戦前戦中戦後
序文
一 しのびよる軍靴のひびき
学校教育への軍人の進出
軍事教練の導入 巧妙な戦争準備 余剰軍人の失業救済
天皇像の神格化
慶應義塾の天皇像と軍部の天皇像 近衛歩兵第三連隊での生活 軍隊秩序と自由
華族と重臣
両親の交友 関東大震災と重臣 尾崎咢堂の素顔 わが家の家風
軍部独走の根本原因
立憲政治の内実 階級社会・権力社会 統帥権の独立 未来からの反射を
二 戦前の社会
右翼の総帥 頭山 満
社会に出たころ 質素な私生活 宮内大臣、謝まる 頭山先生の周辺
巷の俠客たち
俠客からヤクザへ 町の俠客の生活 三多摩の壮士達の一人
老政客 古島一雄の生き方
岩波茂雄とのつきあい 古島さんの生き方
三 軍国主義への傾斜
二・二六事件
牧野伯の二・二六事件 高橋是清惨殺
反戦主義者の弾圧
企画院事件 和田博雄さんのこと 各界が内部混乱を持って 吉田茂の逮捕 南枢密顧問官の反軍行動
暗黒の十年の始まり
松岡外交への危惧 陸海軍の間柄 河合操陸軍大将のこと みじめな国民生活 農林行政の大きな役割 科学に基盤を置く学際的政策を――石黒農政
四 開戦の日
近衛公と大政翼賛会
インテリの強さと弱さ 軍に奪われた大政翼賛会 近衛公の優柔不断 その頃の軍人との交わり
理化学研究所
理化学研究所と戦時研究 眠くならない薬 研究体制の崩壊 開戦の日の仁科博士と牧野伯 悲痛な前途 開戦の日の国民の喜び
反戦の人びと
岩波茂雄と学者たち 羽仁五郎 三木清への弾圧 小泉信三と河上肇 岩波茂雄と二人の軍人
岩波書店の思い出
岩波創業当時の苦労 岩波さんのごちそう 河合栄治郎教授 鶴見祐輔さん 岩波書店創立三十周年式典 西田幾多郎先生の祝辞
五 戦争中の庶民と上層部
飢餓と空襲
初空襲下の長女誕生 B29のマグネット 国民総飢餓の苦難 ヤミ――流通秩序の破壊 産めよふやせよ
チャーチルの密書
昭和十二年千葉県柏に疎開する 世界戦争を見通した先見 柏の牧野伯邸へ千客万来 講和への模索 吉田邸内の憲兵隊スパイ
六 日本の敗戦
終戦の御聖断と詔勅
終戦工作 終戦の御聖断降る 古野同盟通信社長の独断放送 瀕死の理化学研究所 終戦を迎えて 右翼とジャーナリズムの動き ソ連参戦のしこり
終戦時の世相
「日本国民に告ぐ」は出なかった 思想的な混乱 占領軍とマッカーサー元帥 衣食住の慢性的危機
七 宰相吉田茂と日本の復興
牧野伸顕と吉田茂
上野の図書館 青山の一夜の奇遇 学者グループ形成の機縁 牧野・吉田の外交姿勢 吉田さんの家族・宗教・経済
日本の復興
科学・文化の重視 吉田外相生まれる 日本再建の理念 吉田内閣の生まれた六日間 錚々たる学者顧問団 吉田学校の本体 日本復興のプログラム 科学・経済・実業の三位一体
ふりかかる難問
当意即妙の外交交渉 陛下の御下問 高橋誠一郎文部大臣の誕生 二度目は引受けず 吉田内閣顚覆の陰謀
八 二十一世紀への日本の心
科学技術立国の理想
理研の再建 秩序ある自由の実現へ 労働組合運動の試行錯誤 科学技術立国の理想
日本人の生活の心
国民生活の心棒 人間天皇への共感 憲法制定の秘話 科学する心の開花 過去を生かす民主日本の包容力
九 わがなつかしき人びと
中谷宇吉郎君の思い出
サントリーの奨学金 幸田露伴の学識 藤岡由夫君のいたずら 『島津斉彬言行録』 終戦の予感で動いた中谷君
多士済々
池田勇人――吉田学校の優等生 佐藤栄作と沖繩返還 吉田茂の最期 戦後の華族や名士の行方 安倍能成と新生学習院 大野伴睦さんの思い出 検事をからかった教授 松野鶴平さん 松村謙三さん 河野一郎さん 河野さんの最期
著者年譜