戦争と国家秘密法
I 民衆の受難
労働者が国家秘密にふれるときーいつ、どこで秘密にふれるかー
北海の島でー
単純な事務労働ー
無線通信士と暗号ー
日記も収集かー
置き忘れー
召集の漏洩ー
沖縄戦の教訓
戦艦武蔵建造の現場でー秘密から離脱するー
二号艦武蔵ー
宣誓ー
原図の紛失ー
図工の自白ー
焼却炉へー
職場の雑談ー
一号艦大和の周辺ー
「不沈戦艦」の沈没ー
予算
軍事工場で働く人びとー働くからには秘密を知るー
父との対話ー
同僚の間でー
写真ー
下宿でー
自宅で兄にー
世間話ー
父母にー
「天下り」先へー
忘れものー
外地の経験談ー
高射砲ー
ガスマスクー
海員組合ー
新聞社ー
調査資料ー
「高度の秘密」か
産業秘密への拡大-秘密は軍事から産業へ拡がるー
自動車台数が秘密にー
領事館の通訳ー
取締りの先行ー
新入社員
もと将校たちー戦意高揚もほどほどにー
「日ソ戦はば」ー
戦意高揚のために
II 徹底した言論弾圧
家庭内の日常会話-夫婦の私語も処罰する-
銀座の時計屋-
なにが治安を害したか-
なにが人心を惑乱させたのか-
夫婦の会話-
日本生まれのイギリス老人-
もと旧制五高教授-
ホテルの自室で
「造言飛語」とは-軍に有害な発言は処罰する-
ある老学者の発言-
陸軍刑法九九条とは-
相手は一人でも-
事実無根の認識不要-
「軍事に関し」-
戦場の土産話も-
中野正剛の憤死-
声なき民への恐怖
神に仕える使徒たち-秘密は神々を追う-
不穏文書-
キリスト者の反戦活動-
函館の牧師-
監視の目
III 国家秘密のうちそと
国家秘密は判決のなかにも登場しないー秘密は消えるー
漁師の受難ー
秘密の特定は不要ー
とくに名を秘すー
なにが消えたかー
抽象的表現ー
陸軍か海軍かも不明ー
所長の訓令ー
伏字-
スピード・アップ-
二審制・指定弁護士制のねらいー
裁判の「秘密化」ー
貴族院での修正案
なにが秘密か、それは秘密-誰が秘密をきめるのか-
秘密の認定方法-
秘密の回答書-
実質秘と形式秘-
秘密のきめ方-
検察の強化で-
翼賛議会で
公知と秘密-なぜ公知のことをかくすのかー
北大生に懲役十五年ー
反戦思想ー
探知とはー
「手段方法の如何を問わず」ー
公知とはー
独自判断の放棄ー
漏泄とは
記者の送信は「外国通報」かー記者たちは受難するー
二人のアメリカ人記者ー
その取材源はー
国防保安法第八条ー
正当業務ー
国内公表と外国通報ー
記者たちへの監視
敵の敵の、そのまた敵はー秘密は敵を求めるー
チェコスロバキア公使ー
ナチスの侵入と祖国の解体ー
特高の監視ー
ハヴリチェックの決断ー
「間接的敵性国」とはー
なにをやったのか
裏切りと密告-秘密は密告を奨励する-
バルベの命運-
仏印進駐-
なぜ洩れたのか-
フランスの分裂-
「自由フランス」へ-
密告-
中立と自制
IV スパイ事件とはなんであったか
ゾルゲ事件と尾崎秀実の場合-不戦のたたかいを挑む-
ゾルゲ事件-
平和と戦争-
尾崎はなにをしたのか-
判断-
方法-
戦後の国会で
2R・ゾルゲとR・ギラン-明暗を分けたものはなにか-
新聞記者ゾルゲ-
ギラン陸軍中尉-
ゾルゲからギランヘ-
アンリ大使の困惑-
特高情報-
ギランに迫る危険-
勲章と処刑
悲しいスパイ志願者たち-防諜はスパイを奨励するか-
第一号判決-
スパイ志願-
捜查-
「裏面入手」-
特高の新聞広告-
悲哀
少ないスパイ事件-スパイはつかまらない-
三件-
ピーターズ事件-
実際にやったこと-
スパイのスパイ-
南下した「露探」-
服行商-
牽連か吸収か-
牧歌的な情報収集-
小樽で-
その他のスパイたち-
中国人たちの検挙-
崩れた中国共産党東京支部事件-
なぜスパイ事件は少ないか
国家秘密という名の国境-サハリンで秘密とは-
サハリン-
ツングース族たち-
ウイノクロフの訴え-
ヤクート族の長老-
民族移動-
八人の猟師たち-
国境線とは-
養子アンドレイの悲惨-
子連れ若夫婦のトナカイ旅行-
漁業と油田-
秘密という名の国境
V 国家秘密法制とは
戦争と国家秘密法制の展開-戦争のたびに秘密はふくれる-
明治以来の国家秘密法制-
軍機保護法の全面改正-
附帯決議-
軍用資源秘密保護法-
国防保安法の制定-
網の目のような弾圧法規-
治安維持法-
こんどの国家秘密法案-
多目的法案か
「外諜犯罪」の概況-「悪質」なるもの「僅少」なり-
検挙者一覧表-
大部分は言論弾圧-
「悪質」なるもの「僅少」-
労働者が多数-
特高外事警察の歩み
一九四一年十二月八日の「非常措置」-戦争は検挙ではじまった-
一斉検挙と処罰-
「非常措置要綱」-
公館の封鎖-
情報の杜絶-
情報は平和の基礎
あとがき