学校制服とは何か
はじめに
第1章 制服モデルチェンジの論理
頌栄女子学院―タータンチェックの衝撃/モデルチェンジの深層―制服を変えなければ、学校は変わらない/品川女子学院中等部・高等部―キャメルのブレザー/吉祥女子中学・高校―女子ズボン着用の先駆け/学校経営者、受験生のバイブル『東京女子高制服図鑑』/
名門校ブランドを凌駕した女子高生ブランド/北海高校―詰襟バンカラからグローバル化へ/愛光高校―ミッションスクールらしい清潔感/洛南高校・洛南高校附属中学校―戒律が制服という形をとり、厳しく自己を抑制/
久留米大学附設中学校・高校―裏地の水色のパイピングや学校オリジナル織ネームで学校ブランドを表現/朋優学院高校―悪目立ちしないように心がけた/渋谷教育学園幕張高校―生徒会主催で生徒に投票してもらって制服を決定/
西大和学園中学校・高校―だぼっとした感じからスリムなものへ/京都市立京都工学院高校―少女漫画から制服が誕生
第2章 制服誕生の舞台裏
都立日比谷高校―子供らしからぬ然も大人の型すぎぬ型/神奈川県立川崎高校―作業服、女車掌の勤務服と評判は散々/愛知県立岡崎高校―文化程度の高い都市ほどセーラー服よりもスーツが多い/都立駒場高校―吉永小百合はセーラー服姿で撮影所に通った/
大分県立大分上野丘高校―フランスのセーラー服を取り寄せて研究/大阪府立池田高校―「女子高校生の範と称えられた」と自画自賛/宮城県宮城第二女子高校(現、宮城二華中学校・高校)―体位が向上しセーラー服は適さない/
浦和第一女子高校―35年間でスカート丈が15センチ以上短くなった
第3章 制服自由、伝統校の矜持
「なんちゃって制服」を着るためには制服自由が大前提/制服は生徒を支配、管理する道具/女子学院高校でバリケード封鎖/東京、長野の公立高校で自由化が進む/同じ服装でなければとれない統制に意義があるのか/自由化で宮城一女はミニスカートが圧倒的多数に/
ホットパンツまがいの服装に驚いて自由化を阻止/秋田高校の伝統の一つとして「着装の自由」は定着/宇都宮女子高校「生徒の自主性にまかされた服装のまま今日にいたっている」/自由の意味を問いつつ行動すれば強制によらぬ新しい秩序が生まれる/
「これを着なさい」「あれはダメ」という指導はしない/定められたものを着るという発想はない/制服自由は教育の一環、色彩感覚を育てる/慶應義塾志木高校の制服自由化要求ではジーパンが取引材料/同志社高校「制服を決めて生徒を一つの枠にはめるという発想がない」/
東大寺学園「学校生活を校則で締め付けるようなことはしません」/麻布中学校・高校「教育現場で統制を強めることはいいことじゃないと思っています」/自由の森学園、明星、和光―「自由」を徹底的に問い続ける/佐久長聖は月2回、金沢大学附属では夏季期間が自由服
第4章 制服復活で学校リニューアル
制服復活で「朱雀は変わる、朱雀で変わる、朱雀を変える」/在校生の7割は制服に賛成、3割は自由服を望んでいた/校風は自由で生徒が伸び伸び、制服着用が生徒の管理強化につながらない/伝統校を復活させるための改革の一つが制服導入/
制服のコンセプトは私服に近く、3種類のシャツをその日の気分で選ぶ/帰属意識を高め洛北高校生としての自覚を高めてもらう/府立桂高校生徒が国連で制服導入反対を訴える/制服、頭髪などのルールを教えるのは高校が最後だ/
伝統ある上野高校に相応しい、格調高く品のあるデザイン/大学生と高校生の見分けがつかないのは良くない
第5章 制服を作る側の戦略
スカート丈を短くできないように固い芯を入れる/制服にトランスミッターを付けて体調を管理する/「なんちゃって」を含めた制服文化とアイドル文化を融合させる/生徒が着用したくなる制服をつくるための答えは、生徒自身の中にある/
1964年東京オリンピックを機に詰襟からブレザーへ/品質的には毎日3年間着用できる強度が求められる/制服姿でディズニーランドへ行き写真をとりたい/企業のように学校制服の貸与は現実的ではない
第6章 制服の思想
制服の進化、制服による管理/制服を変形し長ランやボンタンで権勢を誇り、恐怖心を与える/自由化を叫ぶくらいの元気な子が出てきたら大喜びです/勉強ができるご褒美が私服、勉強できない罰が制服なのか/麻布、女子学院と開成、桜蔭は制服で入学者層が定義される/
制服復活で「服装の乱れは心の乱れ」が再評価か/教育、教育学の観点から制服を考える/「かわいい」が管理を駆逐してしまった/AO、推薦入試の増加で優等生が多くなり、ミニ、腰パンは減少した?/デモと制服/
コロナ禍など、まさに「予測できない変化」が制服にもふりかかる/経済格差、階層の問題を制服で解決すべきではない
おわりに
おもな参考文献