捉える
明治維新は世俗的変革か――安丸良夫の国家神道論をめぐって
はじめに
戦前の日本は世俗国家か
神話に基づく天皇崇敬と国体論は宗教的ではないか
まがりなりにも「信教の自由」は成り立っていたか
国民国家とナショナリズムは世俗的か
国家神道・神聖天皇崇敬の「見えない化」――葦津珍彦の言説戦略とその系譜
葦津珍彦と「天皇の神聖」
狭義の「国家神道」の言説戦略
「国家神道」と神聖天皇崇敬の「見えない化」
付論1 神道・国家神道の戦前・戦後――『戦後史のなかの「国家神道」』をめぐって
はじめに
「広義の国家神道」概念は戦前に系譜をたどれるか
戦後の広義「国家神道」と戦前の「神道」の連続性
戦後憲法学の「国家神道」とその系譜
おわりに
第Ⅱ部 「国家神道の解体」と天皇の神聖性
国家神道の戦後――皇室祭祀・神社本庁
「国家神道の解体」の実態
戦後の皇室祭祀
宗教教団としての神社本庁
敗戦と天皇の神聖性をめぐる政治
「天皇の人間宣言」は誰の意思によるものか?
「国体のカルト」をどう制御するのか
神道と天皇崇敬という複合問題
「天皇の人間宣言」が先送りしたもの
国家神道の存続と教育勅語の廃止問題
国家神道の解体と教育勅語
教育勅語の存続
占領初期の日本の知的指導者らの教育勅語観
南原繁の教育勅語尊重と天皇崇敬
「国体護持」と「民族共同体」
付論2 戦後の靖国神社をめぐって
はじめに
靖国神社はなぜ生き延びることができたのか
戦後靖国政治史をどう捉えるか?
第Ⅲ部 天皇の神聖性をめぐる政治の展開
戦後の国家神道復興運動――日本会議・神道政治連盟・神社本庁
はじめに
日本会議の運動
神道政治連盟と皇室の尊厳護持運動
神社本庁の発足と設立の意図
神道政治連盟の結成とその後の運動
安倍元首相と国家神道・伊勢神宮
おわりに
日本人論と国家神道の関わり
はじめに
中空構造・無構造・固有信仰
日本人論と国民道徳論
教育勅語・国体論から日本人論へ
新たな「神聖天皇」言説
昭和前期・戦中期の言説への回帰
おわりに
皇室典範と「万世一系」
はじめに
皇位継承問題と立憲主義
生前退位問題と立憲主義
生前退位否定の根拠と「万世一系」
『皇室典範義解』の終身在位論
生前退位と「神聖な天皇」
天皇崇敬を重視する論者の反対論
天皇の人間性
天皇の神聖化の動き
「新日本建設に関する詔書」との照応関係
象徴天皇制と信教の自由・思想信条の自由
引用・参考文献
資料
あとがき
索引