占領下日本の地方都市
まえがき
序章 地方都市の占領空間と接収をめぐる研究背景(大場修)
一 占領軍調達史
二 住宅接収
三 占領軍家族住宅・Dependent Housing
四 地方への視点
五 本書の視点と構成
第一章 占領下日本におけるGHQの空間配置(村上しほり)
一 占領期の都市・建築史研究と史料について
二 占領軍調達に関する国内機関と法律の成立
三 占領軍部隊配備の推移
第二章 占領下日本における占領軍家族住宅の様相(村上しほり)
一 占領軍による占領軍家族住宅の設置命令
二 占領軍家族住宅の分布と変容過程
第三章 ホテルの接収形態とその動向(長田城治)
一 進駐と同時に展開されたホテル接収
二 すべての「モノ」と「ヒト」を接収した請負制のホテル運営
三 用途や階級で分けられた接収ホテル
四 日本のホテルは占領軍のもの
五 悲願の接収解除
第四章 札幌・「贅沢すぎる」キャンプ・クロフォード(角哲)
一 北海道への占領軍の進駐と接収
二 近代農業の先端地から占領軍基地へ―キャンプ・クロフォード建設の背景
三 模範となった施工組織とキャンプ・クロフォードの建設工事
四 ふたつの顔をあわせ持つキャンプ・クロフォード―空間構成と施設配置
五 新旧が共存したキャンプ・クロフォードの施設
六 キャンプ・クロフォードの歴史的な意味
第五章 山形・地方の小都市にみる接収(長田城治)
一 文化圏に合わせた進駐
二 同時多発的に展開された占領
三 建物接収を基盤とした山形県の占領政策
四 接収施設・住宅の様相
五 地域別にみる接収施設・住宅の実態
六 素人仕事で建設したキャンプ・ヤングハウス
七 土地の接収により弾道が飛び交う町に
第六章 日光・観光都市の接収(長田城治)
一 日光におけるホテル業の変遷
二 接収施設の事例と接収時期
三 日光金谷ホテル
四 日光観光ホテル(現中禅寺金谷ホテル)
五 日光パレスホテル(現日光山輪王寺本坊事務所、旧山内御用邸)
六 占領軍が利用するものは占領軍専用に
第七章 名古屋・占領にみるもうひとつの戦災復興(角哲)
一 名古屋への占領軍の進駐と接収のはじまり
二 緩やかに進んだ名古屋の接収
三 繁華街を分断したアメリカ村とキャッスル・ハイツの建設
四 アメリカ村とキャッスル・ハイツの施設の種類と配置
五 接収解除をめぐる七年の葛藤と戦災復興
第八章 琵琶湖畔の接収と「国際文化観光都市」の計画(玉田浩之)
一 「皇子山ハイツ」と「国際文化観光都市」計画
二 湖畔リゾートの接収
三 新鮮野菜供給拠点としての水耕農園
第九章 京都の占領と接収(大場修)
一 京都への進駐
二 接収される建物
三 歌舞練場の接収事情
四 住宅の接収
五 接収住宅の改修
六 御所の接収回避と「身代り接収」
七 植物園の接収対策と復興
八 戦災としての接収
第一〇章 想定外の占領拠点・大阪の接収事情(村上しほり)
一 大阪における占領開始と司令部移駐
二 戦災と民有ビルの接収
三 心斎橋・百貨店の明暗
四 郊外の高級住宅街の接収と早期の返還実現
五 大阪都市圏外縁に設営されたDH
第一一章 神戸・阪神間の接収と土地・建物の奪いあい(村上しほり)
一 "Kobe Base"による広域な接収
二 神戸市中心部の土地接収と生活環境の収奪
三 旧神戸経済大学の接収と「六甲ハイツ」
第一二章 岡山・日本側の期待通りに進まない占領軍の接収(砂本文彦)
一 岡山への占領軍進駐と接収
二 住宅の接収にあたって生じた摩擦
三 保養センターとしての鷲麓園の接収
第一三章 英連邦軍総司令部の住まい―キャンプ江田島のディペンデント・ハウジング(砂本文彦)
一 英連邦軍の占領活動と住宅を含む物資供給
二 ディペンデント・ハウジングの建設
第一四章 宮島ホテルの接収―所有を巡る権利とその対価(砂本文彦)
一 宮島ホテルから大蔵省税務講習所広島支所へ
二 接収にいたる経緯と諸課題の発生
三 摂取中における各種交渉
あとがき
索引
研究成果一覧
執筆者紹介