昭和戦時期の娯楽と検閲
課題と方法
第Ⅰ部 娯楽統制をめぐる「民意」と検閲の実際
検閲官の思想と行動―警視庁保安部保安課興行係の場合―
はじめに
警視庁による興行統制の概要
人員配置とその問題―理解ある検閲官たちの趣味による検閲―
市民が求める大衆娯楽の取締り
演劇の保護―軍部などに対する検閲当局の対応―
検閲官たちによる保護の理由
おわりに
「民意」による検閲―『あゝそれなのに』から見る流行歌統制の実態―
はじめに
日本における流行歌・ラジオ・投書
流行させてはいけない流行歌―統制の契機としての流行とクレーム―
制度で取り締まれない場合にどうするか―ヒット曲取締りの実態―
『愛国行進曲』『別れのブルース』へ―流行歌取締りの行き先―
なぜ「民意」による流行歌統制が可能であったか
おわりに
日中戦争期の「洋楽排撃論」の台頭と処遇
はじめに
日中戦争勃発までの「洋楽」および「洋楽」批判をめぐる状況
日中戦争下における「洋楽の大衆化」と「洋楽排撃論者」の台頭
内務省による「ジャズ音楽」の取締り
おわりに
太平洋戦争期の流行歌・「ジャズ」の取締り―音楽統制の限界―
はじめに
太平洋戦争勃発時点における「軽音楽」「ジャズ」人気と取締り
太平洋戦争期の流行歌・「ジャズ」の消費と取締りの実態
取締りの限界―無知無関心が支えた流行歌・「ジャズ」の消費―
おわりに
第Ⅱ部 統制方針の転換と観客の動向
太平洋戦争末期の娯楽政策―興行取締りの緩和を中心に―
はじめに
決戦非常措置による娯楽政策
小磯内閣の娯楽政策
太平洋戦争末期の興行の実態
おわりに
敗戦直後の娯楽政策―東久邇宮内閣期を中心に―
はじめに
太平洋戦争末期の娯楽政策と、敗戦直後の日本政府の危機意識
東久邇宮内閣の娯楽政策
娯楽政策の実態
GHQによる占領開始直後の娯楽政策
おわりに
占領下映画観客の観覧傾向の変化―映画統制の成功?―
はじめに
日本政府による映画統制
占領下の日本映画批判
一九四九年における観客の観覧傾向の変化
観覧傾向の変化の要因
観覧傾向の変化の歴史的位置づけ
おわりに
昭和戦時期の娯楽統制の特徴と問題点
総括
娯楽統制の運用上の問題点
今後の課題