語り継ぐこの国のかたち
第一部 戦争がこの国に遺したもの
日本のノー・リターン・ポイント 明治からたどる歴史の転換点
明治という時代をひもとく|軍部の暴走をゆるした総帥権
天皇を国民統合の基軸に|教育勅語と『坊っちゃん』
国を挙げて一生懸命になった時代|根底に流れる攘夷の精神
漱石が予言した日本の凋落|勝利病にかかった日本人
日露戦争の勝利が生んだ暗い影|現代日本のあやうさ
歴史の「四十年サイクル」
戦争のなかの天皇 明治天皇の御製にみる日露戦争
御製がうつし出す戦争の現実|日露戦争にいたる道のり
暗雲立ち込める満洲情勢|平和的解決を切望した明治天皇
開戦決定で流された涙|とてつもない消耗戦
容易に喜びを表さず|日露戦争の終結と国民への思い
明治天皇の残した警句
過ちがくりかえされる構造 ノモンハン事件と日本的思考
参謀本部の真実|司馬さんはなぜノモンハンを書かなかったのか
事件は国境侵犯からはじまった|戦争の目的とは
不都合な事実を報告せず|独断で暴走する関東軍
人事の致命的な甘さ|失敗に学ばない日本人|底知れぬ無責任
日本を暴走させた人たち 参謀から考える日本軍「失敗の本質」
戦争を動かした参謀という仕事
指揮官と参謀の条件|暴走をはじめる参謀たち
組織の命運を左右する人間的組み合わせ
参謀のタイプ別「失敗の本質」|日本軍最大の失敗
わたくしの八月十五日 終戦の記憶と平和への祈り
わたくしの体験した終戦|ひどく暑かった一九四五年の八月
「老兵」命がけの決断|平和への祈りを続ける
戦争で死ぬということ 戦死者をどう追悼すべきか
「戦争の死者」とはどういう存在か|戦争で死ぬということ
日本人は戦死者をどう悼んできたのか
合祀と死者の選別について|戦争犠牲者をどう追悼すべきか
第二部 この国の未来に伝えたいこと
信念をつらぬく覚悟を 陸奥宗光と外交の神髄
明治日本の悲願だった「不平等条約の改正」
陸奥宗光の登場|坂本龍馬にも認められた陸奥の才能
獄中で身につけた「政治の論理」|「カミソリ大臣」と呼ばれた男
伊藤博文との密談|遂に成し得た条約改正
日清戦争と三国干渉|信念をつらぬく覚悟を
正しいことを言う勇気 石橋湛山が思い描いた未来図
日清戦争と「外交的敗戦の体験」|岐路をむかえる近代日本
国家のビジョンという難題|日本の転換点と石橋湛山
正しいことを言う勇気|石橋湛山が思い描いた未来図
言論の自由への揺るぎない信念
言論の自由をいかに守るか 権力とメディアの日本史
国家権力とメディアの歴史|非情な「軍機保護法」の影
八十年前にも聞いた「危険な運用はいたしません」
権力を監視する役割を放棄するな
軍部にメディアが一丸となってたちむかった日
歴史に残るメディアの栄光と敗北|言論の自由をいかに守るか
知識人の役目 小泉信三と戦後日本の精神
「勇気ある自由人」小泉信三|戦後日本はどこへ向かうか
小泉先生との出会い|先生の説いたフェアプレーの精神
知識人の品格|「武士の一分」を立てる生き方
知識人の役目とは何か
語り継ぐこの国のかたち 司馬遼太郎の遺言
『この国のかたち』が問いかけること
日本の問題点が凝縮された『統帥参考』|憲法に託された思い
日本人が忘れてしまったもの|司馬遼太郎の遺言
日本の原風景をなくさない 宮崎駿の世界に寄せて
少年時代がつまった「トトロ」|昭和三十年代のうつりゆく日本
経済成長を追い求めて孤立する日本|日本の原風景をなくさない
新たな時代をどう生きるか 答えは歴史のなかに
なぜ歴史を学ぶのか|人間を知る
焼け野原の真ん中で|過ちの歴史をくり返さぬために
「国体」について あとがきに代えて
解説(内田樹)