多様な子どもの近代
はじめに―二〇二〇年代初頭の光景から(元森絵里子)
序章 子ども観の近代性と多様性への視角―「誕生」図式を問い直す(元森絵里子)
1 「子どもの誕生」を問い直す視角
2 メタファーとしての「複合体」と「逃走線」
3 本書の構成
第1章 「稼ぐ子ども」をめぐるポリティクス―児童保護をめぐる多様な論理(元森絵里子)
1 多様な論理の存在―児童保護規範の浸透図式を問い直す
2 子どもを働かせない理由/働かせる理由―工場法の年齢規定
3 「憐れな子ども」の社会問題化と消費―曲芸する子ども
第2章 貰い子たちのゆくえ―昭和戦前期の児童虐待問題にみる子どもの保護の接合と分散(高橋靖幸)
1 明治期における「児童虐待」の概念
2 法律によって貰い子を虐待から救う
3 岩の坂貰い子殺し事件と児童虐待問題の変化
4 新たな貰い子殺し事件と産院・産婆問題
5 児童虐待防止法の成果の無効化
第3章 孤児、棄児・浮浪児の保護にみる「家庭」/「教育」―戦前期の東京市養育院での里親委託の軌跡から(土屋敦)
1 近代的子ども観の単線的な「誕生→浸透」図式を再考する
2 東京市養育院はどのような場所だったのか
3 「子どもの生存」のための里親委託の増加―一九〇〇年代初頭―一〇年代半ば
4 子どもの死亡率の改善と里親委託批判の形成―一九一〇年代半ば―三〇年代初頭
5 一般家庭児童に比する施設児童の「発達の遅れ」という視角の形成
第4章 消費する年少者と家族の戦略―「活動写真」から「映画」へ(貞包英之)
1 年少者の消費を問い直す
2 活動写真を見る年少者
3 「映画」の誕生
4 こづかいという鎖
5 発声漫画映画と紙芝居
6 サブカルチャーの発生とゆらぎ
終章 多様性としての近代から現代へ(元森絵里子)
1 多様性としての子どもの近代
2 子どもの現代の系譜学的相対化へ
おわりに(高橋靖幸)