証言特高警察
I
反戦運動のお前たちなど殺しても、と (青地晨)
天皇崇拝に反すると宗教まで目の敵に (佐木秋夫)
基本的な人権を奪ったものたちが⋯ (鈴木安蔵)
私の体の傷跡が日本史の暗部の証明 (伊藤憲一)
強盗のように侵入し幼児まで連行した (梅津萩子)
正義を貫くものは拷問で虐殺された (青柳盛雄)
青年に汽車賃を貸しただけで拷問 (住谷悦治)
「地上から葬り去る」と聖地を爆薬で破壊 (出口和明)
暴力や陰謀で国民の正当な自由奪った (佐竹正雄)
自由な演劇できぬ苦痛は拷問より⋯ (大岡欽治)
なぐられたりするのはがまんできたが⋯ (河野さくら)
人びとの言動を逐一監視する男たち (柏隆一)
「国賊は殺してもいいことになっている」 (刺田貞子)
「大森銀行ギャング事件」の大芝居まで (松本克平)
潜入させた挑発者使い、共産党弾圧 (金子健太)
殺された夫の葬儀にも出られず獄中に (阿部淑子)
暗黒政治礼賛しないものは許さなかった (日暮学)
「天皇よりキリストは偉いか」とのワナ (山崎鷲夫)
「おちろ、地獄へおちろ」といいながら (中本たか子)
まるでヘビのようにゥソの自供を迫った (村越喜市)
雑誌さえリヤカーに積んで持ち去った (松崎浜子)
幽霊のような格好で帰ってきた夫 (宮井清香)
ただの自由主義者も訳もいわず逮捕した (松葉重庸)
母はわが子を獄に奪われたまま生涯を (草野たつえ)
十三歳の少女が"茶わんいじほう"で捕えられ (石崎シヅカ)
国民はまるで虫ケラ同然だった (藤沢房吉)
「不自由」な体の私を非国民呼ばわり (野口猛)
御真影
無益な戦争いかんの自説通報され (大槻静夫)
「お前は赤マルだ」といって凍る海に (安藤源治)
私の左眼から光を奪った (安東義雄)
かれらが復活したときすべては手遅れになる (伊藤紀夫)
II
私の綴方-悪夢 (近藤えい子)
拷問の中で考えたこと (加藤周四郎)
洪水期の教師たち (多田公之助)
寒薊の人・峰地光重 (山下清三)
教科研でブタ箱ぐらし (森源)
壺井栄とわたし (久留島義忠)
新教秋田の反戦活動への弾圧 (庫山寛一)
教労東京支部への弾圧 (安部綱義)
真実を教える教師への弾圧 (井野川潔)
あとがき (「赤旗」社会部)